第6話 彼女、試験を全部すっぽかしたんです
ー/ー
20世紀のいつか、雅子大学3、明彦大学2、良子大学1
「でも、明彦は、その美姫ちゃん、ヒメを今でも好きなんでしょ?」
「小学校の頃から6年間ですからね。妹みたいだったし、ワガママには慣れてました。彼女の最初の相手はぼくでした」
「なるほど。それで?」
「最初は調子がよかったんです。それがだんだん、ぼくのバイトが忙しくなって、週末も暇じゃない時が増えていって。深夜に帰るとヒメがポツンと部屋で待ってることもありました。かまってやれなくなった。一緒の時も、受験生なんだからって勉強を教えようとすると、まとわりついて、彼女はセックスに逃げたり」
「彼女、今は大学生なの?浪人してたりして?」
「いいえ、いくつかの大学の願書は出したんですけど、試験を全部すっぽかしたんです。それでいろいろありまして。ぼくの部屋には彼女の荷物がそのままです」
「えええ?」
「雅子、さっきね、思わずあなたに付き合っちゃいませんか?って言いましたが、ぼくはこんな状況なので、ああいったのを後悔してます。撤回します」
これってどういう状況?好きな男の子に告白されて、付き合い始めようとしたら、前の彼女とゴタゴタがあって、その彼女の荷物はまだ彼の部屋にある。彼女が戻ってきたらどうなるの?彼は彼女の元に戻る?ええい!面倒!
「撤回することを撤回して。いいわよ、キミの言うそういう状況であっても、私と付き合って。彼女は私よりも1年ちょっと下なのかな。年子の妹みたいなものね。その妹と男を取り合うバトル?いいじゃない?受けて立つわ!」
「雅子、おかしなことを言わないで」
「まあ、いいからいいから。私、キミが好きなの。合格発表で偶然会ってから時々キミとヒメを思い出してたんだ。なぜかは知らないけど、気になった。だから、お試しでもいい。私と付き合いなさい!明彦」
「わかりました。でも、内藤さんみたいに複数の女の子と付き合えるほどぼくは器用じゃない。一人を選ばなければいけない場合もあるでしょう」
「内藤くんと吉田万里子みたいな関係はイヤ。ああいうベタベタして、セックスを人質にしているみたいな付き合いはイヤだよ。付き合いだして、俺の女、私の男みたいな所有感を持つのもイヤ。彼氏彼女に見せつけるように浮気するのもイヤだ。明彦、キミとはそうはならないと思う。だから、撤回しないでね。もっと私を知ってほしい。それから、ヒメのことをもっと知りたい。聞かせて」
「雅子がぼくをお試ししてください。ダメだ、こりゃあと思ったら引導を渡して欲しい。ヒメの話は・・・詳しく話していると朝になっちゃいますよ。そういう他人の男女の話、聞くのイヤでしょ?」
「何言ってんの。関西女は、大阪のおばちゃん、他人のゴシップ、噂、大好きなのよ。あれ?万里子も大阪じゃない?明彦、一つ条件があります!」
「条件?なんですか?」
「吉田万里子には近づかないで!彼女に近づいたら、即刻別れます!」
「だけど、彼女と学科がかなり被ってるんですけど?」
「それは許す。私に内緒では許さない!」
「雅子には全部話しますよ。ぼくは隠し事やウソがつけるほど器用じゃない」
「よし!契約成立!じゃあ、ヒメの話は、千夜一夜物語のシェヘラザードみたいに寝物語で朝まで話して頂戴。あれ?あの王様が生娘の首をちょん切る動機が、奴隷と不貞した奥さんのせいだったわね。じゃ、ヒメの話は一時おしまい。私たちの話、しない?」
「雅子は変わってるね?」
「そうかしら?」
