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16.選択科目の試験開始

ー/ー



 必須科目の試験を終え、無事全てに合格致しました。それから二日間のお休みを過ごしてから、本日でございます。

 今日から五日間、選択科目の試験となりますから、わたくしも気合いを入れて参りました。ちなみに興味のある授業を受けたい時は、例え試験に合格していた場合でも受講のみでしたら可能だそうです。

 さて、本日からもまた試験漬けでございます。取れる限りの単位は取得してしまい、そこから興味引かれた授業と合格出来なかった授業を受けることと致しましょう。

「それにしても、フェリは必須科目全て合格か。流石才気溢れると噂を聞く方だ」
「ふふ。レーヴェさまも同じではありませんか。フロレンツィアさま方も合格されておりますし、必須科目については合格者が多いのでしょうか」

 隣席から声をかけてくださったレーヴェさまに微笑みを向けながら返答致しますと、彼もまた甘く笑んでくださいました。

 フロレンツィアさま方も四年分合格されたと仰っていましたし、案外合格前提での試験なのでしょうか、と思っておりましたけれど、それに対してレーヴェさまは頭を横へと振りました。

「そうでもない。試験内容が高等部で受ける授業のものだから、基本的に不合格前提で行われるんだ。ただ、先んじてその内容まで教育された子息子女の時間を無闇に奪わぬようにとの配慮だな」
「そうでございましたか、良い配慮ですね。そのお陰でわたくしたちも選択科目に集中出来ますし」

 知っている内容を授業で受けるのも退屈ですから、有難いものですわ。わたくしは特にその性質がありますから、知らぬことを知るために授業を受けたいのです。

 さて、その選択科目についてでございます。入学式のあった日のガイダンスにて、各科目について簡単な説明を受け、その授業内容について詳しく書かれた冊子を頂いております。

 二日間のお休みの間に読み、どの科目を選択するかも決めてありましてよ。ただ一つ注意点としましては、選択科目は実技の授業も多くあり、この試験だけで単位を頂けるものは少ないのです。

 ただ、全くの無意味ではございません。試験に合格しましたら座学を免除頂けるので、実技の授業だけに出れば良いことになりましてよ。

「フェリはどの科目を選択するんだ?」

 レーヴェさまが各選択科目について書かれた冊子を開き、わたくしの方へとそれを寄せてくださいました。

「一等興味を惹かれますのは、錬金術と魔術解析です。魔術解析は得意でありますし、錬金術は単に縁がなくて今まで実践的に触れることがございませんでしたから。レーヴェさまはいかがですか?」
「俺もフェリと同じだ。魔術解析、そして錬金術。後は体育系の授業も良いと思っている」

 体育系、と仰いながらレーヴェさまが指をさされたのは、乗馬や実践魔術の科目でございます。体を動かすのもお得意とされていらっしゃるのでしょう、よろしいことですわ。

 わたくしは太陽光を浴びては体調が悪くなってしまいますので、体育系の選択科目は全て除外でございます。夜でしたらわたくしも乗馬を出来たのですが、仕方ありません。

 それから暫くお喋りを楽しんでおりましたが、いよいよ選択科目の試験開始と相成ります。選択科目では各々割り当てられた科目ごとのクラス室に移動をして、そこで試験を受けることになっておりますね。

 ですから、レーヴェさま方とも重なる選択科目の試験場ではご一緒させて頂きますけれど、それ以外は一人で移動せねばなりません。

「それでは、わたくしはあちらのクラス室に。皆様方、また後でご一緒致しましょう」

 ヴェール越しに微笑みを浮かべてから、わたくしもクラス室へと移動を致します。好きな席へと腰を下ろすのは変わりませんから、一番太陽の光が当たらない場所に着席致しました。

