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囚われの田舎者 4

ー/ー



 城の北にはどこからやって来たのか子供達が集まっていた。それを城の私兵が見つける。

「なんだ……、あれは?」

「紙芝居はじまるよー」

 アシノが紙芝居を持って子供達の前に居た。

「おい貴様、こんな所で何をしている」

「何って……、紙芝居だ」

 不思議そうな顔でアシノが答える。

「それは見れば分かる! だが、何故ここで……」

「だめか?」

「いや、別にダメとかじゃないけど……」

 そう言われてアシノは気を取り直して紙芝居を始める事にした。

「それじゃあ始めるぞ―。良い子のみんなwith悪い子まさし君!!!」

「ハーイ!!!」

 掛け声をかけると子供達の無邪気な返事が返ってくる。

「おいィ! まさし君可哀想だろ!!」

 私兵がツッコミを入れるが、アシノはスルーして紙芝居のタイトルを読み上げた。

「今日の紙芝居は『みっちゃんと物知りおばあちゃんと熟年離婚』だ」

「待て待て待て! 内容重すぎだろーがぁ!!」

 そう言われてアシノは別の紙芝居を取り出す。

「それじゃ、『三人の勇者と熟年離婚』だ」

「おいィ! どうやって話に熟年離婚絡めんだよ!!」

 うーんと唸って、アシノはそうだと別の紙芝居を取り出す。

「じゃあ『百人の小人と熟年離婚』は?」

「だからなんでそこまで熟年離婚にこだわるんだよ!! 定年を迎えた夫の妻か!?」

「社会問題だからこそ取り上げてるんだ」

「そうやってメディアが煽るから状況が悪化するんだよ!」

 怒る私兵に、アシノはため息を付いて言う。

「まったく、いい歳越えた大人が子供の見るものにグチグチ口出すなよ」

「だからこれ子供に見せる内容じゃねーだろ!!」

 次の瞬間私兵の顔に石が投げつけられた。

「って痛っ!! 誰だ今石投げたの!!」

「まさし君だ」

「チクショー! まさし君本当に悪い子じゃね―か! 庇ってやって損した!!」

「いいから、ほれ。水飴やるから帰れ」

 アシノは私兵に水飴を渡そうとするが、それを受け取らずに言う。

「とにかく、こんな所でそんな紙芝居など認めん」

「ほら、遠慮せず食っておけよっと」

 アシノは水飴を無理やり私兵の口に押し込んだ。

「うぐっ!! こっ、これは…… 甘いっ!!」

 そして、次の瞬間には私兵は眠りについてしまった。

 それを見届けた後、子供達に普通の水飴を配って、隠れて見ていたモモと一緒に城を目指す。


「さぁ、みんな寄ってらっしゃーい。見てらっしゃーい!!!」

 城の西側で大きな声がしている。

「なんだ?」

 見回りに来た私兵が気付いてその声のする方へ向かった。

「ほらほら、良い子のみんなー! 幸せ屋さんだよー!」

 ルーが道端に物を広げて商売をしていた。

「貴様、何をしている」

「私は幸せ屋さん。皆が幸せになれる物を売っているよ!!」

「お姉ちゃん、このひよこなーにー?」

 子供が指をさしてルーに尋ねる。

「おぉ、良いものを見つけたね。このひよこは幸せの青いひよこだよ」

「青いひよこ?」

 聞き返されると頷いてルーは答えた。

「そう、青い鳥は幸せを呼ぶのよ」

「ちょっと待てお前…… これ、カラーひよこじゃ……」
 ※知らない人は大人の人に聞いてみてね!

