表示設定
表示設定
目次 目次




12

ー/ー



 だけど仲よくすることで、長岡さんがほかの子に目を向けるのを邪魔してしまう気もして。……もしかして私、邪魔したいのかな。ずっと私のこと好きでいてほしいとか思っている?

 私は桔平くんしか見ていないし、桔平くん以外の人とどうにかなるなんてことは、絶対にないって言い切れるのに。それなのにみんなから好かれたい、私のことを好きでいてほしいって思ってしまうのは、寂しかった過去の反動なのかもしれない。

 こんなグチャグチャに汚い私の感情を、桔平くんはどう感じるんだろう。

「長岡は邪なこと考える男じゃねぇし、愛茉とは普通に友達として仲よくしたいと思ってんじゃねぇかな。ただ、オレに遠慮しているんだろうけど」
「……私、別にヤキモチを妬かせたいわけじゃないよ」
「分かってるって。アイツは誠実だから、友達になること自体は、なんも思わねぇよ。むしろ、いいことなんじゃねぇの」

 桔平くんは私にもたれかかって、手を握ってきた。

「愛茉は男友達がいなかっただろ? 男と女イコール恋愛ってところもあったし。長岡みたいに、自分の感情と上手く付き合える男なら、オレも安心」
「安心?」
「オレにだって、多少なりとも独占欲はあるんだよ」

 握った手に、軽く力がこめられる。独占欲というワードに、思わず胸がキュンとしてしまった。

「信じていないわけでも、不安があるわけでもねぇけど。愛茉のことを独り占めしたいって気持ちも、少しはあるわけよ」
「ほんと?」
「こんなことで嘘つくわけねぇだろ。でも愛茉には、いろんな人間と関わってほしいって気持ちがあるのも本当。長岡も小林も個性は強いけど、そういう人間は、自分の可能性をどんどん広げてくれるからさ」

 きっと、桔平くん自身がそう感じているんだろうな。なんだかんだ言いながら、小林さんのことも認めているみたいだし。

 個性的な人は自分にない視点をたくさん持っているから、いろいろと気づかされることが多い。桔平くんも、私の可能性を一気に広げてくれたもんね。

「……じゃあ、仲よくします。一佐くん……英哉くんと」
「ああ。アイツらも喜ぶよ」

 モヤッとした気持ちがなくなった。やっぱり私はずるいなぁ。みんなから好かれたいのに、桔平くんには独占されたいなんて。
 でも、そんな私もまるっと受け入れてくれるのが桔平くんなんだよね。

 人間の感情は複雑で、相反する想いが同居することもある。だからたまに心が不安定になるけれど、折り合いをつけながら生きているのは、桔平くんも同じなのかもしれない。

「ねぇ、帰ったらギュッてしてね」

 なんとなく甘えたい気分になって、桔平くんの肩に頭を乗せる。そこに、桔平くんが自分の頭をコツンとぶつけた。
 
「嫌ってほどしてやるから、覚悟しとけよ」

 ちょっと雄っぽい桔平くんの声色に、ドキドキする。早く家に着かないかな。そんなことを思いながら、手を強く握り返した。


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 1


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



 だけど仲よくすることで、長岡さんがほかの子に目を向けるのを邪魔してしまう気もして。……もしかして私、邪魔したいのかな。ずっと私のこと好きでいてほしいとか思っている?
 私は桔平くんしか見ていないし、桔平くん以外の人とどうにかなるなんてことは、絶対にないって言い切れるのに。それなのにみんなから好かれたい、私のことを好きでいてほしいって思ってしまうのは、寂しかった過去の反動なのかもしれない。
 こんなグチャグチャに汚い私の感情を、桔平くんはどう感じるんだろう。
「長岡は邪なこと考える男じゃねぇし、愛茉とは普通に友達として仲よくしたいと思ってんじゃねぇかな。ただ、オレに遠慮しているんだろうけど」
「……私、別にヤキモチを妬かせたいわけじゃないよ」
「分かってるって。アイツは誠実だから、友達になること自体は、なんも思わねぇよ。むしろ、いいことなんじゃねぇの」
 桔平くんは私にもたれかかって、手を握ってきた。
「愛茉は男友達がいなかっただろ? 男と女イコール恋愛ってところもあったし。長岡みたいに、自分の感情と上手く付き合える男なら、オレも安心」
「安心?」
「オレにだって、多少なりとも独占欲はあるんだよ」
 握った手に、軽く力がこめられる。独占欲というワードに、思わず胸がキュンとしてしまった。
「信じていないわけでも、不安があるわけでもねぇけど。愛茉のことを独り占めしたいって気持ちも、少しはあるわけよ」
「ほんと?」
「こんなことで嘘つくわけねぇだろ。でも愛茉には、いろんな人間と関わってほしいって気持ちがあるのも本当。長岡も小林も個性は強いけど、そういう人間は、自分の可能性をどんどん広げてくれるからさ」
 きっと、桔平くん自身がそう感じているんだろうな。なんだかんだ言いながら、小林さんのことも認めているみたいだし。
 個性的な人は自分にない視点をたくさん持っているから、いろいろと気づかされることが多い。桔平くんも、私の可能性を一気に広げてくれたもんね。
「……じゃあ、仲よくします。一佐くん……英哉くんと」
「ああ。アイツらも喜ぶよ」
 モヤッとした気持ちがなくなった。やっぱり私はずるいなぁ。みんなから好かれたいのに、桔平くんには独占されたいなんて。
 でも、そんな私もまるっと受け入れてくれるのが桔平くんなんだよね。
 人間の感情は複雑で、相反する想いが同居することもある。だからたまに心が不安定になるけれど、折り合いをつけながら生きているのは、桔平くんも同じなのかもしれない。
「ねぇ、帰ったらギュッてしてね」
 なんとなく甘えたい気分になって、桔平くんの肩に頭を乗せる。そこに、桔平くんが自分の頭をコツンとぶつけた。
「嫌ってほどしてやるから、覚悟しとけよ」
 ちょっと雄っぽい桔平くんの声色に、ドキドキする。早く家に着かないかな。そんなことを思いながら、手を強く握り返した。