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王都の皆には内緒だよ! 4

ー/ー



「カミクガさんは雷の攻撃が得意なんですよね」

「えぇ、覚えていて貰って嬉しいですぅ」

 そう言ってカミクガはクスクスと笑う。

「それじゃ、コレなんかはどうでしょう?」

 ムツヤが取り出したのはナイフよりも少し長いぐらいの短剣だった。

「あー、えっと何だっけそれ、見覚えあるんだけどな」

 ギルスは頭をひねって思い出そうとするが、それより先にカミクガが言葉を出す。

「魔剣『カタトンボ』」

 彼女の表情は普段の余裕のある感じから一変して険しいものになった。

「私の家に代々伝わっていた魔剣です。何故あなたが持っているんですかぁ?」

「何故って…… コレも塔に落ちてました」

 カミクガは疑いの目を向ける。

「それは私の家で使い手が受け継ぐはずだったのですが、祖父が戦死した時、一緒に紛失したそうです」

「そうだったんでずか……」

「カミクガさんだったか、裏ダンジョンは不思議な事が多い。何があっても不思議じゃない」

 ギルスが言うと、フーンと言ってカミクガはいつもの様な掴みどころがない表情に戻る。

「わかりましたぁ、取り敢えず今はそういう事にしておきましょう」

 そして魔剣『カタトンボ』を握りしめて魔力を込めた。

 カタトンボを握りしめるカミクガの右手からバチバチと電気が走る。

 まず、なんと言っても魔力がこの上なく込めやすい。

 スッと力が入り、強力に電気が走るのを感じた。

 カミクガは弾かれたように走り、目の前の木を斬りつける。

 その瞬間、眩しい閃光が辺りを照らし、木は落雷が落ちたかのよう縦に真っ二つに割れた。

「話には聞いていましたが、流石カタトンボですねぇ」

 彼女はまるで他人事のように、そう言うと短剣を収める。

「素晴らしいですぅ、今まで使った剣と比べ物にならないぐらいに」

 振り返ってカミクガはクスクスと笑った。

「コレで全員武器は決まりかな」

 ギルスが言うとサツキが「えぇ」と頷く。

「それじゃ助手の出番は終わりね、シッシッ!!」

 ルーはギルスが「誰が助手だ!!」と言い終える前に赤い宝石の破片を剥がした。

「さてと、武器が決まったのは良いけど、これから報告をするために口裏合わせないとね」

「そうっすね」

 振り返ってルーが言うとクサギが返事をする。

「まぁ、口裏合わせるって言っても? 試練の塔を突破したら全員分の強力な武器が手に入ったって言うだけだけどねー」

「本当にそれで通せるのでしょうか?」

 サツキは少し心配そうに言うとルーは親指をぐっと上げた。

「私達そうやって嘘つきまくってキエーウ倒したのよ? ヘーキヘーキ!」







「同胞たちよ!!!」

「剣を持て!! 弓を持て!!!」

「我らの血の誇りのために!!!!」

 1人がそう言うと、歓声と共に武器が天高く掲げられた。






「試練の塔をこんなに早く踏破なさるとは、流石勇者サツキ様です」

 近衛兵長カミトが城にある1室で言った。部屋にはムツヤ達とサツキ達が居る。

 カミトの言葉にサツキは首を軽く横に振って話す。

「いいえ、この国の為にだからこそ、出来たことです」

「ご謙遜を……」

 前置きは置いておいて、カミトは本題に入りたくてソワソワしているのをアシノは見逃さなかった。

「それで、私の仮説が正しければ、あの試練の塔で手に入れた武器や能力は、通常の攻撃が効かない魔物にも通用するはずです」

 それを聞いて、カミトはホッとした顔をするが、同じ近衛兵の魔法使いであるイズミにはある疑念が生まれた。

「と、いう事は、青い鎧の冒険者もあの試練の塔を登ったのでしょうか……?」

「それは私にも分かりかねますが、恐らくは……」

 短く言ってアシノは言葉を止めた。青い鎧の冒険者には謎が多いということにしておいた方が都合が良い。

 そんな時だった。慌ただしく鎧のガチャガチャとした音が近付いてきたかと思ったら、ドアをノックされる。

「失礼しますカミト様!! 魔物の群れの襲撃が確認されました!!」

「来たか……」

