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Side - 16 - 19 - くろはぎ -

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Side - 16 - 19 - くろはぎ -


ゆさゆさ・・・

「わー!、#`〜¥#$&&(>_<)#”’+*!!」

ゆっさゆっさ・・・

「リィンちゃん、はしゃぎ過ぎ!、危ないよ、$#`*L””#$&+@_$$!」

「=¥〜”#$%?」

「`*+$&##」

「毎年帰省してるのにこの橋を渡るのは20年ぶりでござるな」

「そうだよね、地元の人はお金出してまで渡らないから」

「コナンザくん、足がプルプル震えてるけど大丈夫かい?」

「ダメ・・・ママさん、怖いの・・・ぐすっ」

「ほらほらコナンザ、後ろがつかえてるから早く渡ろう!」

おしっ・・・

「わぁぁ、お姉ちゃん押さないで!、わぁぁぁん怖いよぉ!」

「`$;++:*、#=@@#$@#$+*$%&><?=^o^)」

「理世、お姫様はなんて言ってるんだ?」

「コナンザくん、手を繋いであげるから泣かないで渡ろう・・・って」

「優しいな、さすがお姫様だ」

「お母さん、リィンちゃんは優しいけど中身はポンコツでとても残念な性格なのです」

「そうなのか?・・・」

「うん」

「$#=^+*#@_@!!」

「滝もある!、って言ってる」

「喜んでもらえたようで嬉しいでござるな」

「お姫様・・・か」

私の名前は瀬良大介(せらだいすけ)32歳、今私達は徳島の山奥にある珍しい橋を渡っている。

この橋は植物のかずらで出来ていて渡ると揺れる、板を並べた床面に隙間があって下を流れる川が丸見えだ、高さもあるし結構怖い。

一緒に居るのは妻と娘、叔父夫妻と従姉弟の2人、理世が転生した世界の弟コナンザくん、そして転移で連れて来た向こうの国の王女様と護衛の女の子・・・。

ここは「祖谷のかずら橋」といって徳島県の観光名所として全国的に有名だ、だが今我々が居るのは有名なかずら橋から更に山奥に入った秘境「奥祖谷二重かずら橋」と言われている所だ。

ここに来るのには狭い山道を車で長時間走らなければならない、最初は理世の力で全員転移させようかと話していたが途中の景色を親友のリィンちゃん?に見せたいと理世が言い出した為、叔父と私の車2台で分乗して行く事になった。

そのリィンちゃん?とやら、向こうの世界では大陸横断ウルトラ巡業?の最中らしく、もう嫌だ退屈だ飽きたとわがままを言うので気分転換の為に時々日本に連れてきているそうだ。

外見は青目黒髪のとてつもない美少女・・・これは芸能事務所が放っておかないレベルだろう、トップアイドルも夢じゃない。

こんな見た目の美少女を連れ歩くと騒ぎになる為、理世の手によりクソダサい衣装を着て変装している、聞いたところによると叔母が若い頃に着ていた服らしい・・・。

当事者の彼女は目を輝かせてはしゃいでいる、食堂で祖谷蕎麦を食べお土産物を買い、橋の上で理世と記念撮影している、これだけ喜んでもらえると観光業に携わっている人間としては嬉しいものだ。

「この後、渓谷の遊覧船に乗るんだけど時間がもったいないから車ごと転移させるよー」

理世は人間だけではなく車ごと転移できるらしい・・・凄いな、うちの車は結構でかいのだが・・・。

「みんな乗ったね、ほい転移!」

ぺかぁ!

人目のない山道の路肩に車を移動させ、理世が魔法を発動させた。

「おぉ・・うちの庭だ・・・」

「わぁ・・・理世お姉ちゃんすごい」

「本当に便利ね、ガソリン代が節約できて羨ましいわー」

転移とやらはうちの家族にも好評だ、理世の話だとうちにも魔法陣を置いて連絡すれば田中家まで簡単に転移できるようにしてくれるそうだ。

がちゃ・・・

「みんな車から降りてね、遊覧船乗り場には人間だけ転移させるから・・・地球は魔素が薄いから重量物を何度も転移するの無理っぽいのです・・・」

ぱぁっ!

