後輩勇者 1
ー/ー
夜は何事もなく過ぎていき、朝を迎えることが出来た。
朝日が差し込んでユモトは目を覚ます。静かで綺麗な青空だったが、それが何だか不気味に感じた。
隣のベッドではムツヤとヨーリィが眠っている。
「ふわーあ、よく寝たぁ」
ルーも目を覚ましたらしい。ユモトは立ち上がって挨拶をする。
「おはようございます、ルーさん」
そこには一糸まとわぬルーが布団に包まっていた。
「やーんエッチー!!」
「だ、だから何で服を着ないんですか!? っていうか着てましたよね!?」
ユモトの声で皆が起き始める。
「朝からうるさいな……」
「あっ、すみませんアシノさん」
「うーん…… 何かあったのか?」
アシノとモモが目を覚まし、ムツヤとヨーリィもむくりと起き上がった。
「おはようございまず……」
「む、ムツヤさんあっちを見ちゃダメです!!」
その言葉で気付いたアシノがルーを見る。
「ルー、お前は何で服を脱いで寝るんだ!!」
「えー、だって脱いで寝ると気持ちいいんだよ? アシノも試してみたら癖になるわよー?」
「このバカちんが!! さっさと着替えろ!!」
この人達は緊張感が無いなぁと思うユモトであった。
王都を目指し、馬を走らせる2人と、その隣を自分の足で駆ける1人が居た。
「サツキー、馬速すぎー」
馬に乗る1人が、もう1人の馬に乗る女に大声で話しかける。
「クサギ、なに愚痴を吐いている。本当ならもっと速く走りたいのだぞ?」
「えー、メンブレマシマシなんですけどー」
サツキと呼ばれた女は色白の肌に長い黒髪で、少し青みが掛かっていた。
一方でクサギと呼ばれた女は対照的に赤みがかった銀髪をサイドテールでまとめて褐色の肌だ。
「サツキちゃんはアシノ様大好きだからねー」
自分の足で駆ける少女は先述した2人よりも幼く、色白金髪のツーサイドアップだ。
彼女はクスクスと笑いながらサツキに言った。
「あぁ、アシノ先輩は私の憧れだからな。久しぶりに会えるなんてもう……」
サツキと呼ばれる女は馬の上で誰かを抱きしめるように、両腕をギュッと組んで言う。
「辛抱たまらん!!!」
「あーはいはい。でもね、目的はアシノ様に会うことじゃなくて魔人を倒すことなんですけどー?」
クサギが言うと、お前は何を言っているんだといった顔でサツキは横を向く。
「何を言っている!! アシノ先輩に会うことだろう!?」
「人の話聞いてた!?」
着替えと朝食を終え、待機するムツヤ達。ドアがノックされ、衛兵だろうなと思い返事をする。
「失礼します! 勇者サツキ様御一行がまもなく王都へ到着するとの事です」
その名前を聞いて、アシノはうっと嫌な顔をするのを抑えた。
「分かりました」
衛兵が去っていくとアシノはため息をつく。
「1番乗りがサツキか……」
「アシノ殿、あまり良い顔をされていませんが、苦手な相手なのですか?」
モモに聞かれるとアシノは小さく首を横に振った。
「いいや、まぁ苦手っちゃ苦手だが、悪いやつじゃない」
「勇者サツキ様ですか、名前は聞いたことあるような」
ユモトが人差し指を口の横にあててうーんと宙を見る。
「あぁ、昔は一緒に旅をした事もあるんだが……」
「そうなんでずか!? それじゃ仲良しなんじゃないんでずか?」
ムツヤの言葉に対してもアシノは首を横に振った。
「向こうがどう思っているかはわからないが、私はちょっと…… な」
「ちなみに私はサツキちゃんにメチャ嫌われてるわよ!」
ルーがとんでもない発言をして思わず皆がそちらを向く。
「何があったんですか……」
モモはまたルーが何かしでかした物だと思い、呆れた顔をする。
「っていうか、皆も多分嫌われちゃうかもよ、会えば分かるわ、会えば」
ルーの言葉に皆が不安な気持ちを抱く。勇者サツキとは何者なのだろうかと。
ムツヤ達は城の1室に通されていた。勇者サツキとの面会をする為である。
ソワソワとするムツヤ達の目の前でドアが開き、人が入ってきた。
1番最初に入った人間は、青みがかった長い黒髪と凛とした佇まい。
そして、整った顔立ち。いかにも強そうな女だった。
その女はアシノを見つけるなり、両腕を開いて、走って……。
抱きつこうとした。
アシノはさっとそれを避ける。女は勢い余って壁に激突する。
