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決闘するなよ、俺以外のヤツと 1

ー/ー



「ムツヤ、魔力が一気に回復するポーションでも無いのか?」

 アシノがムツヤに聞いてみると当たり前のように「ありますよ」と返事が来たが、ルーが待ったをかける。

「ムツヤっちならまだしも、ユモトちゃんが魔力を一気に回復させたら体中の魔力のバランスが狂ってショック死しちゃうわよ!!」

「確かに、危ないかもしれませんね」

 ユモトもあははと苦笑いをする。魔力は普通に売られているポーションを使っても回復を促進させるだけで、急な回復はしないのだ。

「んなことは知ってるけどよ、コイツなら副作用なしで回復するモンでも持ってんじゃないのかって聞いてみただけだ」

 一応アシノはムツヤが取り出したオレンジ色の薬を受け取って眺めてみる。そしてルーに渡した。

「ちょっと舐めてみていい?」

「おう、死ぬなよ」

 好奇心に負けて手のひらに1滴薬を垂らし、ルーは舐めた。瞬間ビリビリとした感覚が口の中に広がった。

「うえええええ、純度高すぎ!!! 水ちょうだい水!!」

 ルーはバタバタと騒ぎ始め、ムツヤが水を渡すと一気に飲み干す。

「あー、確かにこれは効くわ。でも研究してから使ったほうが良いかもね」

 ルーは口から水をこぼしながら言う、仕方ねえなとアシノはユモトに尋ねる。

「次の街まで後ちょっとだ、ユモト歩けるか?」

「は、はい大丈夫です!!」

 大丈夫と言うがユモトの顔色はあからさまに悪かった。

「ムツヤ、おぶってやれ」

「わがりまじだ」

 アシノに言われ、ユモトが遠慮するより早くムツヤは背負い上げる。

「ユモト、無理な時は無理と言うのも大事だぞ」

「あ、えっと、すみません……」

 そう言ってユモトはムツヤの背中に顔をうずめて抱きついた。何故かいい匂いがするがユモトは男だ。

「モモは大丈夫か? ヨーリィも平気か?」

 アシノは他の仲間の無事も確認した。

「はい、私の怪我はもう治りましたので」

 モモは胸に手を当て言い、ヨーリィも返事をした。

「私はもう体を維持するだけの魔力は貰った」

「それじゃ出発するか、日が暮れるぐらいには街に着くからな」

 予定時間よりはだいぶ遅れたが、ムツヤ達は街を目指して歩き出す。

 日が暮れてしまったが、まだ明かりを付けなくてもも周りが見えるぐらいの頃、ムツヤ達は街へと着いた。

「着いたぞ、ここがカラスギって街だ」

 アシノが軽く街の名前だけ言う。まばらに光を放っていて、活気のある宿場街といった感じだった。

「どっか適当に宿でも取るぞ」

 衛兵の隣を過ぎるとアシノは頭の後ろで手を組んで歩き出した。

「あの、ムツヤさん。僕もう歩けますんで」

「大丈夫ですか?」

 周りからの視線で恥ずかしさを感じたユモトはムツヤの背中から降りる。

「ありがとうございました」

 ユモトはペコリと1礼してお礼を言う。まだ少し頭がボーッとしているが休めば元気になるだろう。

 先行して歩く皆に少し遅れを取り、追いつこうとした時。ユモトは一瞬フラリとしてしまい、人にぶつかってしまう。

「あっ、大丈夫ですか?」

「す、すみません!!」

 ぶつかった相手の男はユモトが倒れないよう両手で肩を支えてくれた。そして男はそのままユモトの顔を見つめて動かなくなる。

「あ、あの、ぶつかってしまって本当にすみませんでした……」

 ハッとし、慌てて男は手を離す。

「いえ、こちらこそ申し訳無いです。ぶつかったことは気にしないで下さい」

 そう言って視線をそらし男は頭をかいた。ユモトは頭を下げて仲間たちの元へと向かっていく。

 先程、倒れかけたユモトを支えた男は酒場にいた。仲間の冒険者の男と酒を飲んでいる。

「おい、タノベ。お前何かボーッとしてないか?」

