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みなこの名前

ー/ー



 「みなこちゃん、おいで。」
 「……。」
 「ここおいで。」
 「……。」
 「みなこちゃん……。」
 「……。」

(どうしよう、歯は磨かないとだよね?でも全然来てくれない……。)
 
 部屋の端で体育座りのまま固まっているみなこに瑠菜は声をかける。
 みなこは相当疲れたのか、そこでうつらうつらしているのだ。
 
 「ほら、歯を磨いて寝るぞ。」
 「かえ……。」
 
 瑠菜が持っていた歯ブラシを取り上げて、楓李はみなこの近くへと近寄った。
 もちろん、みなこは楓李を怖がっているのかブルブルと震えているが、楓李はすっと抱き上げて自分の膝の上に寝かせる。
 
 「みなこ、大丈夫だ。」
 「…………大丈夫だよ、みなこちゃん。何ならお姉ちゃんよりも上手だから。」
 
 瑠菜はそう言いながらみなこがバタバタとしている足をやさしくなでた。
 押さえつけるとトラウマになった時に困ると思ったのだ。
 みなこがこれ以上暴れるなら押さえつけるつもりでもあったが、みなこは思ったよりもおとなしくしていた。

 その後、瑠菜が添い寝をしておなかのあたりをポンポンと叩くとぐっすり寝てしまった。
 今までと違うことばかりで疲れてしまったのだろう。
 瑠菜も一緒に寝てしまいそうになったが、みなこが寝たのを確認してからすぐに部屋を出た。
 
 「……かえ、その……ありがとう。」
 「ん?あぁ、いや。全然慣れてくれねぇけど。」
 「ごめんね。もっと愛想よくなってもいいくらいなんだけど。」
 
 あれだけちやほやされているのだ。
 少しくらいは笑ってくれてもおかしくはないだろう。
 しかしみなこは言葉を理解できないのか、今まで世話をしていた人の中に何か……いや、今まで世話をしていた人たちがみなこをあそこまでさせたのだろう。
 きっとそれが大きな原因。
 
 「でも、瑠菜はすごいよな。あんなに慣れさせるなんて。」
 「……違うよ。全然慣れてない。」
 「そうか?」
 「慣れてたら、もっと笑ってくれたりするでしょ?後ろに隠れるのはたぶん、大きいものの後ろに隠れたいだけ。」
 「みなこの中ではそれが安心してるってことなんじゃね?」
 「え?」
 「怖いものの後ろに隠れようとは思わねぇよ。安心できるから後ろに隠れるんだろ?それともお前は、お化け屋敷でお化けの後ろに隠れるか?」
 
 瑠菜は楓李にそう言われて確かになっと思った。
 怖いものへ自分から近づく人はいない。
 
 「……そっか……。そうだね。」
 「コムさんがかかわってるなら、多少は表情豊かになりそうだし。今は緊張してるだけかもな。」
 「だといいんだけど。」
 「もしかしたら、同じなのかもな。瑠菜とコムさんは。」
 「え?」
 「いや、似てるって意味だ。そこまで深くは……。」
 
 楓李がぼんやりとつぶやいた言葉に瑠菜が反応すると、楓李は焦ったように言い始めた。
 反応すると思ってもいなかったらしい。
 瑠菜が少し下を向くと、楓李はもっと焦って何か言っている。
 しかし、その言葉は瑠菜の耳には一言も入ってこなかった。
 
 「……似てないよ。」
 「雰囲気が似てるんじゃないかって意味だ。……て、……いや、悪い。」
 
 周りから見た感じがどんなに似ていても瑠菜の中でコムはとてもすごい人だ。
 瑠菜がどんなに所作やしゃべり方をまねしても、コムのように人を救ったり動かしたりすることはできない。
 だからこそ、瑠菜はコムのことを神のように慕い、まだまだコムから教えてもらいたいと思ってしまうのだ。
 
 「……かえ、なんでコムさんはみなこのことを隠してたのかな。」
 「え?」
 「もっと早くにここへ連れてきていれば、みなこは今とは違ったかもしれない。コムさんがそれに気づいてなかったとは思えない。」
 「確かに、そういわれると……。」
 
 楓李はそう言って考え込んだ。
 みなこは今6歳。
 あともう数年早ければもっと色々と教えやすかったはずだ。
 そして、瑠菜にはわからないことがもう一つあった。
 
 「それに……、何かあったら私に言ってって言ったのも、何かあるってわかってたからなんじゃ?どうしてもここへ帰ってこられなくなる何かが。」
 「……あの人ならわかっててもおかしくはないと思うが。」
 「……うん……。おかしくない。コムさんは帰ってこられなくなるのをわかってて誰にも言わなかった…………。」
 
