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Side - 16 - 17 - おぅふ・はうす -

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Side - 16 - 17 - おぅふ・はうす -


「こちらです、どうぞ」

近衛騎士団長さんに案内されて私はお城の中に入りました。

「わぁ・・・すごい」

壁は真っ白で、天井にまで複雑な装飾が隙間なく彫られています、豪華なシャンデリアが吊るされていて床には赤い絨毯・・・メイドさんが居ないので少し埃っぽいのですがそれでも重厚で歴史のあるお城に圧倒されました。

「この城には王太子殿下が滞在し我々騎士団を指揮される予定ですので、掃除をして消耗品は全て新品に入れ替えます、ですが城内の装飾品についてはローゼリアの有識者を連れて来て歴史的に価値があると判断されたものはそのまま残そうとしています」

確かに・・・ローゼリアとは全然違うこの国独自の文化を全部捨てるのは勿体ないのです。

「・・・リーゼロッテ嬢には申し訳ないのですが現在1日おき午後1回のユーキ邸への物資と人員転移の時にもう一往復、ローゼリア王城とこの城への転移をお願いできないかと・・・」

「・・・転移はそれほど手間じゃないので1回が2回になっても問題ないのです」

「ありがとうございます、近日中に陛下より正式に依頼があると思いますのでお願いします、報酬についても・・・」

「今のままでいいのです!」

「ですが・・・」

「いいのです!」

「・・・」

陛下から依頼されたお仕事の他にもオーニィ商会の特許使用料やリーゼの役員報酬が予想以上に大変な事になっていて・・・これ以上収入が増えたら王国長者番付に私の名前が掲載されてしまうのです・・・。






ギィ・・・

「この部屋の中に転移魔法陣をお願いします」

通されたところはデボネア皇帝陛下が使っていた玉座がある謁見の間の近く・・・控室として使われていたお部屋の一つでした。

「ほい、設置!」

ぺかぁ!

「終わりました」

「お疲れ様です、ではリーゼロッテ嬢のお部屋に案内します」

「え・・・」

「今はまだ家具や調度品がありませんが仮眠や休憩用の部屋として自由に使って頂いて結構です、数日後には部屋付きのメイドを手配して・・・」

「いや、お部屋はいらないのです!」

即答でお断りしました、お城に部屋なんて貰ったら面倒事が増えるに決まっているのです!。

「ですが・・・」

「いらないです!」

「陛下から使って頂くように命じられておりまして、リーゼロッテ嬢に断られますと私が叱られてしまいます・・・」

ゴゴゴゴゴ・・・

近衛騎士団長さんが私の目をじっと見つめます、ラオウによく似ているから迫力があって怖いのです!。

「・・・」

「お使い頂けますか?」

「・・・はい」

ガチャ・・・

「・・・」

とても広いです・・・お風呂まで付いてるし・・・コルトの街にある私のお家が全部入りそう・・・。

「では転移魔法陣をこの辺りに設置して下さい」

「・・・はい」

ぺかぁ!










ざわざわ・・・

わいわい・・・

「凄かったなぁ、あの御方が聖女様か」

「あぁ、俺も初めて見た!」

「私の娘くらいの年齢だ・・・あぁ、聖女様!」

「ちっちゃくて可愛かったな」

ローゼリアの騎士達に先導され、「聖女様」が乗る馬車(アイヴォウ)が遠ざかって行くのを私は眺めている、周りに集まった住民の口からはデボネア帝国語が飛び交い、皆まだ興奮から覚めていないようだ。

私の名前はドルフ・ボッチ、エテルナ大陸はもちろん、ミラージュ大陸にも支店を展開しているボッチ商会の元商会長だ、今は息子のパトリックに代表の座を譲り相談役として経営に関わっている。