しばらく、プラド美術館やスペインの話をした。マドリードまでいくらかかるのかな?直行便はでてるのかしら?少なくともニ十万円くらい必要かな?ユースホステルなんて泊まりたくないわね。ちゃんとしたホテルに泊まりたい、なんて。
ねえねえ、一緒の部屋しか空いていなかったら明彦はどうする?ツインですか?違うわよ、クイーンサイズのダブルよ。ええ?ベッドの両脇に離れて寝ます。え?襲ってくれないの?ええ?雅子、ぼくに襲われたいの?そういうシチュエーションだったら襲われてもいいかな?仕方ないでしょ?ちょっと、雅子、シチュエーションだから仕方ないの?そうそう、明彦だったら仕方ないわね。雅子、そういうのってぼくはできませんよ。あら?男の子なのに据え膳食べないの?私、美味しくないのかしらね?いやいや、十分美味しそうですけど?じゃあ、食べちゃえば、私を?明彦だったら、喜んで食べられてあげるけどね。雅子、ぼくをからかってません?あら、私、かなり本気よ。
こういうじゃれ合いっていいなあ、と思った。
私は、ボートネックの橙色のサマーニットのプルオーバーに白のピッチリしたミニスカート姿。素足。長袖を肘のちょっと下までまくりあげる。襟ぐりの広い服から濃紺のブラのストラップが見える。サイズが大きいので、時々ずり下がってくるのを直す。私の鎖骨の下くらいまで見えてしまう。明彦もチラチラ見てる。ヤバい!万里子みたいだ!
掘りごたつの下で、つま先で彼の脚を踏んでみた。お尻を前の方にずらしたので、脚が彼の脚と交差するようになった。彼の脚を挟み付けてやった。脚が熱い。
「雅子、脚を絡めてきてるんですけど?」
「あら、私に脚を絡められるの、好かんの?明彦は?」
「い、いいえ、雅子に絡められるのだったら嫌じゃない。好きです」
「うわぁ~、うちがゾクゾクしてまう」脚をさらに締め付けてやる。
「雅子の脚の体温が伝わってくるんですよ」
「我慢できない?」とテーブル越しに顔を寄せて、小声で「勃ってまう?あそこが固なってまうの?」と囁く。
「雅子、すごいこと聞きますね?ハイ、正直いってそうです」
「うち、正直な男の子って好きやで」
「あ!でも、雅子、もう十二時過ぎ、総武線の終電の時間です。残念ながら。飯田橋の駅まで走らないと」
「連れないこと言わへんの。うちのマンション、すぐ近うやさかい。ウチで飲み直そ。帰らんといて、泊まっていったらええのに。それとも外泊なんかしたら誰かに怒られる?」
「そんなことありませんよ。千駄ヶ谷のアパートに帰って寝るだけ」
「ほな、ウチに泊まってく?」
「でも、雅子、それって・・・」
「けったいなこと想像してん?エッチなこと?そやけどなぁ、その通り。キミが想像してる通りのことうちも想像してんねん。もう、付き合うてもうているんやさかい、ええんやろう?キミの想像通りのことだってしても構わへん。うちは高校二年の夏、敦賀に海水浴に行って、処女すてたん。そやさかい、気にすることもあらへん。明彦もヒメと経験してる。お互い経験してるんやさかい、問題あらへんわ。うちも付き合うてる彼氏はいないんだから。一人ボッチ同士、丁度ええんちゃう?」
我ながら積極的だ。思いつきだけど、付き合う最初の日に女である自分の部屋に男を誘う私って!知り合って二ヶ月半とはいえ、今日まで付き合ったわけでもない。いいんだろうか?いいんじゃないの?
ただ単に泊まるだけってわけでもないわよ。今晩は私、吉田万里子的な行動にする!これで、明彦と私が体を通じて、彼氏と彼女の関係になっちゃってもかまへんやろ?・・・我ながらすごい!