 周囲へと軽く視線を走らせましたが、同じAクラスの方も何人かいらっしゃいますね。そして知らぬ方々は他クラスの人たち。

「それでは、試験を開始します」

 試験監視を担当される教師の声に、わたくしは万年筆を持ちました。ふむ、ふむ。ふふ、こちらも問題なさそうですわ。

 一つ一つ順調に解答を記入して参りまして、見直しまで終わりましたら試験を終えましたら待機室へと向かいます。

 あら、どなたもいらっしゃいませんわね。試験中は当然ながら書物類を手にすることは禁じられておりますので、一人になりますとぼんやりと過ごすしかありません。

 しかしそう思っておりましたら、レーヴェさまが入室していらっしゃいました。流石、お早い方。

「フェリ。試験を終えたのか、早いな」
「ふふ、レーヴェさまもお早いですわね。わたくしも先程終えたばかりですの」

 お隣の席に腰を下ろされたレーヴェさまとお話をしておりましたら、次第に待機室にも人が増えて参りました。フロレンツィアさま方も合流しまして、いつも通りの面々となりましたわね。

 他の子息子女の皆様ともお話は致しますけれど、やはりレーヴェさま方と共に過ごす時間の方が安心致します。本についてのお話も弾みますし、楽しく感じましてよ。

 ですが、特にレーヴェさまとお話をしている時にあちらこちらから強く視線を感じるのですよね。特に敵意さえ含んでわたくしを見るのはグルムバッハさまですけれども。

「次は魔術解析だな。共に移動しようか」
「ええ、是非。お席もお隣に」

 魔術解析の授業を選択したのは、わたくしとレーヴェさま、そしてエトヴィンさま。フロレンツィアさまとアルミンさまは、魔術創造の授業をお選びになったそうです。

 魔術創造、気にはなりますけれど、作るよりも解析の方がわたくしは好きなのですよね。ですから、この度は選択を見送ることに致しました。

 休憩時間を知らせる鐘が校舎内へと優しく響きます。先んじて移動をしましょうと、わたくしたちも席を立ちました。

 その後ろからわたくしを睨み続けるグルムバッハさまも続いて歩いておりますが、あの方も魔術解析を選択されたのですね。

「あっ、レオン〜!」

 そして、ガウスさまもまた。成程、恐らくレーヴェさまが選択される科目を想定されて選ばれたのでしょう。その満面の笑みを見れば分かりますとも。

 しかし、その隣に立つわたくしを見た途端舌打ちでもされそうなお顔に変わられました。

 グルムバッハさまも、ガウスさまも、感情表現豊かでございますね。ああ、そのような恐ろしい形相でいらっしゃるから、レーヴェさまも眉根を寄せておりますよ。


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 必須科目の試験を終え、無事全てに合格致しました。それから二日間のお休みを過ごしてから、本日でございます。
 今日から五日間、選択科目の試験となりますから、わたくしも気合いを入れて参りました。ちなみに興味のある授業を受けたい時は、例え試験に合格していた場合でも受講のみでしたら可能だそうです。
 さて、本日からもまた試験漬けでございます。取れる限りの単位は取得してしまい、そこから興味引かれた授業と合格出来なかった授業を受けることと致しましょう。
「それにしても、フェリは必須科目全て合格か。流石才気溢れると噂を聞く方だ」
「ふふ。レーヴェさまも同じではありませんか。フロレンツィアさま方も合格されておりますし、必須科目については合格者が多いのでしょうか」
 隣席から声をかけてくださったレーヴェさまに微笑みを向けながら返答致しますと、彼もまた甘く笑んでくださいました。
 フロレンツィアさま方も四年分合格されたと仰っていましたし、案外合格前提での試験なのでしょうか、と思っておりましたけれど、それに対してレーヴェさまは頭を横へと振りました。
「そうでもない。試験内容が高等部で受ける授業のものだから、基本的に不合格前提で行われるんだ。ただ、先んじてその内容まで教育された子息子女の時間を無闇に奪わぬようにとの配慮だな」
「そうでございましたか、良い配慮ですね。そのお陰でわたくしたちも選択科目に集中出来ますし」
 知っている内容を授業で受けるのも退屈ですから、有難いものですわ。わたくしは特にその性質がありますから、知らぬことを知るために授業を受けたいのです。
 さて、その選択科目についてでございます。入学式のあった日のガイダンスにて、各科目について簡単な説明を受け、その授業内容について詳しく書かれた冊子を頂いております。
