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Side - 16 - 7 - まるこーさんはぱすたがだいすき -

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Side - 16 - 7 - まるこーさんはぱすたがだいすき -


もぐもぐ・・・

「おいベニー!、このパスタ美味ぇな!」

「あぁ、俺はこんなの食った事無ぇ」

「いくら美味いからって泣くなよ・・・」

「マルコーのおっさんは食った事あるのかよ」

「まぁ・・・俺はずっと下水路で暮らしてた訳じゃ無いからな」

もぐもぐ・・・

「この肉も美味ぇ!」

「そうだなベニー、今のうちに食っとけ、お貴族様の飯なんて二度と食えねぇかもしれないからな」

俺の名前はマルコーだ、エロ少女と白い獣に襲われて貴族の家に連れて来られた、足の治療を受けていたセシルの目が覚めて込み入った話をするって事で俺達は別室に案内され飯を食わせて貰っている。

飯はパスタと肉を焼いた奴だ、偶然だと思うが・・・俺はパスタが好きだ、幼い頃母親がよく作ってくれていた、だから出てきた料理を見て食わないって選択肢は無かった、ちょうど腹も減っていたしな。

ちなみに聖女様?に全身を浄化して貰えたようで、俺達の着ていた埃や垢で汚れたボロ服は洗いたてのようになってるし、油ぎった髪や汚ねぇ尻の穴まで綺麗になってやがる、すげぇな聖女様・・・。

「世の中にはこんなの毎日食ってる奴がいるんだな」

「そうだな、俺は貴族ってのが嫌いだが、この家での扱いは悪くない、だがまだ油断するなよベニー、例えば・・・この料理に何か入ってるかもしれねぇな」

「げほっ!、げふっ!、おっさん!脅かすんじゃねぇ!」

「いや、脅しじゃない、何をするにも警戒しろって事だ、俺は先にお前が口にするのを見てから食い始めた」

「酷ぇ!」





コンコン・・・

ガチャ・・・

パスタや肉を食い終わりデザートらしい果物を貪ってたらエロ少女と眼帯の女の子、それから胡散臭い初老の男が俺達の居る部屋に入って来た。

「食べながらでいいから聞いてほしい、セシルちゃんは無事に目が覚めたよ、しばらくはこの家・・・シェルダン家に滞在して傷の治療をする事になった」

エロ少女が俺達に言った。

「そうか、良かったな」

「本人の希望を聞いたのだが貴族の地位に未練は無いそうだ、平民としてどこか静かな街で暮らしたいらしい」

「ほぅ・・・」

もぐもぐ・・・

「セシルちゃんが言うには・・・一人では心細いし怖いからマルコーおじさんやベニーさんも一緒に居て欲しいと言ってる」

「ごふぅ!、げほっ!、げほっ!」

食ってるものが気管に入っちまったぜ畜生!。

「な・・・なんだってぇ!」

「なんで俺まで?」

ベニーのやつも食ってる手を止めて呆然としてる。

「下水路に戻ってもする事が無いんだろ、衣食住の心配はしなくて良いし、悪い話じゃ無いと思うぞ」

一緒に居た初老の男が言った・・・確かに下水路に戻っても寝て起きて食ってクソするだけだ・・・。

「だが・・・得体の知れない俺達が貴族様の家に厄介になるのはまずいだろ」

俺は思わずそう言ったが・・・よく考えると悪い話じゃない、あの場所に未練は無いし、俺だって綺麗な場所で寝て良いものを食いたい・・・だがこいつらの狙いは何だ、そんな美味い話には裏があるんじゃないのか?」

「ふふっ・・・警戒してるね・・・話が美味し過ぎると思ってる?」

エロ少女の癖に察しがいいな・・・。

「貴方達の立ち位置はセシルちゃんの護衛と行動を監視して我々に報告する事、年寄りのおじさんは魔法の腕はかなりのものだった、若いおじさんの方は下水路で生き抜いて来たから危険に対する嗅覚は鋭いだろうし喧嘩慣れしてそう・・・」