 コムのことをよく知っている瑠菜だからこそわかる。
 コムは大切なことはいつも言うのが遅い。
 それから、周りに反対されそうなことは最初から言わない。
 言わないまま、行動する。
 それがコムだ。
 
 「まぁ、今はみなこのことをどうにかしないとな。」
 「うん。」
 
 誰がどう見ても、みなこのいたあの環境は最悪だ。
 コムが見たら特に、あの環境が原因の病気やアレルギー、発達への影響など細かくわかっていたはずだ。
 なのになぜあの場所から連れ出さなかったのか、それを考えるのが最優先だ。
 その原因によってはこれからのみなこへの対応も変わる。
 
 「……遺書くらいあればいいのにな。」
 「遺書?」
 「いや、置手紙とか……あの人よく置いてたじゃん。仕事とかを指示するとき。」
 
 まだコムが生きていると考えている瑠菜に遺書という言葉は無理がある。
 今の瑠菜はコムを見つけるために動いているようなものだ。
 コムの存在で瑠菜は生きている。
 それがなくなったなら、瑠菜は壊れたロボットのようになってしまうだろう。
 楓李としても、コムが死んでいるのか生きているのかはまだ分かっていない。

なので楓李は急いで言い方を変えた。
 
 「そういえば、なんか宝探しみたいなこともしたね。仕事の指示を書いた置手紙探すの。」
 「あの時は仕事終わらなくて半泣きだったなぁ。主に俺が。」
 「最終的に私が半分くらいやったんだっけ?」
 「はい、感謝してます。あの時は最後人形の中にあったから見つからなかったんだよ。」
 「だったねぇ。……人形かぁ。……ぬいぐるみ……?」
 
 瑠菜はそう言うと、楓李の部屋から飛び出して自室へと戻っていった。
 楓李は瑠菜の急な行動に驚き、何事だろうかと瑠菜の後ろをついて行く。
 
 「……やっぱり。」
 「それ、みなこが持ってたやつか?」
 「後で洗濯しようと思ってね。ほかの洗濯物も入れたかったし。」

 瑠菜はそう言って人形から紙切れを取り出した。
 もともと縫われた跡があり違和感があったのだが、これでだれが何のためにそうしたのかが分かった。
 
 『よくできました。さすが私の弟子ね。瑠菜、美奈子ちゃんをよろしく。そして、あなたたちはなぜあの子をすぐに合わせなかったのか不満でしょ?私があなたにこの子を君らに、いや、瑠菜に会わせなかった理由は、あなたが嫉妬すると思ったから。瑠菜は私によくなついてくれていた。だからこそ、美奈子ちゃんが私を瑠菜からとったとか思われたくなかったの。あなたに嫌われたくなくて、私は彼女を見放した。だから、あなたはたくさんの愛情を美奈子ちゃんに与えてあげてください。よろしくね。』
 
 瑠菜はそれを読んでのどが詰まったような苦しさを感じた。
 この手紙の最後には「c.m」と小文字で書かれていてそれを書く人は一人しかいない。
 
 「確かにコムさんの言うとおりだな。」
 「さすがに十以上年の離れた子に嫉妬なんか……。」
 「本当にしてなかったか?」
 「う……。」
 「自分がもともといたコムさんの横を取られて、コムさんが話す相手が自分でなくてもコムさんやみなこを恨まなかったか?」
 
 楓李はすごく落ち着いた優しい口調で言ったが内心驚きを隠せなかった。
 
(みなこって……コムさんがつけたのか?たまたま同じ名前を付けることなんかあるのか?なんで瑠菜はすぐにみなこという名前を付けられた?)
 
 今にも泣きそうな瑠菜をどうにかなだめて泣かないように落ち着けたい。
 しかし、途中でいっそのこと思いっきり泣かせたほうがすっきりしていいのではないかと考えてそのまま瑠菜の背中を軽くさすってあげた。
 女の涙がどうも苦手な楓李にしては珍しい判断だ。
 
 「瑠菜、今はコムさんのことよりもみなこなんじゃねぇの?」
 「う、うん。……っ、わかっ……てる。」
 
 瑠菜は楓李にすがるような感じでギュっと抱き着く。
 ヒックヒックと肩を上下させながら声を殺して泣いている姿はどこか幼さを感じさせる。
 
(この前あきに体の関係は愛じゃないって言われたしなぁ……。)
 
 肩が上下するたびに瑠菜の胸の肉が一緒に動く。
 瑠菜は小さいからいやだと言っているが、いつも見ているきぃちゃんやコムなどが大きすぎるだけで女性らしい体つきだと楓李は思っている。
 しかも、今日の瑠菜はみなこのお母さんのようですごく魅力的だった。
 いつもしっかりとしていて冷たい雰囲気を出している瑠菜が、真剣にみなこのことを考えてみなこのために動いている。
 結婚して子供が生まれたらこんな瑠菜を毎日見られるのかと思うと幸せな気持ちでいっぱいになる。
 だからこそ、楓李は手伝いをしたいと思ったのだ。
 
