旅立ち→
ー/ー
よくある田舎の町。そこから始まる俺の勇者としての物語。
こんなところでもギルドの支社はあるもので、魔王討伐に向かう仲間を探している。とはいっても俺はぞろぞろと大人数を引き連れてワイワイガヤガヤやりたいわけじゃない。
ある程度の戦闘技術と野営の知識があるパートナー、1人いればいいんだ。
「魔法は使える?」
「うん。」
「剣も弓も使えるの?」
「うん。」
「料理もできる?」
「うん。」
即採用。パートナー登録完了!いざゆかん魔王城!
「よろしくな!レイ!」
「うん、リロス。」
少しぼーっとしてる感じはするけど技術やスキルは申し分なさそうだ。オールマイティのスキル持ちなんて滅多にいないからな。
「そういえばレイはなんでこんな田舎町に来てたんだ?」
「ん…リロスがいたから。」
「へー…えっ?どういうこと?」
「リロスと一緒にいたいから。だめ?」
いきなり告白された?俺を知ってるって…?
そっと手を繋いできたレイ。少し力の入れ方に戸惑っているみたいだった。そんなもどかしいことされると俺までなんか照れくさくなる。ま、待て。流されちゃいけない。
気を取り直して。書面でしかレイのステータスは確認しなかったからな。今更ながら勇者の特権スキル『鑑定』をレイに使ってみる。
『職業:魔王 スキル:全属性魔法マスター、生存知識、蘇生術、料理人、狩猟知識、罠知識、ダンジョンマスター、鑑定、千里眼、加護贈与、覇気…』
ギルドもだめだろ書面にすべきところ抜けすぎ。
そもそも…職業魔王て…魔王て…。
「どうしたの?疲れた?」
「い、いや…大丈夫。行こうか。」
たぶんあれだ『魔法使いの王様』の略で『魔王』なんだと思う。スキル強いから。そういうことにする。
だって、横を歩くこいつからは殺意も敵意も感じない。自然にこちらから行こうか、って口に出てしまうくらいに穏やかで親しみを感じすぎる。だいいち、こんなところに魔王がいるわけがないもんな。
前向きに考えて旅をすること数週間―。
「あ、鳥さんがね、この先に美味しいベリーがあるんだって教えてくれたよ。行ってみる?」
「今日は兎が捕れた…うん、大事な命、いただきます。」
「大丈夫?今治すね。」
優しさと慈しみしかない。
こんな穏やかな気持ちで旅をできるなんてな。これもレイのおかげかな。歩く時は常に手を繋いでくるのもなれた。
「なんで繋いでくるんだ?モンスターでも出たら困るだろ?」
「リロスと離れたくないから。」
真っ直ぐな目で見ないでくれ恥ずかしい。聞くんじゃなかったよ。
「まずはお友達からって…それから手を繋いで、時間をかけて気持ちを伝えていくといいんだって言われた。」
誰に?なんの手順を?
その日の夜。野宿することになり焚き火を囲んでいるとレイはぽそりと話し始めた。
「僕はリロスが好きだよ。リロスは僕のこと嫌い?」
「はっ?!すっ…え?まて…なんで急に?!」
手を繋ぐのは好きのアピール。
仲間としての好きでは無いのはその真剣な目から伝わってくる。カーっと顔が熱くなるのを感じた。こんなこと今まで無かったから。いや、焚き火の火のせいかも。
「手を繋ぐの、嫌じゃなかったんでしょ?」
「そ、れは…でもそれが…そういう気持ちなのかどうかは。」
前のめりに俺に近づいて、顔を覗き込んで…そっと頬に触れようとしてきた。俺は、無意識に全身を強張らせてしまっていた。それに気付いたレイは、
「…無理強いは駄目だって言うのも教えてもらった。」
「はっ…わ、わるい…。」
ニコリと微笑んで俺から離れたレイは焚き火に巻きを焚べる。「おやすみ」と言ったレイの横顔は少し哀しそうな表情だった気がする。
でも、俺もこの気持ちをどうしたらいいのかがわからないから。マントに包まって横になることしか選択できなかった。
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ある程度の戦闘技術と野営の知識があるパートナー、1人いればいいんだ。
「魔法は使える?」
「うん。」
「剣も弓も使えるの?」
「うん。」
「料理もできる?」
「うん。」
即採用。パートナー登録完了!いざゆかん魔王城!
