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8.ガイダンスとサークル勧誘

ー/ー



 自己紹介も皆終わり、次はガイダンスの時間でございます。実は少々楽しみにしていたのですよね。

 グライリヒ先生が軽く手を叩き、皆の注目を集めます。そしてボードへ向けて短杖を振るうと、滑らかな筆跡の文字が白いそこへと流れるように書かれて行きました。

 これは投影魔術の一種ですわね、グライリヒ先生の手元に原稿があるのでしょう。ああ、説明が始まるようです、集中せねば。

「高等部では一コマ百分の授業、休憩十分が基本となる。最大六限目まであるから、それが終わったら放課後だ」

 成程、たった百分ですか。ふむ、お昼の休憩は一時間ある、と。一限目が九時からですから、六限目が終わるのは二十時四十分ですわね。

 ただ、これは全てのコマの講義に参加した場合でございます。選択した単位の授業があるコマにだけ出席するという形になるとのこと、ブラッドナイト王国の学院と同じ形ですわね。分かりやすくてよろしくてよ。

「我が校は単位制だ。単位数が足りなければ留年、卒業不可となるのは中等部との違いだな。さて、その単位を取得するための授業についてだが、これらを選択するに当たって、まずは学力テストを行う。明日から三日間、必修科目——例えば数学Ⅰのテストを行い、合格ラインを超えたら数学Ⅱのテストをさせる。そうして数学Ⅳまで合格したら、その時点で四年生までの数学に対する単位を与えることになる」

 ふむ。つまり必修科目で全教科Ⅳまでのテストを合格すれば、その分受ける講義が四年間減るということですわね。そして、それはその他の選択科目にも適用されるのですか。

「来週は選択科目のテストだ。これも合格ラインに達すればその分の講義は免除、次のステップからの受講となる。つまり、最初に良い成績を出せば出すほど楽になる、ということだ」

 ふふん、わたくしにとってみれば最高と言っても過言ではありませんわね。テストで九十点以上しか取ったことがありませんもの、必修科目は単位を頂いたも同然。

 しかしそれ以外の科目については何があるか確認せねばなりませんわね。そして全く講義に出ないというのも問題がございます。何せ、わたくしは国同士の交流を目的としてもいるのですから。

 そうなれば手を抜く——いえ、そんなことは致しません。全てのテストが終わってから考えれば良いことですわ、棚上げとも申しますけれども。

「それじゃあ、手元にある資料を開いてくれ。最初のページは飛ばして、二ページ目から三ページ目までに選択可能な科目が記載されている。その中から自分に合うもの、興味のあるものを選ぶんだ。ああ、必要単位数を越えての選択も可能だ」

 成程、女子と男子では必修科目が異なりますのね。女子のみのものはお裁縫、料理、淑女の礼儀作法、保育、女主人教育、でございますか。わたくしはどれも問題なくこなせますけれども、ちらりと周囲を伺えばあまり芳しくない表情をなされる方が多いご様子。

 皆様どこへ引っかかりを覚えていらっしゃるのでしょう? 料理と保育でしょうか、それならばしかたありませんわね。

「フェリ」
「はい、レーヴェさま。如何なされましたか?」

 あら、一気にわたくしたちへ視線——ではなく聞き耳を立てる気配が集中しましたわ。一体何が……ああ、レーヴェさまの選択科目に聞き耳を立てて、同じものを選択しようと考えていらっしゃるのね。

「フェリはどの科目を選ぶか目星をつけたか?」
「ええ、幾つかは。魔術解析、言語学、生物学、音楽、美術は取りたいと考えております。レーヴェさまはどうなさるのですか?」
「奇遇だな、俺も同じように考えていた。それに実践魔術も併せて取ると良い、共にどうだ?」
「まあ、そうなのですね。ではわたくしもそう致します。他にこれはというものはありますか?」
「そうだな——」

 そうして小声でこそこそとレーヴェさまにお勧めの科目をお聞き致します。成程、ふむふむ。わたくしとレーヴェさまは、必修科目以外の選択科目がほとんど同じになりそうですわね。

 そうしてガイダンス最後に、サークルという活動についてのお話がございました。何でも、有志で集まり何かをなす団体を学生が作っているとのこと。その一覧もガイダンス資料にございましたけれど、どうにも目を引くものはありませんわ。