「何で避けるんですかーアシノ先輩!!!」
「いや、抱きつかれそうになったら普通避けるだろ」
「酷いですー!! 先輩と後輩の感動の再会じゃないですか!! そりゃハグの1つもありますよ!!!」
先程までの凛とした佇まいはどこへやら、女はビービー喚いていた。
「アシノ様、サツキがマジ本当すいません!! サツキ、やめろって!!」
その女はサツキと呼ばれていた。という事はこの女が勇者サツキなのだろう。皆、思っていた勇者と違い面食らっていた。
「サツキちゃんみっともなぁーい」
金髪ツーサイドアップのサツキ達よりも一回り小さい少女がクスクスと笑いながら言った。
「あ、どうも勇者サツキ一行でーす。私はクサギ、よろしくー!」
褐色の肌で、赤みがかった銀髪をサイドテールでまとめている女はそう自己紹介をした。
「こんにちは皆さん、私はカミクガです」
小さい金髪の少女はどこか見下したような笑顔をしながらそう言った。
「みんな、この2人は銀色の聖女クサギと落雷のカミクガと呼ばれている実力者だ」
再度抱きつこうとするサツキをかわしてアシノが補足をする。
「アシノ様ー、その二つ名マジはずいんでやめてくださいー」
クサギは手を振りながら言う。確かに聖女と言われれば頭にクエスチョンマークが浮かぶ印象だ。
「そんでコイツはアホのサツキだ」
勇者サツキの頭を押さえつけながらアシノは言う。
「そんな! 酷いですアシノ先輩!! いや、親しき仲の無礼講って奴ですか!?」
「どんだけポジティブなんだよお前は!!」
「それじゃこっちも自己紹介をしましょうか。私はルー天才召喚術師よ!!」
ルーは勝手に二つ名を名乗り自己紹介を始めた。
「ごんにちは、ムツヤ・バックカントリーでず!!」
ムツヤは姿勢を正して言う。それに続いて皆も話し始める。
「はじめまして、モモと申します」
「あっ、えっと、ユモトです」
「ヨーリィです」
「皆さんヨロシクー!! しくよろ!!」
クサギは軽いノリで言った。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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朝日が差し込んでユモトは目を覚ます。静かで綺麗な青空だったが、それが何だか不気味に感じた。
隣のベッドではムツヤとヨーリィが眠っている。
「ふわーあ、よく寝たぁ」
ルーも目を覚ましたらしい。ユモトは立ち上がって挨拶をする。
「おはようございます、ルーさん」
そこには一糸まとわぬルーが布団に包まっていた。
「やーんエッチー!!」
「だ、だから何で服を着ないんですか!? っていうか着てましたよね!?」
ユモトの声で皆が起き始める。
「朝からうるさいな……」
「あっ、すみませんアシノさん」
「うーん…… 何かあったのか?」
アシノとモモが目を覚まし、ムツヤとヨーリィもむくりと起き上がった。
「おはようございまず……」
「む、ムツヤさんあっちを見ちゃダメです!!」
その言葉で気付いたアシノがルーを見る。
「ルー、お前は何で服を脱いで寝るんだ!!」
「えー、だって脱いで寝ると気持ちいいんだよ? アシノも試してみたら癖になるわよー?」
「このバカちんが!! さっさと着替えろ!!」
この人達は緊張感が無いなぁと思うユモトであった。
王都を目指し、馬を走らせる2人と、その隣を自分の足で駆ける1人が居た。
「サツキー、馬速すぎー」
馬に乗る1人が、もう1人の馬に乗る女に大声で話しかける。
「クサギ、なに愚痴を吐いている。本当ならもっと速く走りたいのだぞ?」
「えー、メンブレマシマシなんですけどー」
サツキと呼ばれた女は色白の肌に長い黒髪で、少し青みが掛かっていた。
一方でクサギと呼ばれた女は対照的に赤みがかった銀髪をサイドテールでまとめて褐色の肌だ。
「サツキちゃんはアシノ様大好きだからねー」
自分の足で駆ける少女は先述した2人よりも幼く、色白金髪のツーサイドアップだ。
彼女はクスクスと笑いながらサツキに言った。
「あぁ、アシノ先輩は私の憧れだからな。久しぶりに会えるなんてもう……」