 「瑠菜、俺はどうしたらみなこに好かれるんだろうな。」
 「ふぇ?……んっう……。」
 「何か買ってあげたりするか?うーん。」
 「こ、ころだよ。……大切なのは。」
 「え?」
 「物を買ってあげてもあのくらいの年頃はわかってない……だろうし、きっと覚えてすらない。ただのサイフになるだけ。……多分、いちばんは気持ちであって、どこまでみなこちゃんに向き合えるか。」
 
 瑠菜はしゃっくりをあげながら言う。
 今聞くべきではなかったかもしれないが、気持ちを切り替えるという面ではちょうどよかったのかもしれない。
 
 「そんなんでいいのか?」
 「それが一番、簡単で難しいと思う。」
 
 そう言っている瑠菜はかっこよかった。
 しゃっくりをあげながらでも、目が赤くなって腫れていても。
 とてもかっこよく見えた。
 
 「……向き合っても相手がそっぽ向くんだが?」
 「あきらめないの。一応興味は示してるんだから。」
 「そうか?」
 「……たぶん。」
 
 瑠菜にはみなこの気持ちはわからないし、楓李の気持ちもわからない。
 なぜこんなに積極的にみなこのことを気にかけているのか。
 もしかしたら、楓李はロリコンで、すごく犯罪者予備軍なのではないか。
 瑠菜はそれが頭をよぎって、すぐに思考を放棄した。
 
(きっと知らないほうが良いこともある。うん。あるんだ。)
 
 そう思いながら、瑠菜が楓李から物理的に離れたことは言うまでもない。









 「ねぇ、あの瑠菜さんの後ろ歩いてる子供誰?」
 「え?まさか瑠菜さんの子……。」
 「んなわけがないじゃない。もっとかわいくて賢い子が育つはずだもの。しかも年齢考えなさいよ。瑠菜様はまだ24歳よ?」
 「そういえばまだ赤ちゃんみたいなしゃべり方してたわよね?」
 「きっと優しい瑠菜様のことだから引き取ったのよ。施設から。」
 
 瑠菜とみなこが外に出るたびに遠くのほうから聞こえる会話。
 その会話を聞く中で、聞いていてうれしくなったりするようなポジティブな会話は一度も聞いたことがない。
 
 「みなこちゃん、おいで。」
 
 瑠菜はみなこの手を引いて堂々と歩いた。
 絶対みなこに瑠菜と同じ思いをさせたくはない。
 初めて会った時、みなこは誰にも聞こえないような声で「みにゃこ」とつぶやいた。
 「みなこ」なんて言葉はもちろんない。
 そして、もしこれが名前だったとしたらこんな誰も思いつかないような名前を思いつくのはコムしかいない。
 瑠菜はすぐにそう思ったのだ。
 耳の良い瑠菜だからみなこの言葉に気がつけたといってもよいだろう。
 
(絶対に守りたい。しっかり育てなきゃ。)
 
 瑠菜が家の中へ入っていくと、こそこそと話していた会話はどんどん声が大きくなっていった。
 
 「ねぇどう思う?」
 「いやですよ。あんな子供……。」
 「何もしてないのにずっと怖がられてるし。」
 「えぇ?それはひどくない?ありえない。」
 
 瑠菜は気づいていなかったが、この会話の中にはサクラとリナ、龍子もいた。
 3人は瑠菜がいつも遠くにいたとしても会話に入ってくることから、耳がよいのだろうと考えて、瑠菜の姿が見えなくなるまでは黙っていたのだ。

 みなこが来て一週間になるが、みなこの様子には全く変化がない。
 基本、瑠菜の後ろで震えていて、言葉や所作は赤ちゃんでも見ているかのようだ。
 しおんの作る食事のおかげで多少は肉付きがよくなったのだが、その分本当の年と体つきが近くなってしまい、お行儀の悪い子として見えてしまう。
 
 「この前なんて5分間スプーンが使えただけで兄ちゃん姉ちゃんたちからめっちゃ褒められててさ。いや、いつも手で食べていることがおかしいんだけど。」
 「え?手で食べてるの?」
 「それだけで瑠菜様から褒められるとかうらやましい。」
 「本当ですよ。ねぇ?」
 