「よろしくな!レイ!」
「うん、リロス。」
少しぼーっとしてる感じはするけど技術やスキルは申し分なさそうだ。オールマイティのスキル持ちなんて滅多にいないからな。
「そういえばレイはなんでこんな田舎町に来てたんだ?」
「ん…リロスがいたから。」
「へー…えっ?どういうこと?」
「リロスと一緒にいたいから。だめ?」
いきなり告白された?俺を知ってるって…?
そっと手を繋いできたレイ。少し力の入れ方に戸惑っているみたいだった。そんなもどかしいことされると俺までなんか照れくさくなる。ま、待て。流されちゃいけない。
気を取り直して。書面でしかレイのステータスは確認しなかったからな。今更ながら勇者の特権スキル『鑑定』をレイに使ってみる。
『職業:魔王 スキル:全属性魔法マスター、生存知識、蘇生術、料理人、狩猟知識、罠知識、ダンジョンマスター、鑑定、千里眼、加護贈与、覇気…』
ギルドもだめだろ書面にすべきところ抜けすぎ。
そもそも…職業魔王て…魔王て…。
「どうしたの?疲れた?」
「い、いや…大丈夫。行こうか。」
たぶんあれだ『魔法使いの王様』の略で『魔王』なんだと思う。スキル強いから。そういうことにする。
だって、横を歩くこいつからは殺意も敵意も感じない。自然にこちらから行こうか、って口に出てしまうくらいに穏やかで親しみを感じすぎる。だいいち、こんなところに魔王がいるわけがないもんな。
前向きに考えて旅をすること数週間―。
「あ、鳥さんがね、この先に美味しいベリーがあるんだって教えてくれたよ。行ってみる?」
「今日は兎が捕れた…うん、大事な命、いただきます。」
「大丈夫?今治すね。」
優しさと慈しみしかない。
こんな穏やかな気持ちで旅をできるなんてな。これもレイのおかげかな。歩く時は常に手を繋いでくるのもなれた。
「なんで繋いでくるんだ?モンスターでも出たら困るだろ?」
「リロスと離れたくないから。」
真っ直ぐな目で見ないでくれ恥ずかしい。聞くんじゃなかったよ。
「まずはお友達からって…それから手を繋いで、時間をかけて気持ちを伝えていくといいんだって言われた。」
誰に?なんの手順を?
その日の夜。野宿することになり焚き火を囲んでいるとレイはぽそりと話し始めた。
「僕はリロスが好きだよ。リロスは僕のこと嫌い?」
「はっ?!すっ…え?まて…なんで急に?!」
手を繋ぐのは好きのアピール。
仲間としての好きでは無いのはその真剣な目から伝わってくる。カーっと顔が熱くなるのを感じた。こんなこと今まで無かったから。いや、焚き火の火のせいかも。
「手を繋ぐの、嫌じゃなかったんでしょ?」
「そ、れは…でもそれが…そういう気持ちなのかどうかは。」
前のめりに俺に近づいて、顔を覗き込んで…そっと頬に触れようとしてきた。俺は、無意識に全身を強張らせてしまっていた。それに気付いたレイは、
「…無理強いは駄目だって言うのも教えてもらった。」
「はっ…わ、わるい…。」
ニコリと微笑んで俺から離れたレイは焚き火に巻きを焚べる。「おやすみ」と言ったレイの横顔は少し哀しそうな表情だった気がする。
でも、俺もこの気持ちをどうしたらいいのかがわからないから。マントに包まって横になることしか選択できなかった。