 名前はタノベと言うらしい。確かに上の空でいたが、仲間にその事を指摘されても構わずに居た。

 ほんのついさっき、たった数回会話を交わしただけの子の事が忘れられない。

 今まで見た女性と比べても、ひときわ可愛らしい顔、大きな瞳、掴んだ肩の柔らかさ、まるで心地よい音楽を聞いているかのような声。

 俺に天使が舞い降りた! まさにそんな感じであった。せめて名前だけでも聞いておくんだったと後悔する。

「ダメだ、今日は騒ぐ気になれない」

 タノベはそう言って酒を飲んだ。仲間の男の何があったのかという問い詰めにも耳を貸さずにボーッと揚げた芋を食べる。

 そんな中で思わずタノベは飲んでいた酒を吹き出しそうになった。見間違えでなければ目の前を先程の天使が通り過ぎて行ったのだ。

 天使の居るパーティは2つ隣のテーブルに着く。タノベは周りに気取られないようにそのテーブルを意識して見ていた。

「じゃあ乾杯っすね!」

 背丈の割には胸の大きい魔法使いが高いテンションで言う。

「かんぱーい!」

 仲間たちもそれに続いてグラスをぶつけ合う。チラチラ見ていると冒険者のパーティにしてはちょっと異色の組み合わせだった。

 やたら美人のオークにやさぐれた顔をしている赤髪の女。先程の胸の大きい魔術師らしき女に黒いドレスの少女。そして……。

 男が1人。

「おい、急に恐い顔してどうしたお前」

「いや、別に何でもない」

 あの天使とアホそうな男はどういう関係なのかタノベは気になっている。

 30分ほど時間が経ち、タノベも仲間の男もいい感じに酒が回ってきた。

「なぁ、あそこのパーティの女の子達可愛いよな」

「お、そうだな」

 仲間の話に適当に相槌を打つタノベだったが、次の瞬間冷水を掛けられた様に意識がハッキリと戻った。

「俺ちょっと声かけてくるわ!」

「ちょ、ちょっと待て!!!」

 仲間が立ち上がると同時に焦ってタノベも立ち上がってしまった。

「冒険者同士の交流は大事だぜー?」

 ジョッキを持ってウッキウキで2つ隣のテーブルへ向かう仲間を止めようとタノベは追いかけた。


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「ムツヤ、魔力が一気に回復するポーションでも無いのか?」
 アシノがムツヤに聞いてみると当たり前のように「ありますよ」と返事が来たが、ルーが待ったをかける。
「ムツヤっちならまだしも、ユモトちゃんが魔力を一気に回復させたら体中の魔力のバランスが狂ってショック死しちゃうわよ!!」
「確かに、危ないかもしれませんね」
 ユモトもあははと苦笑いをする。魔力は普通に売られているポーションを使っても回復を促進させるだけで、急な回復はしないのだ。
「んなことは知ってるけどよ、コイツなら副作用なしで回復するモンでも持ってんじゃないのかって聞いてみただけだ」
 一応アシノはムツヤが取り出したオレンジ色の薬を受け取って眺めてみる。そしてルーに渡した。
「ちょっと舐めてみていい?」
「おう、死ぬなよ」
 好奇心に負けて手のひらに1滴薬を垂らし、ルーは舐めた。瞬間ビリビリとした感覚が口の中に広がった。
「うえええええ、純度高すぎ!!! 水ちょうだい水!!」
 ルーはバタバタと騒ぎ始め、ムツヤが水を渡すと一気に飲み干す。
「あー、確かにこれは効くわ。でも研究してから使ったほうが良いかもね」
 ルーは口から水をこぼしながら言う、仕方ねえなとアシノはユモトに尋ねる。
「次の街まで後ちょっとだ、ユモト歩けるか?」
「は、はい大丈夫です!!」
 大丈夫と言うがユモトの顔色はあからさまに悪かった。
「ムツヤ、おぶってやれ」
「わがりまじだ」
 アシノに言われ、ユモトが遠慮するより早くムツヤは背負い上げる。
「ユモト、無理な時は無理と言うのも大事だぞ」
「あ、えっと、すみません……」
 そう言ってユモトはムツヤの背中に顔をうずめて抱きついた。何故かいい匂いがするがユモトは男だ。
