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第3話 「憎悪」

ー/ー



「俺には二人仲間がいた
  その一人はとにかく破天荒なヤツでもあり...
    復讐に燃え、復讐に生きるヤツでもあった」


「お~い、兄ちゃん、着いたぞ~」

「...ん?寝てたか...。サンキューな!漁師さん!」

「おう!気ィ付けていけよ!」

ティエラはまず北海道に上陸した。

著しく「再建」が進んでない北海道。

ティエラは樺太に行くため、とりあえず北に進むことにした。

一時間ほど歩いたその時、ティエラはある森にたどり着いていた。森は危険だ。敵が潜伏している可能性がある。

(早めに抜けなきゃな...)

そう思った時だった。

急に地鳴りが森中に響いた。

ティエラはその音源のほうを見る。

その光景は衝撃的なものだった。

木が生えたのだ。大地から。五秒足らずで。

ティエラはその場所に向かった。木陰に隠れながら進む。

と、その時だった。ティエラが隠れていた木から突然拳が突き出てきた。

「うわっ!?」

身を貫かれた木は轟音をたてながら倒れた。黒い衣に身を包んだものが拳を前に突き出したまま立っている。

(う、嘘だろ?一本の木を一撃の正拳突きで!?)

「おい」

「なっ、なんだ?」

「何者だ?」

「ティエラだ。もしかして、アンタの森だったのか?」

黒衣の者はうなずいた。

黒衣の者は、あまり身長は高くなく、声質的に子供だ。

「どうやってこんな森を手に入れたんだ?」

「創った」

「は?」

「だから、創った」

「もしかして、特殊能力者?」

黒衣の者はうなずく。

「年は?」

「13」

「13か...。特籍軍...じゃなさそうだな」

黒衣の者の顔はフードであまり見えないが、目なら少し見える。黒衣の者の目は燃えるように強い目をしている。

「アンタ...もしかして過去にかなりツライことでもあったのか?家族を失った...とか」

「黙れ。それ以上人の心に土足で踏み入るな」

黒衣の者は戸惑っていた。初対面の相手がなぜ自分の過去のことを知っているのか、と。

自分の記憶をのぞき見られたような気がし、それは、とても不快なものに感じた。

「あれ?もしかして当たってた?あてずっぽで言ってみたんだけど...」

「黙れと言っている」

「わ、悪かったよ...」

「分かればいい」

(こ、こえー...)

ティエラがやりにくそうにしていたその時だった。

「みぃ~つけた♡」

「「!?」」

「探したわよ~ティ・エ・ラ♡さてと...手間のかかる悪いコには、おしおきの時間!!」

「特籍軍...!」

「アタシのナマエはT・アツコ。毒ガスを操る特殊能力者...。それじゃあ早速、くらいなさァ~い!!」

そう言うと、T・アツコはそこら中に毒霧を放出し始めた。

ティエラは鉄で錬成した剣で斬りかかろうとしたが、なぜか、力が入らない。

「!?体中の...力が、抜ける...?」

これがT・アツコ毒の効果である。毒をくらった者は、体内のエネルギーを強制的に体外へと放出させられるのだ。

黒衣の者はその一部始終を見ていた。が、ついに見かねてしまったのか、T・アツコの背後に回る。T・アツコは背後の存在に全く気付いていない。

「フンッ!!」

「!?ゴバハアッ!?」

ドスッという音とともに、T・アツコの腹部から拳が突き出てきた。
T・アツコは、吐血しながら倒れた。

「す、すげぇ...それ、なんて技だ?」

「風穴拳・奥義・風穴(ギャップ)形成。その名の通り、相手の身体に正拳突きで風穴(ギャップ)を形成する技だ」

(エッ...エッグ...)

