ある日、香菜は、一人帰り道を急いでいた。(今日は、早く帰らなくちゃ。ママが一人で殴られる)
急いでいる理由は酒癖の悪い父親が自分のことを殴ろうとするので母がかばい、母が殴られるという状況だった。
「ねぇ。」
暖かい声だった冬なのに春の風のような。
「え?」
慌てて振り返った香菜は誰もいない背後を見て震える
(誰もいないじゃない空耳?)
香菜は急いでいたことを思い出し急ぎ足になる。
「ねぇ。」
またあの声がした。
(またぁ?いたずらとしか思えない。)
香菜はもう耳もくれず足早になる。
「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ。」
耳元で声が響く。今度は、冷たい、思わず耳をふさぎたくなる声だった。
「キャァァァァッ!」
悲鳴を上げ香菜は走り出した。誰かが香菜の手首を掴む。
「嫌だ!離して!」
香菜は力いっぱい手を振りほどきわたりかけのの横断歩道をわたりきった。
振り返るとそこには、誰もいなかった。
あとから聞いた話によると昔横断歩道で事故にあった少女がいたそうだ。
もしかすると香菜を仲間に引き込もうとしたのかもしれない。