春が来た。
けれども、私は入院したままだった。
窓の外を白く染めていた雪は、解けて水となり、どこかへ旅立っていった。
解けた雪はどこに行ったのだろう。
地面に染み込み地下水になって、川や海に流れ出たのか。
あるいは、蒸発して雲になり、どこかで雨となって降っているのか。
雪は自分では動けない。
けれども、春になって解ければ、空にだって海にだって、きっといろんなところに行けるはず。
そこで何を見て、何を思うのだろう……
私は妄想した。
あるとき、私は大自然に舞い降りる雪……
あるとき、私は公園に降り積もる雪……
あるとき、私はおうちの屋根に積もる雪……
あるとき、私は道路に降り積もる雪……
あるとき、私は木の枝に降り積もる雪……
あるとき、私は…………
季節は巡る。
しかし、私は病室の窓から外を見ているだけ。