「アンタ、まだ毒回ってるんだろ?これ、食えよ」

「なんだこれ?」

「薬草」

「あ?ああ...薬草ね...サンキュサンキュ」

ティエラは薬草を一口、口にした。一口だけでも身体が回復してきているのが分かる。

「フ...フフ...お強、いの、ね...」

「まだ生きてたのかよ...」

黒衣の者は突然拳を勢いよく握りしめた。

「植生(バイオーム)形成)

次の瞬間、T・アツコの体内から何本もの木が飛び出してきた。

無論、T・アツコの身体は木端微塵である。

「風穴形成したときに、アイツの対内に種子をばらまいておいたんだ」

(う~っわ...。エッッッッッッグ!!)

もうお分かりだろうと思うが、黒衣の者の特殊能力は、種子を生み出し、数秒で木に成長させるというもの。風穴形成に関しては、特殊能力ではなく、体術である。

「お見事、お見事~」

「「!?」」

パチパチと拍手をしながら背後から突然サングラスをした男が出てきた。
金髪天パが彼の存在感を際立たせている。

(...全く気配がしなかった。こいつ...何者だ?)

「いやぁ~、スゴイなそこの黒いヤツ~。ビックリしちまったよ~。まさかまだ風穴拳使えるヤツがいたなんて」

「!?なんで風穴拳のことを...!?」

「アイツらさ~、マジ害悪だったんだよねぇ~。徒党組んで世界国家に反抗するなんてさ~。バッカだよな~勝てるわけないのにさ~」

「やめろ...」

黒衣の者の拳は怒りで震えている。

「え?なに?聞こえないんだけど。ザコの一族の生き残りの話なんて耳にも入らないわ~」

「故郷を...大切な家族を...バカにするなァー--------ッ!!!!!!」

黒衣の者は物凄い勢いで正拳突きを男にぶちかました。

が、

「あ...当たらない...!?」

「だからザコって言ってんじゃん、さっきから」

(あれは...!)

ティエラは、男の周辺に透明な壁があることに気が付いた。

「バリアを使うのか...?」

「大正解。さっすがティエラってとこか?あとな~、もう一個あんだけど、このバリアは相手から受けた衝撃を吸収するんだ。つまり...」

男はパチンッと指を鳴らした。

次の瞬間、黒衣の者はとんでもない勢いで吹っ飛ばされた。

「吸収した衝撃を放出することだってできる」

「カウンターってことか」

「まあな、あ~そうそう。俺お前に用があって来たんだったわ」

ティエラは身構える。

「まあまあ、そう警戒すんなって。一言、言いたいことがあって来ただけだから。そんじゃ、一言、言わせてもらうぜ...」

『とっととくたばれ。このクソ野郎』

サングラス越しでもわかる。そう告げた瞬間、男の目は怨憎で燃えていた。

「...は?それだけ?」

「ああ。それだけ」

「どういう意味だ?」

「分かんねぇのか...。ま、そのうち分かる時が来るだろうよ。またな、ティエラ」

そう言うと、男は去っていった。

(なんだったんだ...?アイツ...)

「う、う~ん...」

「!!おい、大丈夫か?」

起こそうとした瞬間、黒衣の者のフードが脱げた。その後、黒衣の者は邪魔そうに黒衣を脱ぎ去った。

ティエラは衝撃を受けた。

「お、おい...その頭の後ろにあるソレ...」

「?これ?おさげだけど?」

(ウッソだろ!?コイツ女だったのかよ!?)