※未成年の飲酒シーンが書かれてあります。
※この物語は性描写や飲酒、喫煙シーンを含みます。
※この物語は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
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《《20世紀のいつか、雅子大学3、明彦大学2、良子大学1》》
「でも、明彦は、その美姫ちゃん、ヒメを今でも好きなんでしょ?」
「小学校の頃から6年間ですからね。妹みたいだったし、ワガママには慣れてました。彼女の最初の相手はぼくでした」
「なるほど。それで?」
「最初は調子がよかったんです。それがだんだん、ぼくのバイトが忙しくなって、週末も暇じゃない時が増えていって。深夜に帰るとヒメがポツンと部屋で待ってることもありました。かまってやれなくなった。一緒の時も、受験生なんだからって勉強を教えようとすると、まとわりついて、彼女はセックスに逃げたり」
「彼女、今は大学生なの?浪人してたりして?」
「いいえ、いくつかの大学の願書は出したんですけど、試験を全部すっぽかしたんです。それでいろいろありまして。ぼくの部屋には彼女の荷物がそのままです」
「えええ?」
「雅子、さっきね、思わずあなたに付き合っちゃいませんか?って言いましたが、ぼくはこんな状況なので、ああいったのを後悔してます。撤回します」
これってどういう状況?好きな男の子に告白されて、付き合い始めようとしたら、前の彼女とゴタゴタがあって、その彼女の荷物はまだ彼の部屋にある。彼女が戻ってきたらどうなるの?彼は彼女の元に戻る?ええい!面倒!
「撤回することを撤回して。いいわよ、キミの言うそういう状況であっても、私と付き合って。彼女は私よりも1年ちょっと下なのかな。年子の妹みたいなものね。その妹と男を取り合うバトル?いいじゃない?受けて立つわ!」
「雅子、おかしなことを言わないで」
「まあ、いいからいいから。私、キミが好きなの。合格発表で偶然会ってから時々キミとヒメを思い出してたんだ。なぜかは知らないけど、気になった。だから、お試しでもいい。私と付き合いなさい!明彦」
「わかりました。でも、内藤さんみたいに複数の女の子と付き合えるほどぼくは器用じゃない。一人を選ばなければいけない場合もあるでしょう」
「内藤くんと吉田万里子みたいな関係はイヤ。ああいうベタベタして、セックスを人質にしているみたいな付き合いはイヤだよ。付き合いだして、俺の女、私の男みたいな所有感を持つのもイヤ。彼氏彼女に見せつけるように浮気するのもイヤだ。明彦、キミとはそうはならないと思う。だから、撤回しないでね。もっと私を知ってほしい。それから、ヒメのことをもっと知りたい。聞かせて」
「雅子がぼくをお試ししてください。ダメだ、こりゃあと思ったら引導を渡して欲しい。ヒメの話は・・・詳しく話していると朝になっちゃいますよ。そういう他人の男女の話、聞くのイヤでしょ?」
「何言ってんの。関西女は、大阪のおばちゃん、他人のゴシップ、噂、大好きなのよ。あれ?万里子も大阪じゃない?明彦、一つ条件があります!」
「条件?なんですか?」
「吉田万里子には近づかないで!彼女に近づいたら、即刻別れます!」
「だけど、彼女と学科がかなり被ってるんですけど?」
「それは許す。私に内緒では許さない!」
「雅子には全部話しますよ。ぼくは隠し事やウソがつけるほど器用じゃない」
「よし!契約成立!じゃあ、ヒメの話は、千夜一夜物語のシェヘラザードみたいに寝物語で朝まで話して頂戴。あれ?あの王様が生娘の首をちょん切る動機が、奴隷と不貞した奥さんのせいだったわね。じゃ、ヒメの話は一時おしまい。私たちの話、しない?」
「雅子は変わってるね?」
「そうかしら?」