「一瞬で私の会社の遊覧船乗り場・・・の裏だ」

「うん、誰にも見られてないね、大介(だいすけ)お兄ちゃん、手続きお願い」

「あぁ、ちょっと待っててくれ」

私はいつも出勤している会社の建物に入り人数分の遊覧船チケットを手配した、今日私は休暇だからガイドはしない、同僚が船を出してくれる事になった。

「今日は観光客が多くてな、他の一組と一緒になるけどいいか?」

そう俺に尋ねた同僚の名は御路内南光(おろないなんこう)、こいつは生まれた時からこんな愉快な名前ではない、旧姓は神崎(かんざき)という。

この辺り一帯を牛耳る旧家である御路内(おろない)家に婿入りしてこうなったのだそうだ。

「あぁ、大丈夫だぞ」

「13時のやつで手配したからな」

「よろしく、時間まで皆と飯を食ってくる」









「安全のためにライフジャケットつけてね」

「はーい」

「`#$+!」

「きゃっ・・・」

「大丈夫ですか?」

一緒に乗る他の一組の乗客・・・3人の若い女性のうちの一人が船に乗る時に躓いて転けそうになった。

私は咄嗟に手を掴み、転倒は免れた・・・良かった。

「あ・・・ありがとうございます」

「いえ」

私が助けたのは眼鏡をかけ、長い黒髪を後ろで束ねた地味な女性、もう一人はボーイッシュなショートカットがよく似合う背の高い女性、最後の一人はウェーブのかかった茶髪の派手な顔立ちの女性、統一感が全くない3人組だ。

「あれ?、騨志(だし)くん?」

叔父が地味な女性に話しかけた、知り合いか?。

「あ、田中課長・・・」

「奇遇だね、君も連休を利用して観光かな?」

「あ・・・はい、そうです・・・」

「紹介しよう、僕の家族・・・妻と息子と甥っ子夫妻とその娘さん・・・それと息子の友人で留学生の子達」

「ひぃっ・・・(龍之介さんっ・・・)」

「僕の顔を見て驚いたみたいですね・・・ごめんなさい、僕の顔怖いでしょ」

「い・・・いえ」

「・・・どこかでお会いしましたっけ?」

「ひぅっ・・・き・・・気のせいかと・・・」

お前の顔は怖いんだから絡むなよ龍之介、怖がってるじゃないか・・・。

「あれ?・・・マーキーさん?」

「あぅ・・・違うの・・・ひぅ・・・」

コナンザくんの一言に女性が狼狽え始めたな・・・ってかマーキーさんって誰だよ?

「えぇぇ!、ブラザーズのマーキーさん?」

龍之介がメガネの子の顔を覗き込んで驚いている、こいつとも知り合いなのか?・・・だが女性の様子がおかしい、目が泳いでいるし何か死にそうな顔をしている。

「カラコンも牙もつけてないから分からなかったぁ・・・雰囲気も全然違うし・・・、どもお久しぶりっすマーキーさん!」

「あー・・・あの時のゴスロリボーカルちゃんかぁ・・・まともな格好もするんだな」

叔母とも知り合いか・・・っていうかこんな真面目そうな子がまともじゃない格好するのか・・・それにカラコンと牙って何だ?、黒縁のメガネに騙されたがよく見たらすごい美人だし、ちょっと興味があるな。

「あの・・・あぅ・・・こ・・・これは違くて・・・」

「あ、分かったぞ、普段は正体を隠してるんだな、世を忍ぶ仮の姿ってやつか!、気付かなくて悪かったな、龍之介、コナンザくん、今までの事は何も見なかったし聞かなかった・・・いいな・・・あ、後ろの連れの子達にも内緒だったかな?」

