表示設定
表示設定
目次 目次




クマのマスコット

ー/ー



「いたっ」

 会話をしながらよそ見して縫っていたからか、人差し指を刺してしまった。

 指の腹にぷっくりと小さな赤い塊が浮き出てきた。早く拭かなきゃと慌てて鞄の中にあるティッシュを探していると、ギュッと指先に布が当てられた。

「え?」
「とりあえず、これ使って」

 航介が自分のハンカチを押し当て止血してくれている。

「血がついちゃうよ」
「全然いいよ。むしろ使い古しので悪い」
「う、ううん、ありがとう」

 高校生とはいえやっぱり男の子。大きくて少し骨張った手の甲。指も長くて私の手がすっぽり握られてしまう。

 止血してくれてるだけなのに、急にドキドキして手が汗ばんできた。

「陣内くん、もういいよ。止まったはずだし」
「うん」

 恥ずかしさのなか、ぎこちなく自分の鞄から絆創膏を取り出し人差し指に巻いた。

「用意がいいな」
「こういうことしょっちゅうだから」
「ふーん」

 ハンカチには小さな赤い点が丸く染みている。

「ハンカチ洗って返すよ」
「いいよ、これくらい」

 航介は無造作にズボンのポケットにハンカチを突っ込んだ。

「ありがとう……」

 そう言うと不意に絆創膏の貼ってある手を取られ、その指にチュッと口をつけられた。

「なっ、なにするの!?」
「はやく良くなるおまじない」

 ドクドクドク……と一気に胸が波打ち、カァッと顔に熱が上がった。

「だ、大丈夫だよ」

 恥ずかしくて手を離すと、航介は唐突に立ち上がり「じゃ、俺帰るわ」とそそくさと帰っていってしまった。

 私は胸の高鳴りを抑えるように、口づけられた手をギュッと握りしめた。



スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む ハートを背負って


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



「いたっ」
 会話をしながらよそ見して縫っていたからか、人差し指を刺してしまった。
 指の腹にぷっくりと小さな赤い塊が浮き出てきた。早く拭かなきゃと慌てて鞄の中にあるティッシュを探していると、ギュッと指先に布が当てられた。
「え?」
「とりあえず、これ使って」
 航介が自分のハンカチを押し当て止血してくれている。
「血がついちゃうよ」
「全然いいよ。むしろ使い古しので悪い」
「う、ううん、ありがとう」
 高校生とはいえやっぱり男の子。大きくて少し骨張った手の甲。指も長くて私の手がすっぽり握られてしまう。
 止血してくれてるだけなのに、急にドキドキして手が汗ばんできた。
「陣内くん、もういいよ。止まったはずだし」
「うん」
 恥ずかしさのなか、ぎこちなく自分の鞄から絆創膏を取り出し人差し指に巻いた。
「用意がいいな」
「こういうことしょっちゅうだから」
「ふーん」
 ハンカチには小さな赤い点が丸く染みている。
「ハンカチ洗って返すよ」
「いいよ、これくらい」
 航介は無造作にズボンのポケットにハンカチを突っ込んだ。
「ありがとう……」
 そう言うと不意に絆創膏の貼ってある手を取られ、その指にチュッと口をつけられた。
「なっ、なにするの!?」
「はやく良くなるおまじない」
 ドクドクドク……と一気に胸が波打ち、カァッと顔に熱が上がった。
「だ、大丈夫だよ」
 恥ずかしくて手を離すと、航介は唐突に立ち上がり「じゃ、俺帰るわ」とそそくさと帰っていってしまった。
 私は胸の高鳴りを抑えるように、口づけられた手をギュッと握りしめた。