ちなみに今目の前を通って行った「聖女様」と呼ばれている少女、リーゼロッテ・シェルダンは私の孫だ。

「ドルフ様、危険ですので我々を振り切って人混みに出ないでください!」

私の後ろで文句を言っている体格のいい男はワサヴィー・トゥグァラシィー、商会が雇っているハンターだ。

「ヴィー、ドルフ様は娘さんやお孫さんの事になると周りが見えない、振り切られたのは私達の力不足」

隣に居るワサヴィーに無表情で話しかけた長身の女性はイティミー・トゥグァラシィー、ワサヴィーの姉で彼女もハンターだ。

「ティミー姉ぇ・・・そんな事言ったってドルフ様足速すぎだろ!」

「・・・これ以上文句を言うと叩くよ」

「・・・」

「こらこら、姉弟喧嘩は程々にな、人混みの向こうにリゼたんが見えたから思わず走ってしまった、次からは気をつける」

何故私がこのデボネア帝国の帝都が「あった」この地に居るのか説明しよう。

元々我がボッチ商会は世界中に支店を展開している、手続きや根回しにとても苦労したのだが皇帝による独裁国家であったデボネア帝国の帝都にも支店はあった、私は商会が所有する船に乗り込み支店の現状調査の為にこの大陸にやって来た筈だった。

筈だったというのは私が想像していた帝都とはまるで様子が違っていたのだ、帝都に駐留するローゼリアの正規騎士、何故彼等がこの地に居るのか?、暴れ回っていると聞いていた野盗はどこだ?、不思議に思う私の耳に入った住民達の間に広がる聖女様の噂、そして聖女様の似顔絵を見た私は叫んだ。

「リゼたんではないかぁぁ!」

何故私の可愛い孫が聖女様と崇められているのか!・・・私は即座に手紙の魔法陣で息子のパトリックに連絡を取った。

息子を経由してシェルダン家・・・義理の息子であるアーノルド・シェルダンを問い詰めた結果、崩壊したデボネア帝国をローゼリアの手で復興させるという驚きの計画を聞いたのだ。

孫のリゼたんはローゼリア国王陛下の依頼で物資や騎士達を定期的に転移させている・・・更に私財を使い、飢えに苦しむ帝都の住民の為に食糧や薬を提供しているようだ。

この話を聞いた時、私は思った・・・これは商機だと。

今や崩壊して国の体を成していない帝国、野盗が暴力で支配する野蛮で誰も見向きもしない土地・・・エテルナ大陸の住民が考えるデボネア帝国の実情はこんな所だろう、だがそれがローゼリアの介入で復興させるとなると話が違って来る。

現在この帝都の不動産価値は底値だ、誰も欲しがらない、その土地を・・・建物を、我が商会が金を出し買い占める・・・。

「ふはははは!」

笑いが止まらない、この歳になって大金脈を掘り当てた気分だ、この帝都は必ず蘇る、ローゼリアが国を挙げて復興させているのだ、いずれこの土地の価値は大きく上がるだろう・・・商会に金はいくらでもある、今のうちに買っておくのだ!。






孫の姿を見たその日のうちに私はローゼリア騎士団の仮本部であるユーキという貴族の屋敷を訪問し、リーゼロッテの祖父と名乗り面会を求めた、この地にある商会支店の様子を見に危険な帝都まで来たところ偶然孫の姿を見て驚いた、説明を求む・・・と。

「お祖父様ぁ!」

「ははは、リゼたん、偶然とはいえこんな所で会えて嬉しいよ」

ちょうどリゼたんが騎士達を転移させる日だったようで、厳重な監視体制ではあったものの孫と面会が出来た。

リゼたん・・・孫が私に抱き付いた事で騎士達の警戒が緩んだ、祖父である事は身分証を見せ説明していたが、まだ騎士達は私を疑っていたようだ。

「どうしてお祖父様がここに?」

私に頭を撫でられながらリゼたんが尋ねた。

「ボッチ商会帝都支店の様子を見に来たのだよ、そしたらリゼたんが馬車に乗せられて見せ物になっていた」

「あぅ・・・見てたの?、恥ずかしい・・・」

「幸い帝都の支店は野盗の被害にも遭わず無事だった、隣のリーゼ帝都支店も無事だったよ、ちょうどいいからリーゼ取締役の一員としてリゼたんにも店の状況を見て欲しい」

「うん、それはいいけど」

こうして私はリゼたんをリーゼの帝都支店に連れ出すことに成功した、騎士達には支店まで警護してもらい、店の確認が終わったらリーゼの支店から直接転移して帰る事を伝えてある。

今やエテルナ大陸を代表する商会に成長した「リーゼ」は私の娘、マリアンヌと孫のリーゼロッテが半分を出資し、ボッチ商会が残りの半分を出資して設立した商会だ、経営権の半分はボッチ商会が持っているから私はリーゼの店舗にも自由に入る事ができる。