「いえ、私達は知ってまーす!、ちなみにこっちが本当の姿だよー、真希ちゃん風に言うと「我(われ)の真の姿」ってやつ」

「私達親友ですから!、真希ちゃんは闇のオーラを纏うと凄いんです!」

「そうか、そりゃ良かった」

「みんな、騨志(だし)くんとは知り合いでござったか?、拙者・・・いや僕の部署に去年入って来た子でね、とても大人しくて真面目な子でござる」

「そうか・・・ダーリンはこの子の正体を知らないのか・・・」

「いや、知ってるでござるよ、騨志(だし)首相の姪っ子さんでござるな」

「え・・・」

「騨志(だし)首相って・・・あの?」

「えぇぇぇ!」

「・・・あの、それはあまり言わないでもらえると・・・」

「あぁ、そうだな、マスコミや反政府勢力?の奴らに狙われたら厄介だもんな」

「ほら、真希ちゃん、皆さんに紹介してよ」

「あの、私は騨志真希(だしまき)と言います、田中課長とは同じ職場でとてもお世話になってます、それと・・・龍之介さん、銀色の下僕さん・・・と、その保護者の人、お久しぶりです、それで・・・こちらの短髪の子が唐手乃佳子(からてのけいこ)ちゃん、派手な子が京羽泰芽(きょうはやすめ)ちゃん、2人とも私の小学校の時からのお友達です、今日久しぶりに再会したから一緒に観光しています」

「よろしくですー」

「よろしくね!」






ひそひそ・・・

「あのいかつい男の人が真希ちゃんの言ってた龍之介さん?」

「・・・」

ひそひそ・・・

「良かったじゃん、チャンスだよ、好きなんでしょ」

「・・・っ」

「よーし、私たちが協力して距離を縮めちゃおう!」

「あぅ・・・待って、佳子(けいこ)ちゃん・・・泰芽(やすめ)ちゃんもお願いだからやめて・・・」







「わぁ・・・&$%+”~^¥+>>、#$!」

「お水が透き通ってる、緑色で綺麗って言ってるのです!」

「この辺の石の影響で緑色に見えるんだよ」

私が説明すると理世がお姫様に翻訳して説明してくれる。

「#$&%”@+:*!、$’(=”!?><」

「紅葉した深い渓谷も凄く綺麗で感動した・・・だって」

リィンちゃん?がとてもはしゃいでいる、理世によると王女様だから普段は窮屈な生活をしているらしい、その隣に居る金髪褐色肌の女の子は護衛なのだそうだ、彼女も一緒に目を輝かせて周りの景色に見惚れている。

ここは長い年月をかけ川によって削られたV字型の渓谷だ、「大歩危(おおぼけ)峡」という名でそこそこの知名度があり、徳島観光の人気スポットになっている。

遊覧船を楽しんだ私たちは一緒になった3人組と別れ、理世の転移で親父達の待つ本家に帰った、理世達は今夜ここに泊まって明日の朝帰る・・・と言っても車ごと田中家に転移するから移動時間はゼロだ。

夕食は親父の家で寿司だ、今日は鶏肉を使った唐揚げもある、もちろんリィンちゃん?達も一緒だ。

ちなみに瀬良の本家はでかい、梁の剥き出しになった天井や囲炉裏もある日本の豪農という趣だ、部屋も10以上あり妻の世羅(せら)に言わせると映画「犬神家の一族」に出て来そうな凄まじく雰囲気のある屋敷らしい。









