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#1

ー/ー



瀬川と喧嘩をしてしまい気まずい状況が続いたまま。
しかし前回の夢の中で瀬川こそ夢を与えてくれた人物だと気付いた快。
現実の自分に寄り添ってくれた人達のためにこちらからも歩み寄る事を決意した。

「よし……」

机に座っていた快は朝のホームルームで担任の言葉を聞いてある覚悟を決めたのだった。
担任の言葉はこの通りである。

「修学旅行の班決めするぞー」

迫る修学旅行の自由行動での班員を決める時間がやって来たのだ。
歩み寄り距離を縮めたい快にとっては絶好の機会である。

「男女二人ずつの経四人になるように好きな奴らで集まってな」

陰キャにはダメージの大きいこの言葉が放たれる。
そして教室内は仲の良い友人と合流するために移動するクラスメイト達で溢れかえった。

「(よし、俺は瀬川を誘わなきゃ……)」

今の瀬川は友人がかなり増えたため急がなければ取られてしまうだろう。
なので早く瀬川の所へ向かおうとしたが。

「ねぇ快くん」

そこで声を掛けられる。
振り返ると愛里がいた。

「あ、与方さん……」

「私きっと誰にも誘ってもらえないから……一緒に居てくれる……?」

「うん、もちろん……」

愛里も可哀想な身である、そんな彼女の手を取らない訳には行かなかった。
しかしそれは少し時間を食ってしまったようで。

「瀬川ー!一緒に回ろうぜ!」

「お、いいな!」

瀬川には先客が現れてしまった。
運動部のガタイの良い奴にその座を奪われてしまう。

「あ……」

その様子を少し寂しそうに見つめながら快は愛里と共に居たのだった。





『XenoMessiaN-ゼノメサイアN-』
第11界 ヨリソウタビ







その後も着々と他のクラスメイト達は班を組んで行く。
快と愛里は残されたままだ。

「私とどう?」

「いいねー!」

楽しそうな声が少し耳障りに感じる。
そんな中で愛里は咲希の様子を確認していた。

「あ、さっちゃん……!」

しかし咲希はもう既に他の人達と班を組んでしまっていた。

「咲希、一緒どう?」

「私で良ければいいよ」

目の前で友人が奪われてしまう様子を見て悲しそうな表情をする愛里。
快もそれに気付き何とか慰めようとした、自身も辛いと言うのに。

「大体決まったかー?」

すると担任の声が聞こえる。
快と愛里以外の全てのクラスメイトが四人の班を作り終えたのだ。
つまりは……

「あー、創と与方が……」

何となく状況を察した担任が言う。

「このクラスの人数で四人ずつ班組むとな、二人余るんだよ……」

難しそうな顔で続ける。

「他のクラスに合わせて四人って決まったから考慮しなかった訳じゃないんだぞ?そこは分かって欲しいけど、どうしたもんかぁ……」

担任も今クラスで快と愛里がバブられている事は知っている。
そのためこの二人が余ってしまう状況を恐れていたのだ。

「(瀬川と河島が入れてくれると思ってたんだがな、そことも喧嘩したのか……?)」

そこまでの状況は知らなかったのだ。

「えっと、残った人はどこかの班に入れてやるって話だったんだが誰か入れてくれるって奴いるか?」

そんな発言をしても結果は目に見えていた。

「「「…………」」」

誰も発言せず手を上げもしない。
快は隣で泣きそうになりながら震える愛里に気付き声を上げたかった。
しかしこの状況で何か行動に出る勇気はまだ無かったのだ。

「〜〜っ」

快も快で辛いが何も言えない。
そこで担任が痺れを切らし声を出した。

「んーじゃあ瀬川たちの班、入れてやってくれないか?」

瀬川たちの班が指され驚いたような顔をする。

「ま、まぁ良いんじゃね?」

坊主頭の委員長が仕方ない雰囲気で了承するが他の班員たちは少し嫌そうな顔をしていた。

「じゃあ頼むぞ」

こうして半ば無理やり押し付けられる形で快と愛里は瀬川や咲希のいる班に入る事となったのだ。





一方ここは巨大な器の聳える咲希の部屋。
ルシフェルがサンドバッグを殴っていると不機嫌そうな咲希が帰って来た。

「はぁ……」

溜息を吐きながら椅子に座った咲希に汗をかいたルシフェルが声を掛けた。

「どうした、また不都合でもあったか?」

「不都合っていうかね……」

事情を説明する。

「修学旅行はアタシもアイツと一緒に行動する事になったから罪獣の召喚は難しいね……」

するとルシフェルは目を見開いて問う。

「って事はよ、俺に出番くれるか?」

いつも以上に真剣な目をして前のめりになるルシフェルに咲希は少し違和感を覚えた。

「何、そんな必死になって?」

するとその意味をルシフェルは答える。

「ヤツもデモゴルゴンの夢から覚めた、今度こそ勝てると思ったのにまた失敗しちまってよぉ……」

前回の戦いの事を思い出す。

「次こそ俺が仕留める、そして俺は俺の夢を叶えるんだ……っ!!」

固い意志を感じた咲希はそのままルシフェルに次の戦いを託す事を選んだ。

「じゃ、頼んだよ」

修学旅行が始まる。
