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ー/ー



「……無理してねぇ?」
「し、してないよ!」
「いやー、どう見てもしてるわ。手も声も震えてんじゃん。愛茉に無理をさせるのだけは嫌なんだよ」

 違う。違うよ。どうしたら伝わるの?
 大事にしてくれているのは分かる。無理させたくないって言ってくれるのも嬉しい。
 でも違うの。そうじゃないの。上手く表現できない。どうしてこんなに、自分の本音を言葉にするのが苦手なんだろう。

「……む、無理、しているけど。全然怖くないなんて言ったら、嘘になるけど」

 もどかしくて、でも伝えたくて、涙がこみ上げてきた。
 
「だってなにもかも初めてだから、正解が分からないんだもん。でも桔平くんなら大丈夫って、本当に思えんだもん。無理でも怖くても桔平くんがいいから、桔平くんじゃないと嫌だから。私だって、桔平くんに触れたい。もっと触れてほしいんだもん。キスだけじゃなくて、もっと触れてほしいの」
 
 桔平くんの前では、泣き虫になる。感情がグチャグチャになって、言っていることも支離滅裂で。なにをどう言えばいいのか分からなくなっちゃう。本当にかっこ悪い。
 
「分かったよ」

 桔平くんが私を抱き寄せて、頭を撫でてくれた。
 
「ごめんな、愛茉に言わせて。オレも、どうするのがベストなのか分かんなくてさ」
「……桔平くんでも、分からないの?」
「分かんねぇよ、当たり前だろ。愛茉と付き合うのは初めてなんだから。オレにとっても、なにもかも初めてなんだよ。どうやったら愛茉のことを大事にできんのか、いつも考えてる」
「大事にしてくれているよ、すごく」
「ひとりで考えるのやめような、お互いに。ちゃんとふたりで、正解を見つけよう」

 やっぱり、この人を好きになってよかった。
 優しい。大きい。あったかい。ずっとずっと、そばにいたい。大好きすぎて、どうにかなりそう。

「つーか、だからこんな可愛い格好してたのかよ」
「う、うん……」
「あぁ~もう無理。いまさらやっぱナシってのは、無理だからな」
「あの、お、お作法があれば教えてください」
「お作法って」

 私の頬を撫でながら、桔平くんが苦笑する。だって、分からないことだらけなんだもん。
 
「……そうだなぁ。まずは、少しでも嫌だとか痛いと思ったら、必ずそのときに言うこと」
「は、はい」
「あとは……無理かもしんねぇけど、できるだけ体の力抜くこと」
「ど、努力します」
「それと……」

 まだあるのかと思って身構えていると、両手で頬を包まれた。温かくて優しい眼差しを向けられる。
 ああ、私はこの瞳が世界一大好き。
 
「全部オレに任せて、オレだけを見ること」

 返事をする前に、唇を塞がれた。あたたかくて、熱くて、すごく甘い。
 さっきまでグチャグチャに波立っていた感情が、すごく穏やかになっていくのが分かる。やっぱり魔法使いみたいだよ。

「すっげぇ可愛い」
 
 キスの合間に振ってくる甘い言葉を聞きながら、言われた通り、桔平くんにすべてを委ねた。


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「……無理してねぇ?」
「し、してないよ!」
「いやー、どう見てもしてるわ。手も声も震えてんじゃん。愛茉に無理をさせるのだけは嫌なんだよ」
 違う。違うよ。どうしたら伝わるの?
 大事にしてくれているのは分かる。無理させたくないって言ってくれるのも嬉しい。
 でも違うの。そうじゃないの。上手く表現できない。どうしてこんなに、自分の本音を言葉にするのが苦手なんだろう。
「……む、無理、しているけど。全然怖くないなんて言ったら、嘘になるけど」
 もどかしくて、でも伝えたくて、涙がこみ上げてきた。
「だってなにもかも初めてだから、正解が分からないんだもん。でも桔平くんなら大丈夫って、本当に思えんだもん。無理でも怖くても桔平くんがいいから、桔平くんじゃないと嫌だから。私だって、桔平くんに触れたい。もっと触れてほしいんだもん。キスだけじゃなくて、もっと触れてほしいの」
 桔平くんの前では、泣き虫になる。感情がグチャグチャになって、言っていることも支離滅裂で。なにをどう言えばいいのか分からなくなっちゃう。本当にかっこ悪い。
「分かったよ」
 桔平くんが私を抱き寄せて、頭を撫でてくれた。
「ごめんな、愛茉に言わせて。オレも、どうするのがベストなのか分かんなくてさ」
「……桔平くんでも、分からないの?」
「分かんねぇよ、当たり前だろ。愛茉と付き合うのは初めてなんだから。オレにとっても、なにもかも初めてなんだよ。どうやったら愛茉のことを大事にできんのか、いつも考えてる」
「大事にしてくれているよ、すごく」
「ひとりで考えるのやめような、お互いに。ちゃんとふたりで、正解を見つけよう」
 やっぱり、この人を好きになってよかった。
 優しい。大きい。あったかい。ずっとずっと、そばにいたい。大好きすぎて、どうにかなりそう。
「つーか、だからこんな可愛い格好してたのかよ」
「う、うん……」
「あぁ~もう無理。いまさらやっぱナシってのは、無理だからな」
「あの、お、お作法があれば教えてください」
「お作法って」
 私の頬を撫でながら、桔平くんが苦笑する。だって、分からないことだらけなんだもん。
「……そうだなぁ。まずは、少しでも嫌だとか痛いと思ったら、必ずそのときに言うこと」
「は、はい」
「あとは……無理かもしんねぇけど、できるだけ体の力抜くこと」
「ど、努力します」
「それと……」
 まだあるのかと思って身構えていると、両手で頬を包まれた。温かくて優しい眼差しを向けられる。
 ああ、私はこの瞳が世界一大好き。
「全部オレに任せて、オレだけを見ること」
 返事をする前に、唇を塞がれた。あたたかくて、熱くて、すごく甘い。
 さっきまでグチャグチャに波立っていた感情が、すごく穏やかになっていくのが分かる。やっぱり魔法使いみたいだよ。
「すっげぇ可愛い」
 キスの合間に振ってくる甘い言葉を聞きながら、言われた通り、桔平くんにすべてを委ねた。