 サクラは同じ年の子たちと話せてすごく楽しかった。
 それはリナも同じで、ついつい盛り上がりすぎて口が滑り、みなこの悪口を言ってしまう。
 いや、悪口というより事実なのだ。
 みなこは本当に手で食べるし、瑠菜から何を言われてもスプーンやフォークは手にも取らない。
 それをにこにこしながら雪紀やきぃちゃんたちは見ていて、楓李やあきは嫌な顔一つせずに瑠菜の手伝いをしている。
 しかも、みなこの表情は変わらず、ひたすら真顔。
 褒められようと、怒られようと、笑うことも泣くこともしないのだ。
 3人にとってはそれがとても不気味に思えていた。
 
 「絶対成長しないって。確か人間って成長できる年数に期限があるのよ。それを超えると成長しないんだって、私の師匠が言ってたわ。」
 「あ、私もそれ知ってる。三才だっけ?」
 「そうそう、瑠菜様も絶対知ってるだろうし、さっさと捨てちゃえばいいのに。」
 「ですよね?そう思いますよね?」
 「そうだね……。」
 
 サクラはとても食い気味にうなづいていたが、リナのほうは少し引いてしまっていた。
 言いすぎだと少しでも思ってしまったのは、昔リナも母親である誰かに捨てられてしまったからであろう。
 しかしリナは、その数秒後にはいつも通りみなこの悪口を並べていた。

 こんな風に、みなこへ言いたくても瑠菜の前では決して言えないことをサクラとリナは同じくらいの子たちに毎日のように話していた。
 すごく反応がよく、鬱憤を晴らすにはそれがちょうどよかったのだ。






 
 そんなある日のことだった。
 
 「それでね、」
 「おい何してんだ?」
 
 その声によってその場にいた全員が逃げるように去って行った。
 ある三人を除いて。
 サクラやリナ、龍子はその場から動けなかったのだ。
 逃げ遅れたとかいう問題ではない。
 その声を知っていて、その声の主がどれだけ怖いかを知っているから逃げられなかったのだ。
 
 「ゆ、雪紀兄さん……。」
 「……やけにみなこの情報が外に漏れ出ていると思って盗聴器を探してたんだが、犯人が見つかるとはな。」
 
 雪紀は頭を掻きむしりながら言った。
 怒っているというよりも困っているようだ。
 しかし、怖がりきっている三人がそんなことを気にする余裕などない。
 
 「瑠菜に……報告する?」
 「え?それは……。」
 「瑠菜に伝わってもいいから、話してたんじゃねぇのか?」
 
 慌て始めるサクラとリナに雪紀はびしっと言った。
 
 「それだけの覚悟がないならやるな。……今回は報告しねぇ。」
 「え?何……。」
 「やったぁ。よかった。」
 「ありがとぉ、雪紀兄。」
 「いつかどうせ、瑠菜の耳には入るだろうしな。」
 
 めちゃくちゃ喜んでいた二人に雪紀は刺すように言う。
 しかし、サクラもリナもきょとんとした顔をしている。
 そんな二人を見て雪紀はため息をつきながら言った。
 
 「ここは階級社会だ。瑠菜を蹴落として、自分が上に行きたい奴らくらいうじゃうじゃいる。瑠菜のうわさが、変な子供を世話しているなんて知られたらどうなる?」
 「え?でも、そんなの瑠菜さんは気にしな……。」
 「気にしなくても、蹴落としたい奴らは蹴落としていくぞ。」
 「でも、……。」
 「蹴落とされたら、瑠菜もろともお前らも解雇だな。」
 
 そう言われて、サクラとリナはようやく事の重大さに気が付いた。
 多少の迷惑はかけても瑠菜なら怒らないだろうと高をくくっていた二人だったが、そのせいで迷惑どころじゃない事態が起きるなど考えてもいなかったのだ。
 
 「そんなつもりは……。」
 「そんなつもりはなくてもそうなるんだ。今まで何人もの弟子がそう言って主をやめさせたしな。だから、瑠菜も弟子を作らなかった。」
 
 それを聞いて、サクラとリナ以上に落ち込んでいるものがいた。
 いや、二人もとても落ち込んでいるのだ。
 しかし、それとは比べ物にならないほど落ち込んでいるものが一人いた。
 
 (どうしよう……。)
 
 龍子だ。
 龍子は瑠菜の仕事と楓李の仕事を交互に手伝っている。
 それは二人からの信用があってこそできることだ。
 瑠菜と楓李は龍子から見てもとても仲が良いため、こんなことをしていたと知られたら二人からの信用をすぐになくしてしまうだろう。
 そうしたらきっと、龍子は二人の弟子をやめさせられ、青龍が龍子の今やっている仕事をすることになる。
 リナとサクラは瑠菜の少ない弟子の中の二人だが、龍子は楓李の多い弟子の中の一人だ。
 