「・・・楽しかったぁ、リゼちゃんありがとう!」

「リゼ様、とても楽しかったです」

「どういたしまして、じゃぁ帰ろうか、向こうに送るね」

「・・・」

「どしたの、リィンちゃん」

「もっと遊びたい・・・」

「えぇ・・・」

「ダメですよ姫様」

「だってぇ・・・リゼちゃん今日この大きなお家に泊まるんでしょ、コナンザ君も」

「そうだけど・・・私とコナンザお部屋一緒だよ、流石に王女様が男の子と一緒のお部屋で寝るのはまずいでしょ」

「バレなきゃいいと思うの・・・」

「えぇ・・・」

「帰ったらまた馬車で移動・・・今はオースターの帝都とシーマの中間辺りかな、移動は退屈なの」

「シーマに着いたらまた呼んでね、トリエラさんの日本刀も買わなきゃ・・・あ!」

「どうしたの?、リゼちゃん」

「この家に日本刀あるよ!」

「えー、だって日本じゃ武器は持てないんでしょ」

「うん、ここ・・・瀬良の本家は昔からある家でね、お家に伝わる美術品としてちゃんと許可を取ってあるの、見る?」

「うん、見たい!」

「ぜひお願いしますリゼ様!」





「この家のご先祖様は大昔に京都からこの土地にやって来たの、150年くらい前かなぁ・・・この山奥に長州っていう場所から日本刀を持った男・・・剣士がふらりとやって来て、ここでしばらくお世話になってたみたい、その人が病気で死ぬ前に当主に持ってた日本刀をお礼として託したらしいの」

「へー」

「その男の話によると人斬りって恐れられてた剣士が持ってたみたいでね・・・伯父さんお願い」

「理世ちゃんの頼みなら仕方ないね、あまり他人には見せないのだけど・・・特別だよ」

ぱかっ・・・するり・・・

「これは長州双牙流という今は絶えてしまった流派最後の伝承者、人斬りお雪が愛用していたもので、「黒萩」という銘だ、対となるもう一本の「赤萩」は持ち主の男も探していたようだが見つからなかったらしい」