 私兵が言うのをスルーしてルーは商品説明を続ける。

「お次はこれよ!! この小さなおもちゃはお湯に入れるとあら不思議!! 20倍に膨らんじゃうわ!!」

「ほんとにー?」

「えぇ、そうよ。これが膨らむと共に幸せも膨らむのよ。お魚やカニ、こっちはドラゴンの奴もあるわよ!!」

「幸せ関係なくね?」

 私兵の言葉にルーはため息を付く。

「お客さん、営業妨害はやめてくれませんかね?」

「何が営業妨害だ!! っていうかお前の売ってるものなんか妙に懐かしいんだよ!!」

 私兵が言うと、ルーはゆっくりと言葉を返した。

「お客さん、あなた大人になるにつれて『小さな幸せ』を見付けることが出来なくなったんじゃないのかしら?」

「何だと!?」

「小さな頃は光る石も、道路の動くアリも、全てが不思議に見えた。そこら辺の木の枝も落ち葉も宝物だった」

 ルーは続けて言う。

「大人になるにつれ、小さな宝物を無くしていくのは仕方がないわ」

 ルーは手を広げて話し続ける。

「だけど、心の小さな宝物まで無くしちゃうのは悲しいと思わない? 私は、そんな大人たちに小さな宝物を」

「これくださーい!!」

 子供が言うとルーは笑顔になって近くまで駆け寄った。

「はいはい、ありがとー!! 20バレシだよー!!」

「わーい!!」

 咳払いをしてまた私兵の方を向いてルーは言う。

「私はそんな大人たちに小さな……」

「これってなにー?」

「はいはい、これは下の棒を持って振ると紙が伸びちゃうのよ!!」

「すごーい!!」

 また咳払いをしてルーは私兵を見据えて言う。

「私は、そんな大人たちに小さ」

「これちょうだい!!」

「はいはいはい、ありがとう!! 20バレシね!!」

「わーい!!」

 またまた咳払いをして私兵を見てルーは言う。

「私は、そんな大人たちに」

「もういいわ!! 何回おなじ所繰り返してるんだよ!!」

 私兵は、それはもうブチギレていた。

「何回もおなじ所を繰り返すなんて、まるで壊れかけのレデ」

「黙れ、とにかくここから立ち去れ!!」

「仕方ないわね、眠ってもらうわ!!」

 ルーは売り物に紛れ込ませておいた吹き矢を咥えて私兵を打った。

「いてっ!! なにす……」

 私兵は眠りに付く。

「さーて、ムツヤっちは無事かしらね―?」


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「なんだ……、あれは?」
「紙芝居はじまるよー」
 アシノが紙芝居を持って子供達の前に居た。
「おい貴様、こんな所で何をしている」
「何って……、紙芝居だ」
 不思議そうな顔でアシノが答える。
「それは見れば分かる! だが、何故ここで……」
「だめか?」
「いや、別にダメとかじゃないけど……」
 そう言われてアシノは気を取り直して紙芝居を始める事にした。
「それじゃあ始めるぞ―。良い子のみんなwith悪い子まさし君!!!」
「ハーイ!!!」
 掛け声をかけると子供達の無邪気な返事が返ってくる。
「おいィ! まさし君可哀想だろ!!」
 私兵がツッコミを入れるが、アシノはスルーして紙芝居のタイトルを読み上げた。
「今日の紙芝居は『みっちゃんと物知りおばあちゃんと熟年離婚』だ」
「待て待て待て! 内容重すぎだろーがぁ!!」
 そう言われてアシノは別の紙芝居を取り出す。
「それじゃ、『三人の勇者と熟年離婚』だ」
「おいィ! どうやって話に熟年離婚絡めんだよ!!」
 うーんと唸って、アシノはそうだと別の紙芝居を取り出す。
「じゃあ『百人の小人と熟年離婚』は?」
「だからなんでそこまで熟年離婚にこだわるんだよ!! 定年を迎えた夫の妻か!?」
「社会問題だからこそ取り上げてるんだ」
「そうやってメディアが煽るから状況が悪化するんだよ!」
 怒る私兵に、アシノはため息を付いて言う。