「モモは大丈夫か? ヨーリィも平気か?」
 アシノは他の仲間の無事も確認した。
「はい、私の怪我はもう治りましたので」
 モモは胸に手を当て言い、ヨーリィも返事をした。
「私はもう体を維持するだけの魔力は貰った」
「それじゃ出発するか、日が暮れるぐらいには街に着くからな」
 予定時間よりはだいぶ遅れたが、ムツヤ達は街を目指して歩き出す。
 日が暮れてしまったが、まだ明かりを付けなくてもも周りが見えるぐらいの頃、ムツヤ達は街へと着いた。
「着いたぞ、ここがカラスギって街だ」
 アシノが軽く街の名前だけ言う。まばらに光を放っていて、活気のある宿場街といった感じだった。
「どっか適当に宿でも取るぞ」
 衛兵の隣を過ぎるとアシノは頭の後ろで手を組んで歩き出した。
「あの、ムツヤさん。僕もう歩けますんで」
「大丈夫ですか?」
 周りからの視線で恥ずかしさを感じたユモトはムツヤの背中から降りる。
「ありがとうございました」
 ユモトはペコリと1礼してお礼を言う。まだ少し頭がボーッとしているが休めば元気になるだろう。
 先行して歩く皆に少し遅れを取り、追いつこうとした時。ユモトは一瞬フラリとしてしまい、人にぶつかってしまう。
「あっ、大丈夫ですか?」
「す、すみません!!」
 ぶつかった相手の男はユモトが倒れないよう両手で肩を支えてくれた。そして男はそのままユモトの顔を見つめて動かなくなる。
「あ、あの、ぶつかってしまって本当にすみませんでした……」
 ハッとし、慌てて男は手を離す。
「いえ、こちらこそ申し訳無いです。ぶつかったことは気にしないで下さい」
 そう言って視線をそらし男は頭をかいた。ユモトは頭を下げて仲間たちの元へと向かっていく。
 先程、倒れかけたユモトを支えた男は酒場にいた。仲間の冒険者の男と酒を飲んでいる。
「おい、タノベ。お前何かボーッとしてないか?」
 名前はタノベと言うらしい。確かに上の空でいたが、仲間にその事を指摘されても構わずに居た。
 ほんのついさっき、たった数回会話を交わしただけの子の事が忘れられない。
 今まで見た女性と比べても、ひときわ可愛らしい顔、大きな瞳、掴んだ肩の柔らかさ、まるで心地よい音楽を聞いているかのような声。
 俺に天使が舞い降りた! まさにそんな感じであった。せめて名前だけでも聞いておくんだったと後悔する。
「ダメだ、今日は騒ぐ気になれない」
 タノベはそう言って酒を飲んだ。仲間の男の何があったのかという問い詰めにも耳を貸さずにボーッと揚げた芋を食べる。
 そんな中で思わずタノベは飲んでいた酒を吹き出しそうになった。見間違えでなければ目の前を先程の天使が通り過ぎて行ったのだ。
 天使の居るパーティは2つ隣のテーブルに着く。タノベは周りに気取られないようにそのテーブルを意識して見ていた。
「じゃあ乾杯っすね!」
 背丈の割には胸の大きい魔法使いが高いテンションで言う。
「かんぱーい!」
 仲間たちもそれに続いてグラスをぶつけ合う。チラチラ見ていると冒険者のパーティにしてはちょっと異色の組み合わせだった。
 やたら美人のオークにやさぐれた顔をしている赤髪の女。先程の胸の大きい魔術師らしき女に黒いドレスの少女。そして……。
 男が1人。
「おい、急に恐い顔してどうしたお前」
「いや、別に何でもない」
 あの天使とアホそうな男はどういう関係なのかタノベは気になっている。
 30分ほど時間が経ち、タノベも仲間の男もいい感じに酒が回ってきた。
「なぁ、あそこのパーティの女の子達可愛いよな」
「お、そうだな」
 仲間の話に適当に相槌を打つタノベだったが、次の瞬間冷水を掛けられた様に意識がハッキリと戻った。
「俺ちょっと声かけてくるわ!」
「ちょ、ちょっと待て!!!」
 仲間が立ち上がると同時に焦ってタノベも立ち上がってしまった。
「冒険者同士の交流は大事だぜー?」
 ジョッキを持ってウッキウキで2つ隣のテーブルへ向かう仲間を止めようとタノベは追いかけた。