「...あッ!!お前まさかアタシのこと男と思ってたのか!?」

ティエラは唖然としている。

”彼女”の正体...それは、おさげが特徴の黒髪の少女であった。
それと、中華的な民族衣装も特徴である。

「図星かよ...。にしても、お前どうしてこんな寒い北海道なんかに?」

「大陸に行くためだ」

「大陸に!?」

「ああ。世界国家に殴り込みにな」

「そうか...。そーゆーことなら...アタシも連れていきな!!」

「はぁッ!?なんで!!」

「アタシにとって世界国家は人生の仇だ。”アイツら”をぶっ潰さなきゃアタシは死ねないんだよ!」

「”アイツら”?」

「お前、『セイレーン』って知ってっか?」

「いや、知らねぇ。何だソイツら?」

「アタシの家族を...故郷を...何もかも消しやがったヤツらだ!」

『セイレーン』

彼女が言うには、とにかく、とんでもなく強い特殊能力者の少人数の集団らしい。それも世界国家直属だ。

「アイツらのせいで...!」

時は2年前に遡る。

彼女の家族は世界国家の東部地方(東アジア、東南アジア、オセアニアを指す地域)に分布する風穴拳を使う一族(以下、風穴拳一族とする)の一員だった。

2年前、風穴拳一族が一斉に集結し、一族の自治権を求めて反乱を起こした。

彼女とその家族ももちろん同胞としてこれに参加した。

初めのうちは風穴拳のほうが優勢だったのだが、途中で世界国家がセイレーンの者を一人派遣したことによって戦局が一気に覆され、それからわずか3日で反乱は鎮圧。その後、風穴拳一族は皆殺しにされ始めた。