「わぁ・・・ここがリーゼの帝都支店・・・略奪に遭ってないのです?」

「襲撃は何度か受けたみたいだが建物が頑丈だったのと雇っていた警備員が優秀でね、追い返してくれていた、従業員もほとんど無事だよ、今は営業していないから自宅で待機してもらっているけどね」

「これならすぐにでも営業を再開できそうだね」

「高級品を扱うリーゼでは帝都の住民は来ないだろう、だからこの店の近くに安価で庶民にも気軽に買えるボッチ商会傘下の店を出そうと思ってね、「オゥフ・ハウス」と「ボコーフ」を考えている、リゼたんはどう思う?」

「うん、いいと思う、服は必需品だし娯楽もこれから必要になるだろうからね」

我がボッチ商会は傘下の商会をいくつも持っている。

「オゥフ・ハウス」は古着からアクセサリー、家具や雑貨まで扱う中古品専門の店で、主力商品は客から買い取った古着だ、洗濯して店頭に出す場合は安価で買える価格設定に、古着をリーゼの職人が再加工して販売するものは少し高い価格にしているが、今や庶民を中心に大人気の商会に成長した。

「ボコーフ」の方は本の販売が中心になる、こちらも客から買い取った中古の書籍を綺麗にして売っている、中古の魔道具を扱う姉妹店の「ハドゥフ」と共に庶民はもちろん貴族の間でも人気の商会だ。

この2つの商会は昔、娘とまだ幼かった孫の何気ない会話を聞いて私が作った・・・ローゼリアにこんなお店があったらいいね・・・そう楽しそうに話す母娘の会話がこんなに大きな商会に成長するのだから商売は面白くてやめられない。

「帝都に2つの店を新しく出すにあたってリゼたんに頼みたい事があるんだよ、この店を拠点にして人員と食料を沢山転移したいのだけど・・・おじいちゃんのお願い聞いてくれるかな?」