(いなくてもいい存在の俺が……信用を失ったら……っ!)
 「龍子。」
 
 龍子は雪紀に呼ばれてハッとしたように顔をあげた。
 すると、雪紀はふっと笑って龍子の頭をなでた。
 それが龍子には自分嘲笑っているように感じてしょうがない。
 
 「俺はお前がいたから今は言わないと言った。自分の行動を考えろよ。」
 
 雪紀はそれだけ言って家の中へと入って行った。
 
(誰かに似てんなぁ……って、そうじゃなくて。確かにそうか。)
 
 龍子は隣で反省の色を見せている二人を見ながらそう思ったのであった。


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 もちろん、みなこは楓李を怖がっているのかブルブルと震えているが、楓李はすっと抱き上げて自分の膝の上に寝かせる。
 「みなこ、大丈夫だ。」
 「…………大丈夫だよ、みなこちゃん。何ならお姉ちゃんよりも上手だから。」
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 みなこがこれ以上暴れるなら押さえつけるつもりでもあったが、みなこは思ったよりもおとなしくしていた。
 その後、瑠菜が添い寝をしておなかのあたりをポンポンと叩くとぐっすり寝てしまった。
 今までと違うことばかりで疲れてしまったのだろう。
 瑠菜も一緒に寝てしまいそうになったが、みなこが寝たのを確認してからすぐに部屋を出た。
 「……かえ、その……ありがとう。」
 「ん?あぁ、いや。全然慣れてくれねぇけど。」
 「ごめんね。もっと愛想よくなってもいいくらいなんだけど。」
 あれだけちやほやされているのだ。
 少しくらいは笑ってくれてもおかしくはないだろう。
 しかしみなこは言葉を理解できないのか、今まで世話をしていた人の中に何か……いや、今まで世話をしていた人たちがみなこをあそこまでさせたのだろう。
 きっとそれが大きな原因。
 「でも、瑠菜はすごいよな。あんなに慣れさせるなんて。」
 「……違うよ。全然慣れてない。」
 「そうか?」
 「慣れてたら、もっと笑ってくれたりするでしょ?後ろに隠れるのはたぶん、大きいものの後ろに隠れたいだけ。」
 「みなこの中ではそれが安心してるってことなんじゃね?」
 「え?」
 「怖いものの後ろに隠れようとは思わねぇよ。安心できるから後ろに隠れるんだろ?それともお前は、お化け屋敷でお化けの後ろに隠れるか?」
 瑠菜は楓李にそう言われて確かになっと思った。
 怖いものへ自分から近づく人はいない。
 「……そっか……。そうだね。」
 「コムさんがかかわってるなら、多少は表情豊かになりそうだし。今は緊張してるだけかもな。」
 「だといいんだけど。」
 「もしかしたら、同じなのかもな。瑠菜とコムさんは。」
 「え?」
 「いや、似てるって意味だ。そこまで深くは……。」
 楓李がぼんやりとつぶやいた言葉に瑠菜が反応すると、楓李は焦ったように言い始めた。
 反応すると思ってもいなかったらしい。
 瑠菜が少し下を向くと、楓李はもっと焦って何か言っている。
 しかし、その言葉は瑠菜の耳には一言も入ってこなかった。
 「……似てないよ。」
 「雰囲気が似てるんじゃないかって意味だ。……て、……いや、悪い。」
 周りから見た感じがどんなに似ていても瑠菜の中でコムはとてもすごい人だ。
 瑠菜がどんなに所作やしゃべり方をまねしても、コムのように人を救ったり動かしたりすることはできない。
 だからこそ、瑠菜はコムのことを神のように慕い、まだまだコムから教えてもらいたいと思ってしまうのだ。
 「……かえ、なんでコムさんはみなこのことを隠してたのかな。」
 「え?」
 「もっと早くにここへ連れてきていれば、みなこは今とは違ったかもしれない。コムさんがそれに気づいてなかったとは思えない。」
 「確かに、そういわれると……。」
 楓李はそう言って考え込んだ。
 みなこは今6歳。
 あともう数年早ければもっと色々と教えやすかったはずだ。
 そして、瑠菜にはわからないことがもう一つあった。
 「それに……、何かあったら私に言ってって言ったのも、何かあるってわかってたからなんじゃ?どうしてもここへ帰ってこられなくなる何かが。」
 「……あの人ならわかっててもおかしくはないと思うが。」
 「……うん……。おかしくない。コムさんは帰ってこられなくなるのをわかってて誰にも言わなかった…………。」
