【Girl~真理愛~】⑥
ー/ー
昼休み。
今までは澪も入れて席の近い数人で集まって昼食を取っていたのだが、席替えをしていつものメンバーはバラバラになってしまった。
「真理愛ちゃん、お弁当一緒に食べない? 他の人と約束してる?」
どうすればいいのだろう、と逡巡した真理愛に、希実が声を掛けてくる。
「あ、ううん。まだ全然何も……」
「真理愛ちゃん、高尾さん、あたしも入れて! いいかな?」
澪だった。人懐こい彼女に、希実もあっさり笑って承諾する。
「いいよ~。朝倉さんもお弁当?」
「そうだよ。あ、名前で、澪でいいから」
「わかった。じゃあ澪ちゃん、私も希実って呼んでね」
机を動かしながらの澪の台詞に、希実が頷く。
「真理愛ちゃんのお弁当、いっつもキレイで美味しそうだね。すっごい」
自分の弁当を箸で口に運びながら真理愛の弁当箱に目をやり、口の中のものを飲み込んで澪が感心したように言う。
「えー、普通でしょ。祖母と一緒に作ってて祖母は料理上手だけど、あたしの作ったこの玉子焼きとか色もいまいちだし」
真理愛が謙遜ではなく答えるのに、希実が何気なく問い掛けて来た。
「真理愛ちゃんち、お母さん忙しいの?」
「うち、母はもう亡くなってるから。祖父母と父と四人家族なの」
真理愛の言葉に、希実はさっと顔色を変える。
「ご、ごめ、……ごめんなさ、い。私、あの──」
「別に気にしてないよ。希実ちゃんが悪気とかないくらいわかってるし、全然平気」
「……ホントにごめんなさい。私、考えなしだって叱られるの、こういうとこなんだよね」
しょんぼりしてしまった希実に、澪が素知らぬ振りで話題を戻した。
「でもさぁ、自分で作るだけでも偉いよ。一部だけでも。あたしも親に、『文句つけるんなら自分で!』って怒られるから、中身には何も言えないんだ」
「……うーん。だけど、文句あるなら自分で、ってのはわかるよ」
真理愛の言葉に、澪も特に反論はしない。
「まー、そうなんだよね。毎日自分で作るなんて無理だもん。感謝はしてんのよ」
「……自分で全部作ってる子っているのかな? お料理できる子はいるみたいだけど」
少し気を取り直したらしい希実が呟く。
「どうかなあ。毎日じゃなくて時々ならいるんじゃないかな」
「うん、それならいるよ。栞ちゃん、たまに自分で作ってるって言ってた。クッキング部だし趣味なんじゃない?」
会話が弾み始めて、微妙な雰囲気もどうやら払拭されたようだ。真理愛は安堵の溜め息を吐く。
真理愛にとって、母が居ないことはもう完全に日常なのだ。
今更、周りに気を遣われるとかえって戸惑ってしまうほどに。
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どうすればいいのだろう、と逡巡した真理愛に、希実が声を掛けてくる。
「あ、ううん。まだ全然何も……」
「真理愛ちゃん、高尾さん、あたしも入れて! いいかな?」
澪だった。人懐こい彼女に、希実もあっさり笑って承諾する。
「いいよ~。朝倉さんもお弁当?」
「そうだよ。あ、名前で、澪でいいから」
「わかった。じゃあ澪ちゃん、私も希実って呼んでね」
机を動かしながらの澪の台詞に、希実が頷く。
「真理愛ちゃんのお弁当、いっつもキレイで美味しそうだね。すっごい」
自分の弁当を箸で口に運びながら真理愛の弁当箱に目をやり、口の中のものを飲み込んで澪が感心したように言う。
「えー、普通でしょ。祖母と一緒に作ってて祖母は料理上手だけど、あたしの作ったこの玉子焼きとか色もいまいちだし」
真理愛が謙遜ではなく答えるのに、希実が何気なく問い掛けて来た。
「真理愛ちゃんち、お母さん忙しいの?」
「うち、母はもう亡くなってるから。祖父母と父と四人家族なの」
真理愛の言葉に、希実はさっと顔色を変える。
「ご、ごめ、……ごめんなさ、い。私、あの──」
「別に気にしてないよ。希実ちゃんが悪気とかないくらいわかってるし、全然平気」
「……ホントにごめんなさい。私、考えなしだって叱られるの、こういうとこなんだよね」
しょんぼりしてしまった希実に、澪が素知らぬ振りで話題を戻した。
「でもさぁ、自分で作るだけでも偉いよ。一部だけでも。あたしも親に、『文句つけるんなら自分で!』って怒られるから、中身には何も言えないんだ」
「……うーん。だけど、文句あるなら自分で、ってのはわかるよ」
真理愛の言葉に、澪も特に反論はしない。
「まー、そうなんだよね。毎日自分で作るなんて無理だもん。感謝はしてんのよ」
「……自分で全部作ってる子っているのかな? お料理できる子はいるみたいだけど」
少し気を取り直したらしい希実が呟く。
「どうかなあ。毎日じゃなくて時々ならいるんじゃないかな」
「うん、それならいるよ。|栞《しおり》ちゃん、たまに自分で作ってるって言ってた。クッキング部だし趣味なんじゃない?」
会話が弾み始めて、微妙な雰囲気もどうやら払拭されたようだ。真理愛は安堵の溜め息を吐く。
真理愛にとって、母が居ないことはもう完全に日常なのだ。
今更、周りに気を遣われるとかえって戸惑ってしまうほどに。