「まぁ・・・魔法は一応使える、お前に全く敵わなかったが・・・」

「俺も喧嘩慣れはしてる、弱くはないと思うぜ」

「セシルちゃんはずっと家に閉じ込められて虐待されていたから頼れる人やお友達が一人も居なくてね、王家やシェルダン家の騎士を護衛に付けるより懐いてる貴方達の方が良いだろうって事になった、もちろんちゃんとお給料も出るよ、国家に雇われた非正規の職員って感じになるかなぁ・・・どう?」

「乗った!、俺はやる、あんなクソ溜めで生活するより百倍いいぜ!」

ベニーの奴が叫んだ。

「俺は・・・分かった、提案を受け入れる、だが一つだけ条件がある」

「何かな?」

「人を探して欲しい・・・」





「人探しかぁ・・・詳しく聞かせてもらえるかな?」

エロ少女が俺に言った・・・あまり素性は知られたく無いが、この機会を逃すと一生会えねぇと思って頼る事にした。

「俺は元々デボネア帝国の貴族だった、母親は誘拐同然で貴族の父親に囲われた愛人だ、幼い頃母親に連れられて国から逃げた・・・5歳の時に受けた帝国人の義務である刻印は髭で隠してるが左の頬にある」

「ほぅ・・・」

「俺が10歳・・・左腕の刻印を受ける前、母親と一緒に国を離れてラングレー王国にある寂れた港町に上陸した、俺たち親子は言葉が分からず苦労したが・・・母親がいろんなものを犠牲にして俺を育ててくれた」

「探すのはその母親かな?」

「そうだ、最後に会って俺を育ててくれた礼を言いたい」

「何で別れたんだ?」

初老の男が俺に尋ねた・・・ここから先は苦い思い出だ。

「ラングレー王国でようやく生活が安定し始めた頃、母親の作るアクセサリーを買いに来た客の男と母親は恋に落ちた、おそらくあのまま行けば結婚していただろう」

「ある日、男は俺にこう言った、母親と結婚したいがお前が居るから彼女は躊躇しているようだ、お前も15歳になるのだから一人でも生きていけるだろう、遠くで2人の幸せを見守っていてくれないか・・・とな、つまり俺は2人の恋路の邪魔だったって事だ」

「酷い男だな・・・」

「俺は男の言う通り母親の前から消える事にした、母には幸せになってもらいたかったからな、他国を拠点にして稼ぐ為にハンターギルドに登録して・・・国を出る前に男に母親宛の手紙を託した、直接言えば反対されるのは分かっていたから国を離れる理由と感謝してるって事を書いた、ハンターの稼ぎも定期的に新居と教えられた場所に送った」

「嫌な予感がするぞ・・・」

初老の男が呟いた・・・こいつも察しがいいな。

「お察しの通り、男にはすでに妻子が居た、俺が託した手紙は渡されていなかったし・・・男の作った偽の手紙が母親に渡されたようだ、どんな内容だったかは分からないが・・・それから・・・俺が送った金は全て男の物になっていた」

「・・・」

「最初は俺が送る手紙に対して返事が無いのは気にしていなかった、ハンターの仕事が忙しかったし、勝手に出て行った俺を怒っているのだろうと思ってた」

「何年か経ってラングレーに・・・沢山の土産を抱えて街に戻ったら居なかった、俺が国を出てすぐ、絶望して街を出たと近所の人間に聞いた、男の本性に気付いていたかどうかは分からない」

「・・・」

「俺と母親は騙された、逆上した俺は男の居場所を探し出して殺してやった、これで俺は立派な犯罪者だ、男は下級貴族だったから国から手配されしつこく追われた、他国に逃げ延びてからも母親の行方を探し続けたが・・・色々な国を転々としていたようで、住んでいた場所を見つけた事はあるが結局一度も会えなかった」

「殺した男の家族に雇われた裏組織の人間に何度も命を狙われた、そうしているうちにハンターを続けられなくなり、食い物にも困る生活が続いた、逃亡に疲れ生きる気力を失い・・・各国を転々としてようやくローゼリアの王都に辿り付いた、そこで餓死しそうになっていた所を下水路に住み着いていた老人に助けられて・・・今に至る」