彼女も、その家族も、もちろんその対象であった。そして、大雨の中、悲劇は起こった。

「イヤだよ!アタシ、父さんと母さんと離れ離れになるのはイヤ!!」

「お願い、母さんのいうことを聞いてちょうだい」

次の瞬間、彼女の父親が殺害された。

「ほら、はやく行きなさいッ!!生きて...生きて必ず、幸」

母親までもが殺害されてしまった。

セイレーンの者はまだ生き残りがいないかと周りをキョロキョロと見渡している。

その時には、彼女はもうとっくに逃げ出していた。

逃げる彼女の背後からは、勝利の歓声を上げる多国籍軍の声が聞こえる。

今にも泣き出しそうであったが、彼女は目をギュッとつむり、歯を食いしばりながら遠く遠くへと走っていった。そして、命からがら大陸から脱出し、北海道に渡り、今に至る。

これらの過去を、彼女はティエラに全て明かした。ティエラは最後まで黙って聞いていた。

「アタシは世界国家に...セイレーンに...人生をめちゃくちゃにされたんだ...!だからアタシはアイツらに皆の仇を打つんだ!!」

その時ティエラが口を開いた。

「話は聞いた...。お前、名は?」

「!!ユカ...T・ユカだ!!」

こうしてT・ユカは、ティエラの仲間となったのだった。


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  その一人はとにかく破天荒なヤツでもあり...
    復讐に燃え、復讐に生きるヤツでもあった」
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「おう!気ィ付けていけよ!」
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著しく「再建」が進んでない北海道。
ティエラは樺太に行くため、とりあえず北に進むことにした。
一時間ほど歩いたその時、ティエラはある森にたどり着いていた。森は危険だ。敵が潜伏している可能性がある。
(早めに抜けなきゃな...)
そう思った時だった。
急に地鳴りが森中に響いた。
ティエラはその音源のほうを見る。
その光景は衝撃的なものだった。
木が生えたのだ。大地から。五秒足らずで。
ティエラはその場所に向かった。木陰に隠れながら進む。
と、その時だった。ティエラが隠れていた木から突然拳が突き出てきた。
「うわっ!?」
身を貫かれた木は轟音をたてながら倒れた。黒い衣に身を包んだものが拳を前に突き出したまま立っている。
(う、嘘だろ?一本の木を一撃の正拳突きで!?)
「おい」
「なっ、なんだ?」
「何者だ?」
「ティエラだ。もしかして、アンタの森だったのか?」
黒衣の者はうなずいた。
黒衣の者は、あまり身長は高くなく、声質的に子供だ。
「どうやってこんな森を手に入れたんだ?」
「創った」
「は?」
「だから、創った」
「もしかして、特殊能力者?」
黒衣の者はうなずく。
「年は?」
「13」
「13か...。特籍軍...じゃなさそうだな」
黒衣の者の顔はフードであまり見えないが、目なら少し見える。黒衣の者の目は燃えるように強い目をしている。
「アンタ...もしかして過去にかなりツライことでもあったのか?家族を失った...とか」
「黙れ。それ以上人の心に土足で踏み入るな」
黒衣の者は戸惑っていた。初対面の相手がなぜ自分の過去のことを知っているのか、と。
自分の記憶をのぞき見られたような気がし、それは、とても不快なものに感じた。
「あれ?もしかして当たってた?あてずっぽで言ってみたんだけど...」
「黙れと言っている」
「わ、悪かったよ...」
「分かればいい」
(こ、こえー...)
ティエラがやりにくそうにしていたその時だった。
「みぃ~つけた♡」
「「!?」」
「探したわよ~ティ・エ・ラ♡さてと...手間のかかる悪いコには、おしおきの時間!!」
「特籍軍...!」
「アタシのナマエはT・アツコ。毒ガスを操る特殊能力者...。それじゃあ早速、くらいなさァ~い!!」
そう言うと、T・アツコはそこら中に毒霧を放出し始めた。
ティエラは鉄で錬成した剣で斬りかかろうとしたが、なぜか、力が入らない。
「!?体中の...力が、抜ける...?」
これがT・アツコ毒の効果である。毒をくらった者は、体内のエネルギーを強制的に体外へと放出させられるのだ。
黒衣の者はその一部始終を見ていた。が、ついに見かねてしまったのか、T・アツコの背後に回る。T・アツコは背後の存在に全く気付いていない。
「フンッ!!」
「!?ゴバハアッ!?」
ドスッという音とともに、T・アツコの腹部から拳が突き出てきた。
T・アツコは、吐血しながら倒れた。
「す、すげぇ...それ、なんて技だ?」
「風穴拳・奥義・風穴(ギャップ)形成。その名の通り、相手の身体に正拳突きで風穴(ギャップ)を形成する技だ」
(エッ...エッグ...)
「アンタ、まだ毒回ってるんだろ?これ、食えよ」
「なんだこれ?」
「薬草」
「あ?ああ...薬草ね...サンキュサンキュ」
ティエラは薬草を一口、口にした。一口だけでも身体が回復してきているのが分かる。
「フ...フフ...お強、いの、ね...」
「まだ生きてたのかよ...」
黒衣の者は突然拳を勢いよく握りしめた。
「植生(バイオーム)形成)
次の瞬間、T・アツコの体内から何本もの木が飛び出してきた。
無論、T・アツコの身体は木端微塵である。