 カミトが口にすると同時にアシノとサツキが立ち上がり、皆もそれに習った。

「私の説が正しいかまだ分かりかねますので、私達は念の為街に残り、攻撃の通用しない魔物に備えましょう」

 そうアシノが言うと、カミトは頷いた。

「お願いいたします」

「では、私達は前線で戦いましょう。攻撃の通用しない魔物が現れたらすぐにご連絡を下さい」

 サツキは魔剣『カミカゼ』に軽く手をかけて言った。

「承知しました、ご武運を!」

 活気のある街が今は別の事情で慌ただしかった。兵士達が住民に外へ出ないよう警告をして回っている。

 アシノは街の外壁にある門の前へ陣取る。目の前には兵士が横に3列の陣形を組んでいた。

 サツキは馬に乗り、カミクガは走り、魔物の群れへと向かっていった。身体強化の支援魔法は使用済みだ。

 クサギは後方で怪我人が出るまで待機をしながら、兵士達に支援魔法を使い続けている。

 そして、ムツヤ達は馬車に乗り、サツキ達の支援という形で後を追う。

 ムツヤは魔剣『ムゲンジゴク』のレプリカを腰に携えていた。魔剣で斬れる魔物と斬れない魔物を判別する為だ。

 連絡石が光る。先行するサツキからの接敵をしたという合図だ。

 サツキは魔剣『カミカゼ』に風を纏わせて一気に横薙ぎに振った。

 その瞬間、風の刃が辺りを斬り裂く。前線に居た魔物の群れは一斉に煙となって消えていった。

 カミクガも魔剣『カタトンボ』に魔力を込めて舞うように魔物を斬り捨てる。

 途中魔物に囲まれるが、魔剣を地面に突き刺すと、辺り一面に放電が起きて魔物を焦がす。

 千里眼の使える兵士達は勇者達の更に人間離れした戦いを目に焼き付けていた。

「こりゃ、私達の出番はないかなー?」

 馬車の上でのんきそうにルーが言った。

「魔剣をこんなに早く使いこなすなんて…… 流石勇者様とそのお仲間ですね……」

 モモは息を呑んでその光景を見ながら馬車を走らせる。

「そろそろ近いわね、ムツヤっち行って!」

「わがりまじだ!!」

 ムツヤが馬車から飛び降りてサツキ達に加勢をする。

 まぁ、加勢と言ってもその必要はほぼ無いのだが、アシノから魔剣で斬れない魔物を見つけろという命令を遂行するためだ。


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「カミクガさんは雷の攻撃が得意なんですよね」
「えぇ、覚えていて貰って嬉しいですぅ」
 そう言ってカミクガはクスクスと笑う。
「それじゃ、コレなんかはどうでしょう?」
 ムツヤが取り出したのはナイフよりも少し長いぐらいの短剣だった。
「あー、えっと何だっけそれ、見覚えあるんだけどな」
 ギルスは頭をひねって思い出そうとするが、それより先にカミクガが言葉を出す。
「魔剣『カタトンボ』」
 彼女の表情は普段の余裕のある感じから一変して険しいものになった。
「私の家に代々伝わっていた魔剣です。何故あなたが持っているんですかぁ?」
「何故って…… コレも塔に落ちてました」
 カミクガは疑いの目を向ける。
「それは私の家で使い手が受け継ぐはずだったのですが、祖父が戦死した時、一緒に紛失したそうです」
「そうだったんでずか……」
「カミクガさんだったか、裏ダンジョンは不思議な事が多い。何があっても不思議じゃない」
 ギルスが言うと、フーンと言ってカミクガはいつもの様な掴みどころがない表情に戻る。
「わかりましたぁ、取り敢えず今はそういう事にしておきましょう」
 そして魔剣『カタトンボ』を握りしめて魔力を込めた。
 カタトンボを握りしめるカミクガの右手からバチバチと電気が走る。
 まず、なんと言っても魔力がこの上なく込めやすい。
 スッと力が入り、強力に電気が走るのを感じた。
 カミクガは弾かれたように走り、目の前の木を斬りつける。
 その瞬間、眩しい閃光が辺りを照らし、木は落雷が落ちたかのよう縦に真っ二つに割れた。
「話には聞いていましたが、流石カタトンボですねぇ」
 彼女はまるで他人事のように、そう言うと短剣を収める。
「素晴らしいですぅ、今まで使った剣と比べ物にならないぐらいに」
 振り返ってカミクガはクスクスと笑った。
「コレで全員武器は決まりかな」