「うん、もちろん良いよお祖父ちゃん!、魔法陣をこのお店に置いて転移させるだけの簡単なお仕事だよね」

あぁ・・・金儲けは幾つになっても楽しいな、可愛い孫と一緒だと尚更だ。


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「こちらです、どうぞ」
近衛騎士団長さんに案内されて私はお城の中に入りました。
「わぁ・・・すごい」
壁は真っ白で、天井にまで複雑な装飾が隙間なく彫られています、豪華なシャンデリアが吊るされていて床には赤い絨毯・・・メイドさんが居ないので少し埃っぽいのですがそれでも重厚で歴史のあるお城に圧倒されました。
「この城には王太子殿下が滞在し我々騎士団を指揮される予定ですので、掃除をして消耗品は全て新品に入れ替えます、ですが城内の装飾品についてはローゼリアの有識者を連れて来て歴史的に価値があると判断されたものはそのまま残そうとしています」
確かに・・・ローゼリアとは全然違うこの国独自の文化を全部捨てるのは勿体ないのです。
「・・・リーゼロッテ嬢には申し訳ないのですが現在1日おき午後1回のユーキ邸への物資と人員転移の時にもう一往復、ローゼリア王城とこの城への転移をお願いできないかと・・・」
「・・・転移はそれほど手間じゃないので1回が2回になっても問題ないのです」
「ありがとうございます、近日中に陛下より正式に依頼があると思いますのでお願いします、報酬についても・・・」
「今のままでいいのです!」
「ですが・・・」
「いいのです!」
「・・・」
陛下から依頼されたお仕事の他にもオーニィ商会の特許使用料やリーゼの役員報酬が予想以上に大変な事になっていて・・・これ以上収入が増えたら王国長者番付に私の名前が掲載されてしまうのです・・・。
ギィ・・・
「この部屋の中に転移魔法陣をお願いします」
通されたところはデボネア皇帝陛下が使っていた玉座がある謁見の間の近く・・・控室として使われていたお部屋の一つでした。
「ほい、設置!」
ぺかぁ!
「終わりました」
「お疲れ様です、ではリーゼロッテ嬢のお部屋に案内します」
「え・・・」
「今はまだ家具や調度品がありませんが仮眠や休憩用の部屋として自由に使って頂いて結構です、数日後には部屋付きのメイドを手配して・・・」
「いや、お部屋はいらないのです!」
即答でお断りしました、お城に部屋なんて貰ったら面倒事が増えるに決まっているのです!。
「ですが・・・」
「いらないです!」
「陛下から使って頂くように命じられておりまして、リーゼロッテ嬢に断られますと私が叱られてしまいます・・・」
ゴゴゴゴゴ・・・
近衛騎士団長さんが私の目をじっと見つめます、ラオウによく似ているから迫力があって怖いのです!。
「・・・」
「お使い頂けますか?」
「・・・はい」
ガチャ・・・
「・・・」
とても広いです・・・お風呂まで付いてるし・・・コルトの街にある私のお家が全部入りそう・・・。
「では転移魔法陣をこの辺りに設置して下さい」
「・・・はい」
ぺかぁ!
ざわざわ・・・
わいわい・・・
「凄かったなぁ、あの御方が聖女様か」
「あぁ、俺も初めて見た!」
「私の娘くらいの年齢だ・・・あぁ、聖女様!」
「ちっちゃくて可愛かったな」
ローゼリアの騎士達に先導され、「聖女様」が乗る馬車(アイヴォウ)が遠ざかって行くのを私は眺めている、周りに集まった住民の口からはデボネア帝国語が飛び交い、皆まだ興奮から覚めていないようだ。
私の名前はドルフ・ボッチ、エテルナ大陸はもちろん、ミラージュ大陸にも支店を展開しているボッチ商会の元商会長だ、今は息子のパトリックに代表の座を譲り相談役として経営に関わっている。
ちなみに今目の前を通って行った「聖女様」と呼ばれている少女、リーゼロッテ・シェルダンは私の孫だ。
「ドルフ様、危険ですので我々を振り切って人混みに出ないでください!」
私の後ろで文句を言っている体格のいい男はワサヴィー・トゥグァラシィー、商会が雇っているハンターだ。
「ヴィー、ドルフ様は娘さんやお孫さんの事になると周りが見えない、振り切られたのは私達の力不足」
隣に居るワサヴィーに無表情で話しかけた長身の女性はイティミー・トゥグァラシィー、ワサヴィーの姉で彼女もハンターだ。
「ティミー姉ぇ・・・そんな事言ったってドルフ様足速すぎだろ!」
「・・・これ以上文句を言うと叩くよ」
「・・・」
「こらこら、姉弟喧嘩は程々にな、人混みの向こうにリゼたんが見えたから思わず走ってしまった、次からは気をつける」
何故私がこのデボネア帝国の帝都が「あった」この地に居るのか説明しよう。
元々我がボッチ商会は世界中に支店を展開している、手続きや根回しにとても苦労したのだが皇帝による独裁国家であったデボネア帝国の帝都にも支店はあった、私は商会が所有する船に乗り込み支店の現状調査の為にこの大陸にやって来た筈だった。