「風穴形成したときに、アイツの対内に種子をばらまいておいたんだ」
(う~っわ...。エッッッッッッグ!!)
もうお分かりだろうと思うが、黒衣の者の特殊能力は、種子を生み出し、数秒で木に成長させるというもの。風穴形成に関しては、特殊能力ではなく、体術である。
「お見事、お見事~」
「「!?」」
パチパチと拍手をしながら背後から突然サングラスをした男が出てきた。
金髪天パが彼の存在感を際立たせている。
(...全く気配がしなかった。こいつ...何者だ?)
「いやぁ~、スゴイなそこの黒いヤツ~。ビックリしちまったよ~。まさかまだ風穴拳使えるヤツがいたなんて」
「!?なんで風穴拳のことを...!?」
「アイツらさ~、マジ害悪だったんだよねぇ~。徒党組んで世界国家に反抗するなんてさ~。バッカだよな~勝てるわけないのにさ~」
「やめろ...」
黒衣の者の拳は怒りで震えている。
「え?なに?聞こえないんだけど。ザコの一族の生き残りの話なんて耳にも入らないわ~」
「故郷を...大切な家族を...バカにするなァー--------ッ!!!!!!」
黒衣の者は物凄い勢いで正拳突きを男にぶちかました。
が、
「あ...当たらない...!?」
「だからザコって言ってんじゃん、さっきから」
(あれは...!)
ティエラは、男の周辺に透明な壁があることに気が付いた。
「バリアを使うのか...?」
「大正解。さっすがティエラってとこか?あとな~、もう一個あんだけど、このバリアは相手から受けた衝撃を吸収するんだ。つまり...」
男はパチンッと指を鳴らした。
次の瞬間、黒衣の者はとんでもない勢いで吹っ飛ばされた。
「吸収した衝撃を放出することだってできる」
「カウンターってことか」
「まあな、あ~そうそう。俺お前に用があって来たんだったわ」
ティエラは身構える。
「まあまあ、そう警戒すんなって。一言、言いたいことがあって来ただけだから。そんじゃ、一言、言わせてもらうぜ...」
『とっととくたばれ。このクソ野郎』
サングラス越しでもわかる。そう告げた瞬間、男の目は怨憎で燃えていた。
「...は?それだけ?」
「ああ。それだけ」
「どういう意味だ?」
「分かんねぇのか...。ま、そのうち分かる時が来るだろうよ。またな、ティエラ」
そう言うと、男は去っていった。
(なんだったんだ...?アイツ...)
「う、う~ん...」
「!!おい、大丈夫か?」
起こそうとした瞬間、黒衣の者のフードが脱げた。その後、黒衣の者は邪魔そうに黒衣を脱ぎ去った。
ティエラは衝撃を受けた。
「お、おい...その頭の後ろにあるソレ...」
「?これ?おさげだけど?」
(ウッソだろ!?コイツ女だったのかよ!?)
「...あッ!!お前まさかアタシのこと男と思ってたのか!?」
ティエラは唖然としている。
”彼女”の正体...それは、おさげが特徴の黒髪の少女であった。
それと、中華的な民族衣装も特徴である。
「図星かよ...。にしても、お前どうしてこんな寒い北海道なんかに?」
「大陸に行くためだ」
「大陸に!?」
「ああ。世界国家に殴り込みにな」
「そうか...。そーゆーことなら...アタシも連れていきな!!」
「はぁッ!?なんで!!」
「アタシにとって世界国家は人生の仇だ。”アイツら”をぶっ潰さなきゃアタシは死ねないんだよ!」
「”アイツら”?」
「お前、『セイレーン』って知ってっか?」
「いや、知らねぇ。何だソイツら?」
「アタシの家族を...故郷を...何もかも消しやがったヤツらだ!」
『セイレーン』
彼女が言うには、とにかく、とんでもなく強い特殊能力者の少人数の集団らしい。それも世界国家直属だ。
「アイツらのせいで...!」
時は2年前に遡る。
彼女の家族は世界国家の東部地方(東アジア、東南アジア、オセアニアを指す地域)に分布する風穴拳を使う一族(以下、風穴拳一族とする)の一員だった。
2年前、風穴拳一族が一斉に集結し、一族の自治権を求めて反乱を起こした。
彼女とその家族ももちろん同胞としてこれに参加した。
初めのうちは風穴拳のほうが優勢だったのだが、途中で世界国家がセイレーンの者を一人派遣したことによって戦局が一気に覆され、それからわずか3日で反乱は鎮圧。その後、風穴拳一族は皆殺しにされ始めた。
彼女も、その家族も、もちろんその対象であった。そして、大雨の中、悲劇は起こった。
「イヤだよ!アタシ、父さんと母さんと離れ離れになるのはイヤ!!」
「お願い、母さんのいうことを聞いてちょうだい」
次の瞬間、彼女の父親が殺害された。
「ほら、はやく行きなさいッ!!生きて...生きて必ず、幸」
母親までもが殺害されてしまった。
セイレーンの者はまだ生き残りがいないかと周りをキョロキョロと見渡している。
その時には、彼女はもうとっくに逃げ出していた。
逃げる彼女の背後からは、勝利の歓声を上げる多国籍軍の声が聞こえる。
今にも泣き出しそうであったが、彼女は目をギュッとつむり、歯を食いしばりながら遠く遠くへと走っていった。そして、命からがら大陸から脱出し、北海道に渡り、今に至る。
これらの過去を、彼女はティエラに全て明かした。ティエラは最後まで黙って聞いていた。
「アタシは世界国家に...セイレーンに...人生をめちゃくちゃにされたんだ...!だからアタシはアイツらに皆の仇を打つんだ!!」
その時ティエラが口を開いた。
「話は聞いた...。お前、名は?」
「!!ユカ...T・ユカだ!!」
こうしてT・ユカは、ティエラの仲間となったのだった。