 二日間のお休みの間に読み、どの科目を選択するかも決めてありましてよ。ただ一つ注意点としましては、選択科目は実技の授業も多くあり、この試験だけで単位を頂けるものは少ないのです。
 ただ、全くの無意味ではございません。試験に合格しましたら座学を免除頂けるので、実技の授業だけに出れば良いことになりましてよ。
「フェリはどの科目を選択するんだ?」
 レーヴェさまが各選択科目について書かれた冊子を開き、わたくしの方へとそれを寄せてくださいました。
「一等興味を惹かれますのは、錬金術と魔術解析です。魔術解析は得意でありますし、錬金術は単に縁がなくて今まで実践的に触れることがございませんでしたから。レーヴェさまはいかがですか?」
「俺もフェリと同じだ。魔術解析、そして錬金術。後は体育系の授業も良いと思っている」
 体育系、と仰いながらレーヴェさまが指をさされたのは、乗馬や実践魔術の科目でございます。体を動かすのもお得意とされていらっしゃるのでしょう、よろしいことですわ。
 わたくしは太陽光を浴びては体調が悪くなってしまいますので、体育系の選択科目は全て除外でございます。夜でしたらわたくしも乗馬を出来たのですが、仕方ありません。
 それから暫くお喋りを楽しんでおりましたが、いよいよ選択科目の試験開始と相成ります。選択科目では各々割り当てられた科目ごとのクラス室に移動をして、そこで試験を受けることになっておりますね。
 ですから、レーヴェさま方とも重なる選択科目の試験場ではご一緒させて頂きますけれど、それ以外は一人で移動せねばなりません。
「それでは、わたくしはあちらのクラス室に。皆様方、また後でご一緒致しましょう」
 ヴェール越しに微笑みを浮かべてから、わたくしもクラス室へと移動を致します。好きな席へと腰を下ろすのは変わりませんから、一番太陽の光が当たらない場所に着席致しました。
 周囲へと軽く視線を走らせましたが、同じAクラスの方も何人かいらっしゃいますね。そして知らぬ方々は他クラスの人たち。
「それでは、試験を開始します」
 試験監視を担当される教師の声に、わたくしは万年筆を持ちました。ふむ、ふむ。ふふ、こちらも問題なさそうですわ。
 一つ一つ順調に解答を記入して参りまして、見直しまで終わりましたら試験を終えましたら待機室へと向かいます。
 あら、どなたもいらっしゃいませんわね。試験中は当然ながら書物類を手にすることは禁じられておりますので、一人になりますとぼんやりと過ごすしかありません。
 しかしそう思っておりましたら、レーヴェさまが入室していらっしゃいました。流石、お早い方。
「フェリ。試験を終えたのか、早いな」
「ふふ、レーヴェさまもお早いですわね。わたくしも先程終えたばかりですの」
 お隣の席に腰を下ろされたレーヴェさまとお話をしておりましたら、次第に待機室にも人が増えて参りました。フロレンツィアさま方も合流しまして、いつも通りの面々となりましたわね。
 他の子息子女の皆様ともお話は致しますけれど、やはりレーヴェさま方と共に過ごす時間の方が安心致します。本についてのお話も弾みますし、楽しく感じましてよ。
 ですが、特にレーヴェさまとお話をしている時にあちらこちらから強く視線を感じるのですよね。特に敵意さえ含んでわたくしを見るのはグルムバッハさまですけれども。
「次は魔術解析だな。共に移動しようか」
「ええ、是非。お席もお隣に」
 魔術解析の授業を選択したのは、わたくしとレーヴェさま、そしてエトヴィンさま。フロレンツィアさまとアルミンさまは、魔術創造の授業をお選びになったそうです。
 魔術創造、気にはなりますけれど、作るよりも解析の方がわたくしは好きなのですよね。ですから、この度は選択を見送ることに致しました。
 休憩時間を知らせる鐘が校舎内へと優しく響きます。先んじて移動をしましょうと、わたくしたちも席を立ちました。
 その後ろからわたくしを睨み続けるグルムバッハさまも続いて歩いておりますが、あの方も魔術解析を選択されたのですね。
「あっ、レオン〜!」
 そして、ガウスさまもまた。成程、恐らくレーヴェさまが選択される科目を想定されて選ばれたのでしょう。その満面の笑みを見れば分かりますとも。
 しかし、その隣に立つわたくしを見た途端舌打ちでもされそうなお顔に変わられました。
 グルムバッハさまも、ガウスさまも、感情表現豊かでございますね。ああ、そのような恐ろしい形相でいらっしゃるから、レーヴェさまも眉根を寄せておりますよ。