 ギルスが言うとサツキが「えぇ」と頷く。
「それじゃ助手の出番は終わりね、シッシッ!!」
 ルーはギルスが「誰が助手だ!!」と言い終える前に赤い宝石の破片を剥がした。
「さてと、武器が決まったのは良いけど、これから報告をするために口裏合わせないとね」
「そうっすね」
 振り返ってルーが言うとクサギが返事をする。
「まぁ、口裏合わせるって言っても? 試練の塔を突破したら全員分の強力な武器が手に入ったって言うだけだけどねー」
「本当にそれで通せるのでしょうか?」
 サツキは少し心配そうに言うとルーは親指をぐっと上げた。
「私達そうやって嘘つきまくってキエーウ倒したのよ? ヘーキヘーキ!」
「同胞たちよ!!!」
「剣を持て!! 弓を持て!!!」
「我らの血の誇りのために!!!!」
 1人がそう言うと、歓声と共に武器が天高く掲げられた。
「試練の塔をこんなに早く踏破なさるとは、流石勇者サツキ様です」
 近衛兵長カミトが城にある1室で言った。部屋にはムツヤ達とサツキ達が居る。
 カミトの言葉にサツキは首を軽く横に振って話す。
「いいえ、この国の為にだからこそ、出来たことです」
「ご謙遜を……」
 前置きは置いておいて、カミトは本題に入りたくてソワソワしているのをアシノは見逃さなかった。
「それで、私の仮説が正しければ、あの試練の塔で手に入れた武器や能力は、通常の攻撃が効かない魔物にも通用するはずです」
 それを聞いて、カミトはホッとした顔をするが、同じ近衛兵の魔法使いであるイズミにはある疑念が生まれた。
「と、いう事は、青い鎧の冒険者もあの試練の塔を登ったのでしょうか……?」
「それは私にも分かりかねますが、恐らくは……」
 短く言ってアシノは言葉を止めた。青い鎧の冒険者には謎が多いということにしておいた方が都合が良い。
 そんな時だった。慌ただしく鎧のガチャガチャとした音が近付いてきたかと思ったら、ドアをノックされる。
「失礼しますカミト様!! 魔物の群れの襲撃が確認されました!!」
「来たか……」
 カミトが口にすると同時にアシノとサツキが立ち上がり、皆もそれに習った。
「私の説が正しいかまだ分かりかねますので、私達は念の為街に残り、攻撃の通用しない魔物に備えましょう」
 そうアシノが言うと、カミトは頷いた。
「お願いいたします」
「では、私達は前線で戦いましょう。攻撃の通用しない魔物が現れたらすぐにご連絡を下さい」
 サツキは魔剣『カミカゼ』に軽く手をかけて言った。
「承知しました、ご武運を!」
 活気のある街が今は別の事情で慌ただしかった。兵士達が住民に外へ出ないよう警告をして回っている。
 アシノは街の外壁にある門の前へ陣取る。目の前には兵士が横に3列の陣形を組んでいた。
 サツキは馬に乗り、カミクガは走り、魔物の群れへと向かっていった。身体強化の支援魔法は使用済みだ。
 クサギは後方で怪我人が出るまで待機をしながら、兵士達に支援魔法を使い続けている。
 そして、ムツヤ達は馬車に乗り、サツキ達の支援という形で後を追う。
 ムツヤは魔剣『ムゲンジゴク』のレプリカを腰に携えていた。魔剣で斬れる魔物と斬れない魔物を判別する為だ。
 連絡石が光る。先行するサツキからの接敵をしたという合図だ。
 サツキは魔剣『カミカゼ』に風を纏わせて一気に横薙ぎに振った。
 その瞬間、風の刃が辺りを斬り裂く。前線に居た魔物の群れは一斉に煙となって消えていった。
 カミクガも魔剣『カタトンボ』に魔力を込めて舞うように魔物を斬り捨てる。
 途中魔物に囲まれるが、魔剣を地面に突き刺すと、辺り一面に放電が起きて魔物を焦がす。
 千里眼の使える兵士達は勇者達の更に人間離れした戦いを目に焼き付けていた。
「こりゃ、私達の出番はないかなー?」
 馬車の上でのんきそうにルーが言った。
「魔剣をこんなに早く使いこなすなんて…… 流石勇者様とそのお仲間ですね……」
 モモは息を呑んでその光景を見ながら馬車を走らせる。
「そろそろ近いわね、ムツヤっち行って!」
「わがりまじだ!!」
 ムツヤが馬車から飛び降りてサツキ達に加勢をする。
 まぁ、加勢と言ってもその必要はほぼ無いのだが、アシノから魔剣で斬れない魔物を見つけろという命令を遂行するためだ。