「わぁ・・・」

「凄いです・・・刀身を見ていると吸い込まれそう」

「この刀も過去に何度か狙われたり国に没収されそうになった事もあるが、ご先祖様が代々守り抜いて今ここにある、これからも家宝としてずっとここにあるだろう」






(柚亜紫翼からのお知らせ)
「大歩危」「奥祖谷二重かずら橋」は徳島県に実在します。
とても綺麗な場所なので興味のある人は画像検索してくださいね。


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ゆさゆさ・・・
「わー!、#`〜¥#$&&(>_<)#”’+*!!」
ゆっさゆっさ・・・
「リィンちゃん、はしゃぎ過ぎ!、危ないよ、$#`*L””#$&+@_$$!」
「=¥〜”#$%?」
「`*+$&##」
「毎年帰省してるのにこの橋を渡るのは20年ぶりでござるな」
「そうだよね、地元の人はお金出してまで渡らないから」
「コナンザくん、足がプルプル震えてるけど大丈夫かい?」
「ダメ・・・ママさん、怖いの・・・ぐすっ」
「ほらほらコナンザ、後ろがつかえてるから早く渡ろう!」
おしっ・・・
「わぁぁ、お姉ちゃん押さないで!、わぁぁぁん怖いよぉ!」
「`$;++:*、#=@@#$@#$+*$%&><?=^o^)」
「理世、お姫様はなんて言ってるんだ?」
「コナンザくん、手を繋いであげるから泣かないで渡ろう・・・って」
「優しいな、さすがお姫様だ」
「お母さん、リィンちゃんは優しいけど中身はポンコツでとても残念な性格なのです」
「そうなのか?・・・」
「うん」
「$#=^+*#@_@!!」
「滝もある!、って言ってる」
「喜んでもらえたようで嬉しいでござるな」
「お姫様・・・か」
私の名前は瀬良大介(せらだいすけ)32歳、今私達は徳島の山奥にある珍しい橋を渡っている。
この橋は植物のかずらで出来ていて渡ると揺れる、板を並べた床面に隙間があって下を流れる川が丸見えだ、高さもあるし結構怖い。
一緒に居るのは妻と娘、叔父夫妻と従姉弟の2人、理世が転生した世界の弟コナンザくん、そして転移で連れて来た向こうの国の王女様と護衛の女の子・・・。
ここは「祖谷のかずら橋」といって徳島県の観光名所として全国的に有名だ、だが今我々が居るのは有名なかずら橋から更に山奥に入った秘境「奥祖谷二重かずら橋」と言われている所だ。
ここに来るのには狭い山道を車で長時間走らなければならない、最初は理世の力で全員転移させようかと話していたが途中の景色を親友のリィンちゃん?に見せたいと理世が言い出した為、叔父と私の車2台で分乗して行く事になった。
そのリィンちゃん?とやら、向こうの世界では大陸横断ウルトラ巡業?の最中らしく、もう嫌だ退屈だ飽きたとわがままを言うので気分転換の為に時々日本に連れてきているそうだ。
外見は青目黒髪のとてつもない美少女・・・これは芸能事務所が放っておかないレベルだろう、トップアイドルも夢じゃない。
こんな見た目の美少女を連れ歩くと騒ぎになる為、理世の手によりクソダサい衣装を着て変装している、聞いたところによると叔母が若い頃に着ていた服らしい・・・。
当事者の彼女は目を輝かせてはしゃいでいる、食堂で祖谷蕎麦を食べお土産物を買い、橋の上で理世と記念撮影している、これだけ喜んでもらえると観光業に携わっている人間としては嬉しいものだ。
「この後、渓谷の遊覧船に乗るんだけど時間がもったいないから車ごと転移させるよー」
理世は人間だけではなく車ごと転移できるらしい・・・凄いな、うちの車は結構でかいのだが・・・。
「みんな乗ったね、ほい転移!」
ぺかぁ!
人目のない山道の路肩に車を移動させ、理世が魔法を発動させた。
「おぉ・・うちの庭だ・・・」
「わぁ・・・理世お姉ちゃんすごい」
「本当に便利ね、ガソリン代が節約できて羨ましいわー」
転移とやらはうちの家族にも好評だ、理世の話だとうちにも魔法陣を置いて連絡すれば田中家まで簡単に転移できるようにしてくれるそうだ。
がちゃ・・・
「みんな車から降りてね、遊覧船乗り場には人間だけ転移させるから・・・地球は魔素が薄いから重量物を何度も転移するの無理っぽいのです・・・」
ぱぁっ!
「一瞬で私の会社の遊覧船乗り場・・・の裏だ」