筈だったというのは私が想像していた帝都とはまるで様子が違っていたのだ、帝都に駐留するローゼリアの正規騎士、何故彼等がこの地に居るのか?、暴れ回っていると聞いていた野盗はどこだ?、不思議に思う私の耳に入った住民達の間に広がる聖女様の噂、そして聖女様の似顔絵を見た私は叫んだ。
「リゼたんではないかぁぁ!」
何故私の可愛い孫が聖女様と崇められているのか!・・・私は即座に手紙の魔法陣で息子のパトリックに連絡を取った。
息子を経由してシェルダン家・・・義理の息子であるアーノルド・シェルダンを問い詰めた結果、崩壊したデボネア帝国をローゼリアの手で復興させるという驚きの計画を聞いたのだ。
孫のリゼたんはローゼリア国王陛下の依頼で物資や騎士達を定期的に転移させている・・・更に私財を使い、飢えに苦しむ帝都の住民の為に食糧や薬を提供しているようだ。
この話を聞いた時、私は思った・・・これは商機だと。
今や崩壊して国の体を成していない帝国、野盗が暴力で支配する野蛮で誰も見向きもしない土地・・・エテルナ大陸の住民が考えるデボネア帝国の実情はこんな所だろう、だがそれがローゼリアの介入で復興させるとなると話が違って来る。
現在この帝都の不動産価値は底値だ、誰も欲しがらない、その土地を・・・建物を、我が商会が金を出し買い占める・・・。
「ふはははは!」
笑いが止まらない、この歳になって大金脈を掘り当てた気分だ、この帝都は必ず蘇る、ローゼリアが国を挙げて復興させているのだ、いずれこの土地の価値は大きく上がるだろう・・・商会に金はいくらでもある、今のうちに買っておくのだ!。
孫の姿を見たその日のうちに私はローゼリア騎士団の仮本部であるユーキという貴族の屋敷を訪問し、リーゼロッテの祖父と名乗り面会を求めた、この地にある商会支店の様子を見に危険な帝都まで来たところ偶然孫の姿を見て驚いた、説明を求む・・・と。
「お祖父様ぁ!」
「ははは、リゼたん、偶然とはいえこんな所で会えて嬉しいよ」
ちょうどリゼたんが騎士達を転移させる日だったようで、厳重な監視体制ではあったものの孫と面会が出来た。
リゼたん・・・孫が私に抱き付いた事で騎士達の警戒が緩んだ、祖父である事は身分証を見せ説明していたが、まだ騎士達は私を疑っていたようだ。
「どうしてお祖父様がここに?」
私に頭を撫でられながらリゼたんが尋ねた。
「ボッチ商会帝都支店の様子を見に来たのだよ、そしたらリゼたんが馬車に乗せられて見せ物になっていた」
「あぅ・・・見てたの?、恥ずかしい・・・」
「幸い帝都の支店は野盗の被害にも遭わず無事だった、隣のリーゼ帝都支店も無事だったよ、ちょうどいいからリーゼ取締役の一員としてリゼたんにも店の状況を見て欲しい」
「うん、それはいいけど」
こうして私はリゼたんをリーゼの帝都支店に連れ出すことに成功した、騎士達には支店まで警護してもらい、店の確認が終わったらリーゼの支店から直接転移して帰る事を伝えてある。
今やエテルナ大陸を代表する商会に成長した「リーゼ」は私の娘、マリアンヌと孫のリーゼロッテが半分を出資し、ボッチ商会が残りの半分を出資して設立した商会だ、経営権の半分はボッチ商会が持っているから私はリーゼの店舗にも自由に入る事ができる。
「わぁ・・・ここがリーゼの帝都支店・・・略奪に遭ってないのです?」
「襲撃は何度か受けたみたいだが建物が頑丈だったのと雇っていた警備員が優秀でね、追い返してくれていた、従業員もほとんど無事だよ、今は営業していないから自宅で待機してもらっているけどね」
「これならすぐにでも営業を再開できそうだね」
「高級品を扱うリーゼでは帝都の住民は来ないだろう、だからこの店の近くに安価で庶民にも気軽に買えるボッチ商会傘下の店を出そうと思ってね、「オゥフ・ハウス」と「ボコーフ」を考えている、リゼたんはどう思う?」
「うん、いいと思う、服は必需品だし娯楽もこれから必要になるだろうからね」
我がボッチ商会は傘下の商会をいくつも持っている。
「オゥフ・ハウス」は古着からアクセサリー、家具や雑貨まで扱う中古品専門の店で、主力商品は客から買い取った古着だ、洗濯して店頭に出す場合は安価で買える価格設定に、古着をリーゼの職人が再加工して販売するものは少し高い価格にしているが、今や庶民を中心に大人気の商会に成長した。
「ボコーフ」の方は本の販売が中心になる、こちらも客から買い取った中古の書籍を綺麗にして売っている、中古の魔道具を扱う姉妹店の「ハドゥフ」と共に庶民はもちろん貴族の間でも人気の商会だ。
この2つの商会は昔、娘とまだ幼かった孫の何気ない会話を聞いて私が作った・・・ローゼリアにこんなお店があったらいいね・・・そう楽しそうに話す母娘の会話がこんなに大きな商会に成長するのだから商売は面白くてやめられない。
「帝都に2つの店を新しく出すにあたってリゼたんに頼みたい事があるんだよ、この店を拠点にして人員と食料を沢山転移したいのだけど・・・おじいちゃんのお願い聞いてくれるかな?」
「うん、もちろん良いよお祖父ちゃん!、魔法陣をこのお店に置いて転移させるだけの簡単なお仕事だよね」
あぁ・・・金儲けは幾つになっても楽しいな、可愛い孫と一緒だと尚更だ。