 どうしましょう、サークルへの所属、または委員会活動への参加のどちらかが必須のようですから、悩みますわね。図書委員会が無難かしら。

 そう思っておりますと、レーヴェさまがわたくしの名を呼びました。

「俺は読書サークルを立ち上げようと思うんだ。フェリ、共に立ち上げてくれないか?」

 まあ、読書サークル! サークル一覧にはありませんでしたわね、ようございます。図書委員会というものは、図書の貸し出しをメインとして行うそうですから、わたくしにはあまり合わぬものと思っておりました。

 しかし、読書サークルならば趣味ともぴたりと合いますから、よろしゅうございます。ええ、このお誘い、乗るが吉ですわ。

「喜んで。レーヴェさまにお誘い頂けて安堵致しました、どのサークルも魅力的ではありますけれど、わたくしに合うかは不安がございましたから」
「そう言って貰えると俺も安心した。それでは、早速放課後に立ち上げの申請をするか。それとも、一応サークル巡りはするのか?」
「いいえ。東方には善は急げとの格言があると聞いたことがございます。であれば、早速立ち上げを行うのがよろしいかと考えますわ」

 わたくしがそう申し上げますと、レーヴェさまも嬉しそうに微笑みながら頷かれました。そうしますと、クラス室にざわめきが起こりましたけれど、どうなされたのでしょう。

 まあ良いでしょう、そんなことより読書サークルの立ち上げでございます。どういった活動内容にするのか、確りと決めねばならないとレーヴェさまが仰いますから、わたくしはそれに同意を示しましょう。

 読書サークルですから、勿論中心となる活動は読書。各々本を持ち寄って、お勧めを読み合うのもよろしいですわね。後はサークル費というものが学園から支給されるそうですから、それで本を買うのも良いでしょう。

 図書館にあるものとはまた異なる、サークルメンバーのお勧めだけの本棚作り、楽しいのではなくて?