「うん、誰にも見られてないね、大介(だいすけ)お兄ちゃん、手続きお願い」
「あぁ、ちょっと待っててくれ」
私はいつも出勤している会社の建物に入り人数分の遊覧船チケットを手配した、今日私は休暇だからガイドはしない、同僚が船を出してくれる事になった。
「今日は観光客が多くてな、他の一組と一緒になるけどいいか?」
そう俺に尋ねた同僚の名は御路内南光(おろないなんこう)、こいつは生まれた時からこんな愉快な名前ではない、旧姓は神崎(かんざき)という。
この辺り一帯を牛耳る旧家である御路内(おろない)家に婿入りしてこうなったのだそうだ。
「あぁ、大丈夫だぞ」
「13時のやつで手配したからな」
「よろしく、時間まで皆と飯を食ってくる」
「安全のためにライフジャケットつけてね」
「はーい」
「`#$+!」
「きゃっ・・・」
「大丈夫ですか?」
一緒に乗る他の一組の乗客・・・3人の若い女性のうちの一人が船に乗る時に躓いて転けそうになった。
私は咄嗟に手を掴み、転倒は免れた・・・良かった。
「あ・・・ありがとうございます」
「いえ」
私が助けたのは眼鏡をかけ、長い黒髪を後ろで束ねた地味な女性、もう一人はボーイッシュなショートカットがよく似合う背の高い女性、最後の一人はウェーブのかかった茶髪の派手な顔立ちの女性、統一感が全くない3人組だ。
「あれ?、騨志(だし)くん?」
叔父が地味な女性に話しかけた、知り合いか?。
「あ、田中課長・・・」
「奇遇だね、君も連休を利用して観光かな?」
「あ・・・はい、そうです・・・」
「紹介しよう、僕の家族・・・妻と息子と甥っ子夫妻とその娘さん・・・それと息子の友人で留学生の子達」
「ひぃっ・・・(龍之介さんっ・・・)」
「僕の顔を見て驚いたみたいですね・・・ごめんなさい、僕の顔怖いでしょ」
「い・・・いえ」
「・・・どこかでお会いしましたっけ?」
「ひぅっ・・・き・・・気のせいかと・・・」
お前の顔は怖いんだから絡むなよ龍之介、怖がってるじゃないか・・・。
「あれ?・・・マーキーさん?」
「あぅ・・・違うの・・・ひぅ・・・」
コナンザくんの一言に女性が狼狽え始めたな・・・ってかマーキーさんって誰だよ?
「えぇぇ!、ブラザーズのマーキーさん?」
龍之介がメガネの子の顔を覗き込んで驚いている、こいつとも知り合いなのか?・・・だが女性の様子がおかしい、目が泳いでいるし何か死にそうな顔をしている。
「カラコンも牙もつけてないから分からなかったぁ・・・雰囲気も全然違うし・・・、どもお久しぶりっすマーキーさん!」
「あー・・・あの時のゴスロリボーカルちゃんかぁ・・・まともな格好もするんだな」
叔母とも知り合いか・・・っていうかこんな真面目そうな子がまともじゃない格好するのか・・・それにカラコンと牙って何だ?、黒縁のメガネに騙されたがよく見たらすごい美人だし、ちょっと興味があるな。
「あの・・・あぅ・・・こ・・・これは違くて・・・」
「あ、分かったぞ、普段は正体を隠してるんだな、世を忍ぶ仮の姿ってやつか!、気付かなくて悪かったな、龍之介、コナンザくん、今までの事は何も見なかったし聞かなかった・・・いいな・・・あ、後ろの連れの子達にも内緒だったかな?」
「いえ、私達は知ってまーす!、ちなみにこっちが本当の姿だよー、真希ちゃん風に言うと「我(われ)の真の姿」ってやつ」
「私達親友ですから!、真希ちゃんは闇のオーラを纏うと凄いんです!」
「そうか、そりゃ良かった」
「みんな、騨志(だし)くんとは知り合いでござったか?、拙者・・・いや僕の部署に去年入って来た子でね、とても大人しくて真面目な子でござる」
「そうか・・・ダーリンはこの子の正体を知らないのか・・・」
「いや、知ってるでござるよ、騨志(だし)首相の姪っ子さんでござるな」
「え・・・」
「騨志(だし)首相って・・・あの?」
「えぇぇぇ!」
「・・・あの、それはあまり言わないでもらえると・・・」
「あぁ、そうだな、マスコミや反政府勢力?の奴らに狙われたら厄介だもんな」
「ほら、真希ちゃん、皆さんに紹介してよ」
「あの、私は騨志真希(だしまき)と言います、田中課長とは同じ職場でとてもお世話になってます、それと・・・龍之介さん、銀色の下僕さん・・・と、その保護者の人、お久しぶりです、それで・・・こちらの短髪の子が唐手乃佳子(からてのけいこ)ちゃん、派手な子が京羽泰芽(きょうはやすめ)ちゃん、2人とも私の小学校の時からのお友達です、今日久しぶりに再会したから一緒に観光しています」