 コムのことをよく知っている瑠菜だからこそわかる。
 コムは大切なことはいつも言うのが遅い。
 それから、周りに反対されそうなことは最初から言わない。
 言わないまま、行動する。
 それがコムだ。
 「まぁ、今はみなこのことをどうにかしないとな。」
 「うん。」
 誰がどう見ても、みなこのいたあの環境は最悪だ。
 コムが見たら特に、あの環境が原因の病気やアレルギー、発達への影響など細かくわかっていたはずだ。
 なのになぜあの場所から連れ出さなかったのか、それを考えるのが最優先だ。
 その原因によってはこれからのみなこへの対応も変わる。
 「……遺書くらいあればいいのにな。」
 「遺書?」
 「いや、置手紙とか……あの人よく置いてたじゃん。仕事とかを指示するとき。」
 まだコムが生きていると考えている瑠菜に遺書という言葉は無理がある。
 今の瑠菜はコムを見つけるために動いているようなものだ。
 コムの存在で瑠菜は生きている。
 それがなくなったなら、瑠菜は壊れたロボットのようになってしまうだろう。
 楓李としても、コムが死んでいるのか生きているのかはまだ分かっていない。
なので楓李は急いで言い方を変えた。
 「そういえば、なんか宝探しみたいなこともしたね。仕事の指示を書いた置手紙探すの。」
 「あの時は仕事終わらなくて半泣きだったなぁ。主に俺が。」
 「最終的に私が半分くらいやったんだっけ?」
 「はい、感謝してます。あの時は最後人形の中にあったから見つからなかったんだよ。」
 「だったねぇ。……人形かぁ。……ぬいぐるみ……?」
 瑠菜はそう言うと、楓李の部屋から飛び出して自室へと戻っていった。
 楓李は瑠菜の急な行動に驚き、何事だろうかと瑠菜の後ろをついて行く。
 「……やっぱり。」
 「それ、みなこが持ってたやつか?」
 「後で洗濯しようと思ってね。ほかの洗濯物も入れたかったし。」
 瑠菜はそう言って人形から紙切れを取り出した。
 もともと縫われた跡があり違和感があったのだが、これでだれが何のためにそうしたのかが分かった。
 『よくできました。さすが私の弟子ね。瑠菜、美奈子ちゃんをよろしく。そして、あなたたちはなぜあの子をすぐに合わせなかったのか不満でしょ?私があなたにこの子を君らに、いや、瑠菜に会わせなかった理由は、あなたが嫉妬すると思ったから。瑠菜は私によくなついてくれていた。だからこそ、美奈子ちゃんが私を瑠菜からとったとか思われたくなかったの。あなたに嫌われたくなくて、私は彼女を見放した。だから、あなたはたくさんの愛情を美奈子ちゃんに与えてあげてください。よろしくね。』
 瑠菜はそれを読んでのどが詰まったような苦しさを感じた。
 この手紙の最後には「c.m」と小文字で書かれていてそれを書く人は一人しかいない。
 「確かにコムさんの言うとおりだな。」
 「さすがに十以上年の離れた子に嫉妬なんか……。」
 「本当にしてなかったか?」
 「う……。」
 「自分がもともといたコムさんの横を取られて、コムさんが話す相手が自分でなくてもコムさんやみなこを恨まなかったか?」
 楓李はすごく落ち着いた優しい口調で言ったが内心驚きを隠せなかった。
(みなこって……コムさんがつけたのか?たまたま同じ名前を付けることなんかあるのか?なんで瑠菜はすぐにみなこという名前を付けられた?)
 今にも泣きそうな瑠菜をどうにかなだめて泣かないように落ち着けたい。
 しかし、途中でいっそのこと思いっきり泣かせたほうがすっきりしていいのではないかと考えてそのまま瑠菜の背中を軽くさすってあげた。
 女の涙がどうも苦手な楓李にしては珍しい判断だ。
 「瑠菜、今はコムさんのことよりもみなこなんじゃねぇの?」
 「う、うん。……っ、わかっ……てる。」
 瑠菜は楓李にすがるような感じでギュっと抱き着く。
 ヒックヒックと肩を上下させながら声を殺して泣いている姿はどこか幼さを感じさせる。
(この前あきに体の関係は愛じゃないって言われたしなぁ……。)
 肩が上下するたびに瑠菜の胸の肉が一緒に動く。
 瑠菜は小さいからいやだと言っているが、いつも見ているきぃちゃんやコムなどが大きすぎるだけで女性らしい体つきだと楓李は思っている。
 しかも、今日の瑠菜はみなこのお母さんのようですごく魅力的だった。
 いつもしっかりとしていて冷たい雰囲気を出している瑠菜が、真剣にみなこのことを考えてみなこのために動いている。
