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絆 7

ー/ー



 ムツヤは飛び出してルーの元へと向かう。その最中カバンから回復薬を2本取り出した。

 ルーに刺さる槍を放り投げると鮮血が溢れ出た、口に回復薬をあてて飲ませながら貫かれた胸にも薬をかける。

 ムツヤに抱えられぐったりとしていたルーだが、ゆっくりと目を開けた。

「え、私、何が起きたの……」

 本人は何が起きたのか理解していないらしい。ムツヤとルー以外の皆は武器を構えて空を見上げる。

「裏の道具は流石ですね、致命傷も、いとも簡単に治してしまう」

 男は背中から生える羽を使い宙に浮かんでいる。

 ルーが立ち上がるとムツヤは剣を抜いて飛び上がり、振り上げた。しかしそれは容易く避けられムツヤは地面に落下していく。

「お前は何者だ」

 アシノが言うとうーんと男は何かを考え、話し始める。

「私は生まれたばかりの魔人です。名前もありません」

「魔人だと!?」

 アシノの目の色が変わる、ムツヤ以外の皆に緊張が走った。

「名前がないってどういう事だ!」

 ムツヤは魔人ということよりもそっちにツッコミを入れた。

「魔人は突如生まれる者、親も親族もいませんので」

「じゃあ名前を考えてあげましょうか? アンタ変態っぽいわね」

 ルーは、はだけた胸元を抑えながら言った。

「なっ、変態?」

 男はたじろぐ。

「とりあえずスミス辺りで良いんじゃないのか?」

 アシノは興味がなさそうに言う。

「トロールを操っていたし、格好も何か将軍っぽいです」

 ユモトは何気なしに言った。

「うーん、それじゃみんなの意見を合わせて…… あなたの狙いは何?『ドエロスミス将軍』」

「何だその名前は!!!」

 ドエロスミス将軍と名付けられた魔人は雄叫びを上げた。

「まぁいいでしょう、名前は次に会う時までに考えておきます」

「だからドエロスミス将軍でいいじゃない」

「嫌に決まってんだろ!!」

 魔人とルーは言い合いを始めていた、とても先程まで殺されかけたとは思えない状況だ。

「ふぅー、突然ですが私はゲームが好きでしてね」

「本当突然だな」

 敵意をむき出しにしてアシノは言葉を返す。それを見て魔人はニヤリと笑った。

「私の配下にしたトロールと、この近くの街との模擬戦争。素敵なことだと思いませんか?」

 それを聞いてルーは血の気が引いた。

「近くの街ってイタガの事!?」

「あぁ、そんな名前でしたね」

 ルーは魔法の電撃を魔人に打ち上げる。しかし、魔人はそれを避けることもせず正面から浴びた。見る限りでは魔人に傷一つ負わせられていない。

「あんたはここで倒す!!」

 殺意を持ってルーは魔法を乱射するが、一向に魔人に傷付けることが叶わない。

「まぁそう焦らずに、明日の夜また会いましょう」

 魔人はそう言い残すと遠くへ飛び去ってしまう。ルーは膝から崩れ落ちた。

「なんてこと……」

「おい、放心している場合じゃないぞ、街に戻って魔人が生まれた報告と明日の対策を考えねえと」

 アシノはルーだけでなく他の皆にも言った。

 それで皆、我に返る。

「そうですね、とにかく今は一刻も早く街へ帰らないと」

 モモはそう言って馬車を走らせる準備をする。ルーはアシノに支えられながら馬車に乗った。

 全員が馬車に乗るとモモは全速力で走らせた。猶予は1日、どれだけの事が出来るのかアシノは目を瞑って考えていた。


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 ムツヤは飛び出してルーの元へと向かう。その最中カバンから回復薬を2本取り出した。
 ルーに刺さる槍を放り投げると鮮血が溢れ出た、口に回復薬をあてて飲ませながら貫かれた胸にも薬をかける。
 ムツヤに抱えられぐったりとしていたルーだが、ゆっくりと目を開けた。
「え、私、何が起きたの……」
 本人は何が起きたのか理解していないらしい。ムツヤとルー以外の皆は武器を構えて空を見上げる。
「裏の道具は流石ですね、致命傷も、いとも簡単に治してしまう」
 男は背中から生える羽を使い宙に浮かんでいる。
 ルーが立ち上がるとムツヤは剣を抜いて飛び上がり、振り上げた。しかしそれは容易く避けられムツヤは地面に落下していく。
「お前は何者だ」
 アシノが言うとうーんと男は何かを考え、話し始める。
「私は生まれたばかりの魔人です。名前もありません」
「魔人だと!?」
 アシノの目の色が変わる、ムツヤ以外の皆に緊張が走った。
「名前がないってどういう事だ!」
 ムツヤは魔人ということよりもそっちにツッコミを入れた。
「魔人は突如生まれる者、親も親族もいませんので」
「じゃあ名前を考えてあげましょうか? アンタ変態っぽいわね」
 ルーは、はだけた胸元を抑えながら言った。
「なっ、変態?」
 男はたじろぐ。
「とりあえずスミス辺りで良いんじゃないのか?」
 アシノは興味がなさそうに言う。
「トロールを操っていたし、格好も何か将軍っぽいです」
 ユモトは何気なしに言った。
「うーん、それじゃみんなの意見を合わせて…… あなたの狙いは何?『ドエロスミス将軍』」
「何だその名前は!!!」
 ドエロスミス将軍と名付けられた魔人は雄叫びを上げた。
「まぁいいでしょう、名前は次に会う時までに考えておきます」
「だからドエロスミス将軍でいいじゃない」
「嫌に決まってんだろ!!」
 魔人とルーは言い合いを始めていた、とても先程まで殺されかけたとは思えない状況だ。
「ふぅー、突然ですが私はゲームが好きでしてね」
「本当突然だな」
 敵意をむき出しにしてアシノは言葉を返す。それを見て魔人はニヤリと笑った。
「私の配下にしたトロールと、この近くの街との模擬戦争。素敵なことだと思いませんか?」
 それを聞いてルーは血の気が引いた。
「近くの街ってイタガの事!?」
「あぁ、そんな名前でしたね」
 ルーは魔法の電撃を魔人に打ち上げる。しかし、魔人はそれを避けることもせず正面から浴びた。見る限りでは魔人に傷一つ負わせられていない。
「あんたはここで倒す!!」
 殺意を持ってルーは魔法を乱射するが、一向に魔人に傷付けることが叶わない。
「まぁそう焦らずに、明日の夜また会いましょう」
 魔人はそう言い残すと遠くへ飛び去ってしまう。ルーは膝から崩れ落ちた。
「なんてこと……」
「おい、放心している場合じゃないぞ、街に戻って魔人が生まれた報告と明日の対策を考えねえと」
 アシノはルーだけでなく他の皆にも言った。
 それで皆、我に返る。
「そうですね、とにかく今は一刻も早く街へ帰らないと」
 モモはそう言って馬車を走らせる準備をする。ルーはアシノに支えられながら馬車に乗った。
 全員が馬車に乗るとモモは全速力で走らせた。猶予は1日、どれだけの事が出来るのかアシノは目を瞑って考えていた。