「よろしくですー」
「よろしくね!」
ひそひそ・・・
「あのいかつい男の人が真希ちゃんの言ってた龍之介さん?」
「・・・」
ひそひそ・・・
「良かったじゃん、チャンスだよ、好きなんでしょ」
「・・・っ」
「よーし、私たちが協力して距離を縮めちゃおう!」
「あぅ・・・待って、佳子(けいこ)ちゃん・・・泰芽(やすめ)ちゃんもお願いだからやめて・・・」
「わぁ・・・&$%+”~^¥+>>、#$!」
「お水が透き通ってる、緑色で綺麗って言ってるのです!」
「この辺の石の影響で緑色に見えるんだよ」
私が説明すると理世がお姫様に翻訳して説明してくれる。
「#$&%”@+:*!、$’(=”!?><」
「紅葉した深い渓谷も凄く綺麗で感動した・・・だって」
リィンちゃん?がとてもはしゃいでいる、理世によると王女様だから普段は窮屈な生活をしているらしい、その隣に居る金髪褐色肌の女の子は護衛なのだそうだ、彼女も一緒に目を輝かせて周りの景色に見惚れている。
ここは長い年月をかけ川によって削られたV字型の渓谷だ、「大歩危(おおぼけ)峡」という名でそこそこの知名度があり、徳島観光の人気スポットになっている。
遊覧船を楽しんだ私たちは一緒になった3人組と別れ、理世の転移で親父達の待つ本家に帰った、理世達は今夜ここに泊まって明日の朝帰る・・・と言っても車ごと田中家に転移するから移動時間はゼロだ。
夕食は親父の家で寿司だ、今日は鶏肉を使った唐揚げもある、もちろんリィンちゃん?達も一緒だ。
ちなみに瀬良の本家はでかい、梁の剥き出しになった天井や囲炉裏もある日本の豪農という趣だ、部屋も10以上あり妻の世羅(せら)に言わせると映画「犬神家の一族」に出て来そうな凄まじく雰囲気のある屋敷らしい。
「・・・楽しかったぁ、リゼちゃんありがとう!」
「リゼ様、とても楽しかったです」
「どういたしまして、じゃぁ帰ろうか、向こうに送るね」
「・・・」
「どしたの、リィンちゃん」
「もっと遊びたい・・・」
「えぇ・・・」
「ダメですよ姫様」
「だってぇ・・・リゼちゃん今日この大きなお家に泊まるんでしょ、コナンザ君も」
「そうだけど・・・私とコナンザお部屋一緒だよ、流石に王女様が男の子と一緒のお部屋で寝るのはまずいでしょ」
「バレなきゃいいと思うの・・・」
「えぇ・・・」
「帰ったらまた馬車で移動・・・今はオースターの帝都とシーマの中間辺りかな、移動は退屈なの」
「シーマに着いたらまた呼んでね、トリエラさんの日本刀も買わなきゃ・・・あ!」
「どうしたの?、リゼちゃん」
「この家に日本刀あるよ!」
「えー、だって日本じゃ武器は持てないんでしょ」
「うん、ここ・・・瀬良の本家は昔からある家でね、お家に伝わる美術品としてちゃんと許可を取ってあるの、見る?」
「うん、見たい!」
「ぜひお願いしますリゼ様!」
「この家のご先祖様は大昔に京都からこの土地にやって来たの、150年くらい前かなぁ・・・この山奥に長州っていう場所から日本刀を持った男・・・剣士がふらりとやって来て、ここでしばらくお世話になってたみたい、その人が病気で死ぬ前に当主に持ってた日本刀をお礼として託したらしいの」
「へー」
「その男の話によると人斬りって恐れられてた剣士が持ってたみたいでね・・・伯父さんお願い」
「理世ちゃんの頼みなら仕方ないね、あまり他人には見せないのだけど・・・特別だよ」
ぱかっ・・・するり・・・
「これは長州双牙流という今は絶えてしまった流派最後の伝承者、人斬りお雪が愛用していたもので、「黒萩」という銘だ、対となるもう一本の「赤萩」は持ち主の男も探していたようだが見つからなかったらしい」
「わぁ・・・」
「凄いです・・・刀身を見ていると吸い込まれそう」
「この刀も過去に何度か狙われたり国に没収されそうになった事もあるが、ご先祖様が代々守り抜いて今ここにある、これからも家宝としてずっとここにあるだろう」
(柚亜紫翼からのお知らせ)
「大歩危」「奥祖谷二重かずら橋」は徳島県に実在します。
とても綺麗な場所なので興味のある人は画像検索してくださいね。