それぞれの戦いが幕を開けるのだ。





つづく


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瀬川と喧嘩をしてしまい気まずい状況が続いたまま。
しかし前回の夢の中で瀬川こそ夢を与えてくれた人物だと気付いた快。
現実の自分に寄り添ってくれた人達のためにこちらからも歩み寄る事を決意した。
「よし……」
机に座っていた快は朝のホームルームで担任の言葉を聞いてある覚悟を決めたのだった。
担任の言葉はこの通りである。
「修学旅行の班決めするぞー」
迫る修学旅行の自由行動での班員を決める時間がやって来たのだ。
歩み寄り距離を縮めたい快にとっては絶好の機会である。
「男女二人ずつの経四人になるように好きな奴らで集まってな」
陰キャにはダメージの大きいこの言葉が放たれる。
そして教室内は仲の良い友人と合流するために移動するクラスメイト達で溢れかえった。
「(よし、俺は瀬川を誘わなきゃ……)」
今の瀬川は友人がかなり増えたため急がなければ取られてしまうだろう。
なので早く瀬川の所へ向かおうとしたが。
「ねぇ快くん」
そこで声を掛けられる。
振り返ると愛里がいた。
「あ、与方さん……」
「私きっと誰にも誘ってもらえないから……一緒に居てくれる……?」
「うん、もちろん……」
愛里も可哀想な身である、そんな彼女の手を取らない訳には行かなかった。
しかしそれは少し時間を食ってしまったようで。
「瀬川ー!一緒に回ろうぜ!」
「お、いいな!」
瀬川には先客が現れてしまった。
運動部のガタイの良い奴にその座を奪われてしまう。
「あ……」
その様子を少し寂しそうに見つめながら快は愛里と共に居たのだった。
『XenoMessiaN-ゼノメサイアN-』
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その後も着々と他のクラスメイト達は班を組んで行く。
快と愛里は残されたままだ。
「私とどう?」
「いいねー!」
楽しそうな声が少し耳障りに感じる。
そんな中で愛里は咲希の様子を確認していた。
「あ、さっちゃん……!」
しかし咲希はもう既に他の人達と班を組んでしまっていた。
「咲希、一緒どう?」
「私で良ければいいよ」
目の前で友人が奪われてしまう様子を見て悲しそうな表情をする愛里。
快もそれに気付き何とか慰めようとした、自身も辛いと言うのに。
「大体決まったかー?」
すると担任の声が聞こえる。
快と愛里以外の全てのクラスメイトが四人の班を作り終えたのだ。
つまりは……
「あー、創と与方が……」
何となく状況を察した担任が言う。
「このクラスの人数で四人ずつ班組むとな、二人余るんだよ……」
難しそうな顔で続ける。
「他のクラスに合わせて四人って決まったから考慮しなかった訳じゃないんだぞ?そこは分かって欲しいけど、どうしたもんかぁ……」
担任も今クラスで快と愛里がバブられている事は知っている。
そのためこの二人が余ってしまう状況を恐れていたのだ。
「(瀬川と河島が入れてくれると思ってたんだがな、そことも喧嘩したのか……?)」
そこまでの状況は知らなかったのだ。
「えっと、残った人はどこかの班に入れてやるって話だったんだが誰か入れてくれるって奴いるか?」
そんな発言をしても結果は目に見えていた。
「「「…………」」」
誰も発言せず手を上げもしない。
快は隣で泣きそうになりながら震える愛里に気付き声を上げたかった。
しかしこの状況で何か行動に出る勇気はまだ無かったのだ。
「〜〜っ」
快も快で辛いが何も言えない。
そこで担任が痺れを切らし声を出した。
「んーじゃあ瀬川たちの班、入れてやってくれないか?」
瀬川たちの班が指され驚いたような顔をする。
「ま、まぁ良いんじゃね?」
坊主頭の委員長が仕方ない雰囲気で了承するが他の班員たちは少し嫌そうな顔をしていた。
「じゃあ頼むぞ」
こうして半ば無理やり押し付けられる形で快と愛里は瀬川や咲希のいる班に入る事となったのだ。
一方ここは巨大な器の聳える咲希の部屋。
ルシフェルがサンドバッグを殴っていると不機嫌そうな咲希が帰って来た。
「はぁ……」
溜息を吐きながら椅子に座った咲希に汗をかいたルシフェルが声を掛けた。
「どうした、また不都合でもあったか?」
「不都合っていうかね……」
事情を説明する。
「修学旅行はアタシもアイツと一緒に行動する事になったから罪獣の召喚は難しいね……」
するとルシフェルは目を見開いて問う。
「って事はよ、俺に出番くれるか?」
いつも以上に真剣な目をして前のめりになるルシフェルに咲希は少し違和感を覚えた。
「何、そんな必死になって?」
するとその意味をルシフェルは答える。
「ヤツもデモゴルゴンの夢から覚めた、今度こそ勝てると思ったのにまた失敗しちまってよぉ……」
前回の戦いの事を思い出す。
「次こそ俺が仕留める、そして俺は俺の夢を叶えるんだ……っ!!」
固い意志を感じた咲希はそのままルシフェルに次の戦いを託す事を選んだ。
「じゃ、頼んだよ」
修学旅行が始まる。
それぞれの戦いが幕を開けるのだ。
つづく