「だいたいさ、あんた変身前からスキル持ちすぎなのよ!! なによ、"攻撃全体化"に"即死系攻撃無効"、"状態異常無効"、"3回連続攻撃"、"闇の心"、"漆黒の骸骨"って。第一形態でそんだけ持ってりゃ、勇者なんざ勝てないわよね」
アリシアは叫び続ける。
"疲れないのだろうか?" ガラムハザールはそう思った。
「アリシア様には及びません。"攻撃即死化"、"魔力無限"、"全属性の呪文無効"、"5回連続攻撃"、"闇の化身"、その他数えればきりがないほどの数多のスキルを有する貴方だ」
「そうね!! 全く使ったことのないスキルばっかりだけどね!! あんたのせいで戦うことすらないんだからね!!」
アリシアは頭を抱える。
「一応最後に聞いてあげるけど、わざと負けてあたしの出番を作ってさしあげましょうって気は……」
「毛頭ございません」
ガラムハザールの断言。
「ああ、そう!! そうなのね!! そんなふざけた思考なのね!! ならこっちにも、考えがあるわ!!」
アリシアはガラムハザールに対して背を向けた。
「どうするつもりでしょう?」
「きゃははははは、あたしが勇者を連れて来てあげる。あんたを倒せるとても優秀な勇者様をね」
ガラムハザールは焦った表情を見せた。
「貴方は裏ボスだ。その存在を人間どもや下級の魔族、そしてあの憎き神であるジャバラに知られるのは得策ではないでしょう。それが分からぬほど愚かな貴方ではないはずだ」
「きゃはははは、もちろん分かってるわよ。だから、あたしの身分をばらさないようにして、勇者を見つけてきてあげる」
アリシアは自信満々に笑う。
ガラムハザールは頭を抱えた。そのしぐさは、魔王には似合わなかった。
「単刀直入に申し上げるが、あまりいいイメージが湧きません」
「大丈夫大丈夫、簡単よ。きゃははははははは」
アリシアはのんきそう。ガラムハザールは相も変わらず曇った表情。
「よし、そうと決まれば善は急げね。それじゃ、バイバーイ。次会う時にはあんたを簡単に倒せるほどの立派な勇者を連れてくるわね」
そこまで告げたアリシアが、嫌な笑みを浮かべる。
「でもその勇者は、あんたを倒した後であたしに倒され、その魂を喰われてしまう定めなんですけどね、きゃははははははは」
そう言い残してアリシアは、まるで瞬間移動のようにガラムハザールの前から消え去った。
先ほどまでのうるさかった魔王城とは打って変わって、静寂に包まれた。ガラムハザールはあいも変わらず苦虫を噛み潰したような表情を作る。
「クソガキが」
ガラムハザールはただただそう告げた。ガラムハザールのその頭上に隕石が現れ、それをガラムハザールは先ほどと同じように右手で受け止めた。その状態でガラムハザールは思う。
"きっとめんどくさいことになる"と。