 結婚して子供が生まれたらこんな瑠菜を毎日見られるのかと思うと幸せな気持ちでいっぱいになる。
 だからこそ、楓李は手伝いをしたいと思ったのだ。
 「瑠菜、俺はどうしたらみなこに好かれるんだろうな。」
 「ふぇ?……んっう……。」
 「何か買ってあげたりするか?うーん。」
 「こ、ころだよ。……大切なのは。」
 「え?」
 「物を買ってあげてもあのくらいの年頃はわかってない……だろうし、きっと覚えてすらない。ただのサイフになるだけ。……多分、いちばんは気持ちであって、どこまでみなこちゃんに向き合えるか。」
 瑠菜はしゃっくりをあげながら言う。
 今聞くべきではなかったかもしれないが、気持ちを切り替えるという面ではちょうどよかったのかもしれない。
 「そんなんでいいのか?」
 「それが一番、簡単で難しいと思う。」
 そう言っている瑠菜はかっこよかった。
 しゃっくりをあげながらでも、目が赤くなって腫れていても。
 とてもかっこよく見えた。
 「……向き合っても相手がそっぽ向くんだが?」
 「あきらめないの。一応興味は示してるんだから。」
 「そうか?」
 「……たぶん。」
 瑠菜にはみなこの気持ちはわからないし、楓李の気持ちもわからない。
 なぜこんなに積極的にみなこのことを気にかけているのか。
 もしかしたら、楓李はロリコンで、すごく犯罪者予備軍なのではないか。
 瑠菜はそれが頭をよぎって、すぐに思考を放棄した。
(きっと知らないほうが良いこともある。うん。あるんだ。)
 そう思いながら、瑠菜が楓李から物理的に離れたことは言うまでもない。
 「ねぇ、あの瑠菜さんの後ろ歩いてる子供誰?」
 「え?まさか瑠菜さんの子……。」
 「んなわけがないじゃない。もっとかわいくて賢い子が育つはずだもの。しかも年齢考えなさいよ。瑠菜様はまだ24歳よ?」
 「そういえばまだ赤ちゃんみたいなしゃべり方してたわよね?」
 「きっと優しい瑠菜様のことだから引き取ったのよ。施設から。」
 瑠菜とみなこが外に出るたびに遠くのほうから聞こえる会話。
 その会話を聞く中で、聞いていてうれしくなったりするようなポジティブな会話は一度も聞いたことがない。
 「みなこちゃん、おいで。」
 瑠菜はみなこの手を引いて堂々と歩いた。
 絶対みなこに瑠菜と同じ思いをさせたくはない。
 初めて会った時、みなこは誰にも聞こえないような声で「みにゃこ」とつぶやいた。
 「みなこ」なんて言葉はもちろんない。
 そして、もしこれが名前だったとしたらこんな誰も思いつかないような名前を思いつくのはコムしかいない。
 瑠菜はすぐにそう思ったのだ。
 耳の良い瑠菜だからみなこの言葉に気がつけたといってもよいだろう。
(絶対に守りたい。しっかり育てなきゃ。)
 瑠菜が家の中へ入っていくと、こそこそと話していた会話はどんどん声が大きくなっていった。
 「ねぇどう思う?」
 「いやですよ。あんな子供……。」
 「何もしてないのにずっと怖がられてるし。」
 「えぇ?それはひどくない?ありえない。」
 瑠菜は気づいていなかったが、この会話の中にはサクラとリナ、龍子もいた。
 3人は瑠菜がいつも遠くにいたとしても会話に入ってくることから、耳がよいのだろうと考えて、瑠菜の姿が見えなくなるまでは黙っていたのだ。
 みなこが来て一週間になるが、みなこの様子には全く変化がない。
 基本、瑠菜の後ろで震えていて、言葉や所作は赤ちゃんでも見ているかのようだ。
 しおんの作る食事のおかげで多少は肉付きがよくなったのだが、その分本当の年と体つきが近くなってしまい、お行儀の悪い子として見えてしまう。
 「この前なんて5分間スプーンが使えただけで兄ちゃん姉ちゃんたちからめっちゃ褒められててさ。いや、いつも手で食べていることがおかしいんだけど。」
 「え?手で食べてるの?」
 「それだけで瑠菜様から褒められるとかうらやましい。」
 「本当ですよ。ねぇ?」
 サクラは同じ年の子たちと話せてすごく楽しかった。
 それはリナも同じで、ついつい盛り上がりすぎて口が滑り、みなこの悪口を言ってしまう。
 いや、悪口というより事実なのだ。
 みなこは本当に手で食べるし、瑠菜から何を言われてもスプーンやフォークは手にも取らない。
 それをにこにこしながら雪紀やきぃちゃんたちは見ていて、楓李やあきは嫌な顔一つせずに瑠菜の手伝いをしている。
 しかも、みなこの表情は変わらず、ひたすら真顔。
