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21

ー/ー



「あ、ごめん。起こした?」
「あ! いっ……」
「う?」
「え、じゃなくて! いま、何時⁉」

 慌てて半身を起こしてスマホを探す。待って待って、私どのくらい寝ていたの?

「0時半過ぎ」
「うわーん過ぎちゃった! 起こしてよぉ!」
「なんでだよ……うおっ」

 タックルするように、思いきり抱きつく。勢いあまって桔平くんが仰向けに倒れて、私が押さえ込む形になっちゃった。

「誕生日! おめでとう!」
「お、おお。ありがとう」
「うう、0時ピッタリに言う計画だったのに……」
「あー、そういうことか。いつ言われようが、嬉しいのに変わりねぇって」

 あたたかい手が、背中と頭を撫でてくれる。初めて桔平くんに触れられたときからなにも変わらない、最上級の心地よさ。

 ウズウズしてしまって、私のほうからキスをした。この唇の感触も大好きなの。

「……夜ご飯、頑張って作るね。お母様みたいなコース料理じゃないし、味も劣っちゃうけど」
「愛茉の飯が一番に決まってんじゃん。それがないと、もう生きていけねぇもん」

 お世辞でも大袈裟でも、嬉しいものは嬉しい。やっぱり優しいな。
 しばらくそのまま抱き合って、たくさんキスをした。

「ほら、疲れてるだろ。明日学校なんだし、ちゃんと寝とけよ」
「桔平くんは?」
「オレも寝る。眠い」

 付き合いたてのころは、私が寝たあとも真夜中まで起きていたのにね。桔平くんから離れて元の位置に戻りながら、ふと懐かしく感じて、ひとりでニヤけてしまった。

「電気消すぞー」
「はぁい」
 
 部屋の電気が全部消えても、カーテンがない大きな窓からは、満月の灯りがぼんやりと差し込んでくる。それを桔平くんの肩越しに見るのが好きだった。

 いつものように向かい合って、お互いの手を握る。一日を幸せな気分で終えるための、私たちの日課。

「愛茉」

 握った手に力を込めながら、桔平くんが私の名前を呼ぶ。
 
「そばにいてくれて、ありがとう」

 胸がギュっとなった。嬉しくて幸せで、桔平くんがとっても愛おしくて。全身がゾワゾワしてくる。この感覚は、表現するのが難しい。桔平くんの愛情が体中のすみずみまで行き渡って、細胞のひとつひとつが喜んでいるような感じ。

「私はずっと、桔平くんのそばにいるよ」
「あと65年?」
「うん。あー、やっぱり違うかな。死んじゃったあともずーっと、そばにいたいもん」
「そうだな。一緒に生きて一緒に死んで、来世もその先も、宇宙が消えてなくなっても一緒にいようぜ」

 こんなセリフをさらりと言えるのは、桔平くんぐらいだよ。すっごくキザなのに、様になっちゃう。

 もう一度キスをして、微笑み合った。

「おやすみ」
「おやすみなさい、桔平くん」

 おはようで始まって、おやすみで終わる。こんな毎日が、これからずっとずっと続いていくといいな。

 生まれてきてくれてありがとう。出会ってくれてありがとう。大好きな人の誕生日は、私にとっても嬉しい日。そんな幸せを教えてくれて、本当にありがとう。

 おじいちゃんとおばあちゃんになっても、手を繋いで一緒に寝ようね。

 そう念じてしっかり手を握ったまま、ふたりで夢の世界へと落ちていった。


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「あ、ごめん。起こした?」
「あ! いっ……」
「う?」
「え、じゃなくて! いま、何時⁉」
 慌てて半身を起こしてスマホを探す。待って待って、私どのくらい寝ていたの?
「0時半過ぎ」
「うわーん過ぎちゃった! 起こしてよぉ!」
「なんでだよ……うおっ」
 タックルするように、思いきり抱きつく。勢いあまって桔平くんが仰向けに倒れて、私が押さえ込む形になっちゃった。
「誕生日! おめでとう!」
「お、おお。ありがとう」
「うう、0時ピッタリに言う計画だったのに……」
「あー、そういうことか。いつ言われようが、嬉しいのに変わりねぇって」
 あたたかい手が、背中と頭を撫でてくれる。初めて桔平くんに触れられたときからなにも変わらない、最上級の心地よさ。
 ウズウズしてしまって、私のほうからキスをした。この唇の感触も大好きなの。
「……夜ご飯、頑張って作るね。お母様みたいなコース料理じゃないし、味も劣っちゃうけど」
「愛茉の飯が一番に決まってんじゃん。それがないと、もう生きていけねぇもん」
 お世辞でも大袈裟でも、嬉しいものは嬉しい。やっぱり優しいな。
 しばらくそのまま抱き合って、たくさんキスをした。
「ほら、疲れてるだろ。明日学校なんだし、ちゃんと寝とけよ」
「桔平くんは?」
「オレも寝る。眠い」
 付き合いたてのころは、私が寝たあとも真夜中まで起きていたのにね。桔平くんから離れて元の位置に戻りながら、ふと懐かしく感じて、ひとりでニヤけてしまった。
「電気消すぞー」
「はぁい」
 部屋の電気が全部消えても、カーテンがない大きな窓からは、満月の灯りがぼんやりと差し込んでくる。それを桔平くんの肩越しに見るのが好きだった。
 いつものように向かい合って、お互いの手を握る。一日を幸せな気分で終えるための、私たちの日課。
「愛茉」
 握った手に力を込めながら、桔平くんが私の名前を呼ぶ。
「そばにいてくれて、ありがとう」
 胸がギュっとなった。嬉しくて幸せで、桔平くんがとっても愛おしくて。全身がゾワゾワしてくる。この感覚は、表現するのが難しい。桔平くんの愛情が体中のすみずみまで行き渡って、細胞のひとつひとつが喜んでいるような感じ。
「私はずっと、桔平くんのそばにいるよ」
「あと65年?」
「うん。あー、やっぱり違うかな。死んじゃったあともずーっと、そばにいたいもん」
「そうだな。一緒に生きて一緒に死んで、来世もその先も、宇宙が消えてなくなっても一緒にいようぜ」
 こんなセリフをさらりと言えるのは、桔平くんぐらいだよ。すっごくキザなのに、様になっちゃう。
 もう一度キスをして、微笑み合った。
「おやすみ」
「おやすみなさい、桔平くん」
 おはようで始まって、おやすみで終わる。こんな毎日が、これからずっとずっと続いていくといいな。
 生まれてきてくれてありがとう。出会ってくれてありがとう。大好きな人の誕生日は、私にとっても嬉しい日。そんな幸せを教えてくれて、本当にありがとう。
 おじいちゃんとおばあちゃんになっても、手を繋いで一緒に寝ようね。
 そう念じてしっかり手を握ったまま、ふたりで夢の世界へと落ちていった。