 そんなお話を、休憩時間ごとにレーヴェさまとしましたけれど、更に話を詰めるために放課後まで確りと活動方針決めを行いました。

 とても有意義な時間を過ごせましたわね。


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 自己紹介も皆終わり、次はガイダンスの時間でございます。実は少々楽しみにしていたのですよね。
 グライリヒ先生が軽く手を叩き、皆の注目を集めます。そしてボードへ向けて短杖を振るうと、滑らかな筆跡の文字が白いそこへと流れるように書かれて行きました。
 これは投影魔術の一種ですわね、グライリヒ先生の手元に原稿があるのでしょう。ああ、説明が始まるようです、集中せねば。
「高等部では一コマ百分の授業、休憩十分が基本となる。最大六限目まであるから、それが終わったら放課後だ」
 成程、たった百分ですか。ふむ、お昼の休憩は一時間ある、と。一限目が九時からですから、六限目が終わるのは二十時四十分ですわね。
 ただ、これは全てのコマの講義に参加した場合でございます。選択した単位の授業があるコマにだけ出席するという形になるとのこと、ブラッドナイト王国の学院と同じ形ですわね。分かりやすくてよろしくてよ。
「我が校は単位制だ。単位数が足りなければ留年、卒業不可となるのは中等部との違いだな。さて、その単位を取得するための授業についてだが、これらを選択するに当たって、まずは学力テストを行う。明日から三日間、必修科目——例えば数学Ⅰのテストを行い、合格ラインを超えたら数学Ⅱのテストをさせる。そうして数学Ⅳまで合格したら、その時点で四年生までの数学に対する単位を与えることになる」
 ふむ。つまり必修科目で全教科Ⅳまでのテストを合格すれば、その分受ける講義が四年間減るということですわね。そして、それはその他の選択科目にも適用されるのですか。
「来週は選択科目のテストだ。これも合格ラインに達すればその分の講義は免除、次のステップからの受講となる。つまり、最初に良い成績を出せば出すほど楽になる、ということだ」
 ふふん、わたくしにとってみれば最高と言っても過言ではありませんわね。テストで九十点以上しか取ったことがありませんもの、必修科目は単位を頂いたも同然。
 しかしそれ以外の科目については何があるか確認せねばなりませんわね。そして全く講義に出ないというのも問題がございます。何せ、わたくしは国同士の交流を目的としてもいるのですから。
 そうなれば手を抜く——いえ、そんなことは致しません。全てのテストが終わってから考えれば良いことですわ、棚上げとも申しますけれども。
「それじゃあ、手元にある資料を開いてくれ。最初のページは飛ばして、二ページ目から三ページ目までに選択可能な科目が記載されている。その中から自分に合うもの、興味のあるものを選ぶんだ。ああ、必要単位数を越えての選択も可能だ」
 成程、女子と男子では必修科目が異なりますのね。女子のみのものはお裁縫、料理、淑女の礼儀作法、保育、女主人教育、でございますか。わたくしはどれも問題なくこなせますけれども、ちらりと周囲を伺えばあまり芳しくない表情をなされる方が多いご様子。
 皆様どこへ引っかかりを覚えていらっしゃるのでしょう? 料理と保育でしょうか、それならばしかたありませんわね。
「フェリ」
「はい、レーヴェさま。如何なされましたか?」
 あら、一気にわたくしたちへ視線——ではなく聞き耳を立てる気配が集中しましたわ。一体何が……ああ、レーヴェさまの選択科目に聞き耳を立てて、同じものを選択しようと考えていらっしゃるのね。
「フェリはどの科目を選ぶか目星をつけたか?」
「ええ、幾つかは。魔術解析、言語学、生物学、音楽、美術は取りたいと考えております。レーヴェさまはどうなさるのですか?」
「奇遇だな、俺も同じように考えていた。それに実践魔術も併せて取ると良い、共にどうだ?」
「まあ、そうなのですね。ではわたくしもそう致します。他にこれはというものはありますか?」
「そうだな——」
 そうして小声でこそこそとレーヴェさまにお勧めの科目をお聞き致します。成程、ふむふむ。わたくしとレーヴェさまは、必修科目以外の選択科目がほとんど同じになりそうですわね。
 そうしてガイダンス最後に、サークルという活動についてのお話がございました。何でも、有志で集まり何かをなす団体を学生が作っているとのこと。その一覧もガイダンス資料にございましたけれど、どうにも目を引くものはありませんわ。
 どうしましょう、サークルへの所属、または委員会活動への参加のどちらかが必須のようですから、悩みますわね。図書委員会が無難かしら。
 そう思っておりますと、レーヴェさまがわたくしの名を呼びました。
「俺は読書サークルを立ち上げようと思うんだ。フェリ、共に立ち上げてくれないか?」
 まあ、読書サークル! サークル一覧にはありませんでしたわね、ようございます。図書委員会というものは、図書の貸し出しをメインとして行うそうですから、わたくしにはあまり合わぬものと思っておりました。
 しかし、読書サークルならば趣味ともぴたりと合いますから、よろしゅうございます。ええ、このお誘い、乗るが吉ですわ。
「喜んで。レーヴェさまにお誘い頂けて安堵致しました、どのサークルも魅力的ではありますけれど、わたくしに合うかは不安がございましたから」
「そう言って貰えると俺も安心した。それでは、早速放課後に立ち上げの申請をするか。それとも、一応サークル巡りはするのか?」
「いいえ。東方には善は急げとの格言があると聞いたことがございます。であれば、早速立ち上げを行うのがよろしいかと考えますわ」
 わたくしがそう申し上げますと、レーヴェさまも嬉しそうに微笑みながら頷かれました。そうしますと、クラス室にざわめきが起こりましたけれど、どうなされたのでしょう。
 まあ良いでしょう、そんなことより読書サークルの立ち上げでございます。どういった活動内容にするのか、確りと決めねばならないとレーヴェさまが仰いますから、わたくしはそれに同意を示しましょう。
 読書サークルですから、勿論中心となる活動は読書。各々本を持ち寄って、お勧めを読み合うのもよろしいですわね。後はサークル費というものが学園から支給されるそうですから、それで本を買うのも良いでしょう。
 図書館にあるものとはまた異なる、サークルメンバーのお勧めだけの本棚作り、楽しいのではなくて?
 そんなお話を、休憩時間ごとにレーヴェさまとしましたけれど、更に話を詰めるために放課後まで確りと活動方針決めを行いました。
 とても有意義な時間を過ごせましたわね。