サツキと呼ばれる女は馬の上で誰かを抱きしめるように、両腕をギュッと組んで言う。
「辛抱たまらん!!!」
「あーはいはい。でもね、目的はアシノ様に会うことじゃなくて魔人を倒すことなんですけどー?」
クサギが言うと、お前は何を言っているんだといった顔でサツキは横を向く。
「何を言っている!! アシノ先輩に会うことだろう!?」
「人の話聞いてた!?」
着替えと朝食を終え、待機するムツヤ達。ドアがノックされ、衛兵だろうなと思い返事をする。
「失礼します! 勇者サツキ様御一行がまもなく王都へ到着するとの事です」
その名前を聞いて、アシノはうっと嫌な顔をするのを抑えた。
「分かりました」
衛兵が去っていくとアシノはため息をつく。
「1番乗りがサツキか……」
「アシノ殿、あまり良い顔をされていませんが、苦手な相手なのですか?」
モモに聞かれるとアシノは小さく首を横に振った。
「いいや、まぁ苦手っちゃ苦手だが、悪いやつじゃない」
「勇者サツキ様ですか、名前は聞いたことあるような」
ユモトが人差し指を口の横にあててうーんと宙を見る。
「あぁ、昔は一緒に旅をした事もあるんだが……」
「そうなんでずか!? それじゃ仲良しなんじゃないんでずか?」
ムツヤの言葉に対してもアシノは首を横に振った。
「向こうがどう思っているかはわからないが、私はちょっと…… な」
「ちなみに私はサツキちゃんにメチャ嫌われてるわよ!」
ルーがとんでもない発言をして思わず皆がそちらを向く。
「何があったんですか……」
モモはまたルーが何かしでかした物だと思い、呆れた顔をする。
「っていうか、皆も多分嫌われちゃうかもよ、会えば分かるわ、会えば」
ルーの言葉に皆が不安な気持ちを抱く。勇者サツキとは何者なのだろうかと。
ムツヤ達は城の1室に通されていた。勇者サツキとの面会をする為である。
ソワソワとするムツヤ達の目の前でドアが開き、人が入ってきた。
1番最初に入った人間は、青みがかった長い黒髪と凛とした佇まい。
そして、整った顔立ち。いかにも強そうな女だった。
その女はアシノを見つけるなり、両腕を開いて、走って……。
抱きつこうとした。
アシノはさっとそれを避ける。女は勢い余って壁に激突する。
「何で避けるんですかーアシノ先輩!!!」
「いや、抱きつかれそうになったら普通避けるだろ」
「酷いですー!! 先輩と後輩の感動の再会じゃないですか!! そりゃハグの1つもありますよ!!!」
先程までの凛とした佇まいはどこへやら、女はビービー喚いていた。
「アシノ様、サツキがマジ本当すいません!! サツキ、やめろって!!」
その女はサツキと呼ばれていた。という事はこの女が勇者サツキなのだろう。皆、思っていた勇者と違い面食らっていた。
「サツキちゃんみっともなぁーい」
金髪ツーサイドアップのサツキ達よりも一回り小さい少女がクスクスと笑いながら言った。
「あ、どうも勇者サツキ一行でーす。私はクサギ、よろしくー!」
褐色の肌で、赤みがかった銀髪をサイドテールでまとめている女はそう自己紹介をした。
「こんにちは皆さん、私はカミクガです」
小さい金髪の少女はどこか見下したような笑顔をしながらそう言った。
「みんな、この2人は銀色の聖女クサギと落雷のカミクガと呼ばれている実力者だ」
再度抱きつこうとするサツキをかわしてアシノが補足をする。
「アシノ様ー、その二つ名マジはずいんでやめてくださいー」
クサギは手を振りながら言う。確かに聖女と言われれば頭にクエスチョンマークが浮かぶ印象だ。
「そんでコイツはアホのサツキだ」
勇者サツキの頭を押さえつけながらアシノは言う。
「そんな! 酷いですアシノ先輩!! いや、親しき仲の無礼講って奴ですか!?」
「どんだけポジティブなんだよお前は!!」
「それじゃこっちも自己紹介をしましょうか。私はルー天才召喚術師よ!!」
ルーは勝手に二つ名を名乗り自己紹介を始めた。
「ごんにちは、ムツヤ・バックカントリーでず!!」
ムツヤは姿勢を正して言う。それに続いて皆も話し始める。
「はじめまして、モモと申します」
「あっ、えっと、ユモトです」
「ヨーリィです」
「皆さんヨロシクー!! しくよろ!!」
クサギは軽いノリで言った。