しばらく、プラド美術館やスペインの話をした。マドリードまでいくらかかるのかな?直行便はでてるのかしら?少なくともニ十万円くらい必要かな?ユースホステルなんて泊まりたくないわね。ちゃんとしたホテルに泊まりたい、なんて。
ねえねえ、一緒の部屋しか空いていなかったら明彦はどうする?ツインですか?違うわよ、クイーンサイズのダブルよ。ええ?ベッドの両脇に離れて寝ます。え?襲ってくれないの?ええ?雅子、ぼくに襲われたいの?そういうシチュエーションだったら襲われてもいいかな?仕方ないでしょ?ちょっと、雅子、シチュエーションだから仕方ないの?そうそう、明彦だったら仕方ないわね。雅子、そういうのってぼくはできませんよ。あら?男の子なのに据え膳食べないの?私、美味しくないのかしらね?いやいや、十分美味しそうですけど?じゃあ、食べちゃえば、私を?明彦だったら、喜んで食べられてあげるけどね。雅子、ぼくをからかってません?あら、私、かなり本気よ。
こういうじゃれ合いっていいなあ、と思った。
私は、ボートネックの橙色のサマーニットのプルオーバーに白のピッチリしたミニスカート姿。素足。長袖を肘のちょっと下までまくりあげる。襟ぐりの広い服から濃紺のブラのストラップが見える。サイズが大きいので、時々ずり下がってくるのを直す。私の鎖骨の下くらいまで見えてしまう。明彦もチラチラ見てる。ヤバい!万里子みたいだ!
掘りごたつの下で、つま先で彼の脚を踏んでみた。お尻を前の方にずらしたので、脚が彼の脚と交差するようになった。彼の脚を挟み付けてやった。脚が熱い。
「雅子、脚を絡めてきてるんですけど?」
「あら、私に脚を絡められるの、好かんの?明彦は?」
「い、いいえ、雅子に絡められるのだったら嫌じゃない。好きです」
「うわぁ~、うちがゾクゾクしてまう」脚をさらに締め付けてやる。
「雅子の脚の体温が伝わってくるんですよ」
「我慢できない?」とテーブル越しに顔を寄せて、小声で「勃ってまう?あそこが固なってまうの?」と囁く。
「雅子、すごいこと聞きますね?ハイ、正直いってそうです」
「うち、正直な男の子って好きやで」
「あ!でも、雅子、もう十二時過ぎ、総武線の終電の時間です。残念ながら。飯田橋の駅まで走らないと」
「連れないこと言わへんの。うちのマンション、すぐ近うやさかい。ウチで飲み直そ。帰らんといて、泊まっていったらええのに。それとも外泊なんかしたら誰かに怒られる?」
「そんなことありませんよ。千駄ヶ谷のアパートに帰って寝るだけ」
「ほな、ウチに泊まってく?」
「でも、雅子、それって・・・」
「けったいなこと想像してん?エッチなこと?そやけどなぁ、その通り。キミが想像してる通りのことうちも想像してんねん。もう、付き合うてもうているんやさかい、ええんやろう?キミの想像通りのことだってしても構わへん。うちは高校二年の夏、敦賀に海水浴に行って、処女すてたん。そやさかい、気にすることもあらへん。明彦もヒメと経験してる。お互い経験してるんやさかい、問題あらへんわ。うちも付き合うてる彼氏はいないんだから。一人ボッチ同士、丁度ええんちゃう?」
我ながら積極的だ。思いつきだけど、付き合う最初の日に女である自分の部屋に男を誘う私って!知り合って二ヶ月半とはいえ、今日まで付き合ったわけでもない。いいんだろうか?いいんじゃないの?
ただ単に泊まるだけってわけでもないわよ。今晩は私、吉田万里子的な行動にする!これで、明彦と私が体を通じて、彼氏と彼女の関係になっちゃってもかまへんやろ?・・・我ながらすごい!
※未成年の飲酒シーンが書かれてあります。
※この物語は性描写や飲酒、喫煙シーンを含みます。
※この物語は法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。