 褒められようと、怒られようと、笑うことも泣くこともしないのだ。
 3人にとってはそれがとても不気味に思えていた。
 「絶対成長しないって。確か人間って成長できる年数に期限があるのよ。それを超えると成長しないんだって、私の師匠が言ってたわ。」
 「あ、私もそれ知ってる。三才だっけ?」
 「そうそう、瑠菜様も絶対知ってるだろうし、さっさと捨てちゃえばいいのに。」
 「ですよね?そう思いますよね?」
 「そうだね……。」
 サクラはとても食い気味にうなづいていたが、リナのほうは少し引いてしまっていた。
 言いすぎだと少しでも思ってしまったのは、昔リナも母親である誰かに捨てられてしまったからであろう。
 しかしリナは、その数秒後にはいつも通りみなこの悪口を並べていた。
 こんな風に、みなこへ言いたくても瑠菜の前では決して言えないことをサクラとリナは同じくらいの子たちに毎日のように話していた。
 すごく反応がよく、鬱憤を晴らすにはそれがちょうどよかったのだ。
 そんなある日のことだった。
 「それでね、」
 「おい何してんだ?」
 その声によってその場にいた全員が逃げるように去って行った。
 ある三人を除いて。
 サクラやリナ、龍子はその場から動けなかったのだ。
 逃げ遅れたとかいう問題ではない。
 その声を知っていて、その声の主がどれだけ怖いかを知っているから逃げられなかったのだ。
 「ゆ、雪紀兄さん……。」
 「……やけにみなこの情報が外に漏れ出ていると思って盗聴器を探してたんだが、犯人が見つかるとはな。」
 雪紀は頭を掻きむしりながら言った。
 怒っているというよりも困っているようだ。
 しかし、怖がりきっている三人がそんなことを気にする余裕などない。
 「瑠菜に……報告する?」
 「え?それは……。」
 「瑠菜に伝わってもいいから、話してたんじゃねぇのか?」
 慌て始めるサクラとリナに雪紀はびしっと言った。
 「それだけの覚悟がないならやるな。……今回は報告しねぇ。」
 「え?何……。」
 「やったぁ。よかった。」
 「ありがとぉ、雪紀兄。」
 「いつかどうせ、瑠菜の耳には入るだろうしな。」
 めちゃくちゃ喜んでいた二人に雪紀は刺すように言う。
 しかし、サクラもリナもきょとんとした顔をしている。
 そんな二人を見て雪紀はため息をつきながら言った。
 「ここは階級社会だ。瑠菜を蹴落として、自分が上に行きたい奴らくらいうじゃうじゃいる。瑠菜のうわさが、変な子供を世話しているなんて知られたらどうなる?」
 「え?でも、そんなの瑠菜さんは気にしな……。」
 「気にしなくても、蹴落としたい奴らは蹴落としていくぞ。」
 「でも、……。」
 「蹴落とされたら、瑠菜もろともお前らも解雇だな。」
 そう言われて、サクラとリナはようやく事の重大さに気が付いた。
 多少の迷惑はかけても瑠菜なら怒らないだろうと高をくくっていた二人だったが、そのせいで迷惑どころじゃない事態が起きるなど考えてもいなかったのだ。
 「そんなつもりは……。」
 「そんなつもりはなくてもそうなるんだ。今まで何人もの弟子がそう言って主をやめさせたしな。だから、瑠菜も弟子を作らなかった。」
 それを聞いて、サクラとリナ以上に落ち込んでいるものがいた。
 いや、二人もとても落ち込んでいるのだ。
 しかし、それとは比べ物にならないほど落ち込んでいるものが一人いた。
 (どうしよう……。)
 龍子だ。
 龍子は瑠菜の仕事と楓李の仕事を交互に手伝っている。
 それは二人からの信用があってこそできることだ。
 瑠菜と楓李は龍子から見てもとても仲が良いため、こんなことをしていたと知られたら二人からの信用をすぐになくしてしまうだろう。
 そうしたらきっと、龍子は二人の弟子をやめさせられ、青龍が龍子の今やっている仕事をすることになる。
 リナとサクラは瑠菜の少ない弟子の中の二人だが、龍子は楓李の多い弟子の中の一人だ。
(いなくてもいい存在の俺が……信用を失ったら……っ!)
 「龍子。」
 龍子は雪紀に呼ばれてハッとしたように顔をあげた。
 すると、雪紀はふっと笑って龍子の頭をなでた。
 それが龍子には自分嘲笑っているように感じてしょうがない。
 「俺はお前がいたから今は言わないと言った。自分の行動を考えろよ。」
 雪紀はそれだけ言って家の中へと入って行った。
(誰かに似てんなぁ……って、そうじゃなくて。確かにそうか。)
 龍子は隣で反省の色を見せている二人を見ながらそう思ったのであった。