「まったく、いい歳越えた大人が子供の見るものにグチグチ口出すなよ」
「だからこれ子供に見せる内容じゃねーだろ!!」
 次の瞬間私兵の顔に石が投げつけられた。
「って痛っ!! 誰だ今石投げたの!!」
「まさし君だ」
「チクショー! まさし君本当に悪い子じゃね―か! 庇ってやって損した!!」
「いいから、ほれ。水飴やるから帰れ」
 アシノは私兵に水飴を渡そうとするが、それを受け取らずに言う。
「とにかく、こんな所でそんな紙芝居など認めん」
「ほら、遠慮せず食っておけよっと」
 アシノは水飴を無理やり私兵の口に押し込んだ。
「うぐっ!! こっ、これは…… 甘いっ!!」
 そして、次の瞬間には私兵は眠りについてしまった。
 それを見届けた後、子供達に普通の水飴を配って、隠れて見ていたモモと一緒に城を目指す。
「さぁ、みんな寄ってらっしゃーい。見てらっしゃーい!!!」
 城の西側で大きな声がしている。
「なんだ?」
 見回りに来た私兵が気付いてその声のする方へ向かった。
「ほらほら、良い子のみんなー! 幸せ屋さんだよー!」
 ルーが道端に物を広げて商売をしていた。
「貴様、何をしている」
「私は幸せ屋さん。皆が幸せになれる物を売っているよ!!」
「お姉ちゃん、このひよこなーにー?」
 子供が指をさしてルーに尋ねる。
「おぉ、良いものを見つけたね。このひよこは幸せの青いひよこだよ」
「青いひよこ?」
 聞き返されると頷いてルーは答えた。
「そう、青い鳥は幸せを呼ぶのよ」
「ちょっと待てお前…… これ、カラーひよこじゃ……」
 ※知らない人は大人の人に聞いてみてね!
 私兵が言うのをスルーしてルーは商品説明を続ける。
「お次はこれよ!! この小さなおもちゃはお湯に入れるとあら不思議!! 20倍に膨らんじゃうわ!!」
「ほんとにー?」
「えぇ、そうよ。これが膨らむと共に幸せも膨らむのよ。お魚やカニ、こっちはドラゴンの奴もあるわよ!!」
「幸せ関係なくね?」
 私兵の言葉にルーはため息を付く。
「お客さん、営業妨害はやめてくれませんかね?」
「何が営業妨害だ!! っていうかお前の売ってるものなんか妙に懐かしいんだよ!!」
 私兵が言うと、ルーはゆっくりと言葉を返した。
「お客さん、あなた大人になるにつれて『小さな幸せ』を見付けることが出来なくなったんじゃないのかしら?」
「何だと!?」
「小さな頃は光る石も、道路の動くアリも、全てが不思議に見えた。そこら辺の木の枝も落ち葉も宝物だった」
 ルーは続けて言う。
「大人になるにつれ、小さな宝物を無くしていくのは仕方がないわ」
 ルーは手を広げて話し続ける。
「だけど、心の小さな宝物まで無くしちゃうのは悲しいと思わない? 私は、そんな大人たちに小さな宝物を」
「これくださーい!!」
 子供が言うとルーは笑顔になって近くまで駆け寄った。
「はいはい、ありがとー!! 20バレシだよー!!」
「わーい!!」
 咳払いをしてまた私兵の方を向いてルーは言う。
「私はそんな大人たちに小さな……」
「これってなにー?」
「はいはい、これは下の棒を持って振ると紙が伸びちゃうのよ!!」
「すごーい!!」
 また咳払いをしてルーは私兵を見据えて言う。
「私は、そんな大人たちに小さ」
「これちょうだい!!」
「はいはいはい、ありがとう!! 20バレシね!!」
「わーい!!」
 またまた咳払いをして私兵を見てルーは言う。
「私は、そんな大人たちに」
「もういいわ!! 何回おなじ所繰り返してるんだよ!!」
 私兵は、それはもうブチギレていた。
「何回もおなじ所を繰り返すなんて、まるで壊れかけのレデ」
「黙れ、とにかくここから立ち去れ!!」
「仕方ないわね、眠ってもらうわ!!」
 ルーは売り物に紛れ込ませておいた吹き矢を咥えて私兵を打った。
「いてっ!! なにす……」
 私兵は眠りに付く。
「さーて、ムツヤっちは無事かしらね―?」