「なかなか波乱に満ちた人生だな」

「そうだな、だが世の中にはもっと不幸な奴もいるだろ、騙された俺が馬鹿だった、あの時母親に一言相談していれば・・・そう思った事もあるがもう過ぎた事だ」

「ぐずっ、ずずっ・・・、うわぁぁぁ!、マルコォォ!、なんて可哀想な奴なんだぁ!」

隣で俺の話を聞いていたベニーの奴が号泣しているぞ!。

「おいちょっと待て!、何でベニーが泣いてんだよ!、気持ち悪いから抱きつくな!」

「だってよぉ!、俺この手の話に弱いんだよぉ!」

「・・・そんな訳で、手配されている犯罪者の俺を雇うのは考え直したほうが良いかもしれないぞ」

「それは何年前の話だ?、少なくとも20年は経ってるだろ」

「あぁ、そうだな、もうそんなになるか・・・」

「それなら殺人で手配されていても時効が成立してる、エテルナ大陸法では余程の凶悪犯罪でない限りは20年だ」

「そうなのか?」

「そうだぞ、知らなかったのか?」

「・・・そうか・・・時効か・・・」

「母親の名前は何ていうのかな?」

「ペトラ・ヨウジョスキーだ、生きていれば60歳を少し過ぎた頃だと思う、手先が器用でラングレーの街ではアクセサリーや人形を作って売っていた」


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もぐもぐ・・・
「おいベニー!、このパスタ美味ぇな!」
「あぁ、俺はこんなの食った事無ぇ」
「いくら美味いからって泣くなよ・・・」
「マルコーのおっさんは食った事あるのかよ」
「まぁ・・・俺はずっと下水路で暮らしてた訳じゃ無いからな」
もぐもぐ・・・
「この肉も美味ぇ!」
「そうだなベニー、今のうちに食っとけ、お貴族様の飯なんて二度と食えねぇかもしれないからな」
俺の名前はマルコーだ、エロ少女と白い獣に襲われて貴族の家に連れて来られた、足の治療を受けていたセシルの目が覚めて込み入った話をするって事で俺達は別室に案内され飯を食わせて貰っている。
飯はパスタと肉を焼いた奴だ、偶然だと思うが・・・俺はパスタが好きだ、幼い頃母親がよく作ってくれていた、だから出てきた料理を見て食わないって選択肢は無かった、ちょうど腹も減っていたしな。
ちなみに聖女様?に全身を浄化して貰えたようで、俺達の着ていた埃や垢で汚れたボロ服は洗いたてのようになってるし、油ぎった髪や汚ねぇ尻の穴まで綺麗になってやがる、すげぇな聖女様・・・。
「世の中にはこんなの毎日食ってる奴がいるんだな」
「そうだな、俺は貴族ってのが嫌いだが、この家での扱いは悪くない、だがまだ油断するなよベニー、例えば・・・この料理に何か入ってるかもしれねぇな」
「げほっ!、げふっ!、おっさん!脅かすんじゃねぇ!」
「いや、脅しじゃない、何をするにも警戒しろって事だ、俺は先にお前が口にするのを見てから食い始めた」
「酷ぇ!」
コンコン・・・
ガチャ・・・
パスタや肉を食い終わりデザートらしい果物を貪ってたらエロ少女と眼帯の女の子、それから胡散臭い初老の男が俺達の居る部屋に入って来た。
「食べながらでいいから聞いてほしい、セシルちゃんは無事に目が覚めたよ、しばらくはこの家・・・シェルダン家に滞在して傷の治療をする事になった」
エロ少女が俺達に言った。
「そうか、良かったな」
「本人の希望を聞いたのだが貴族の地位に未練は無いそうだ、平民としてどこか静かな街で暮らしたいらしい」
「ほぅ・・・」
もぐもぐ・・・
「セシルちゃんが言うには・・・一人では心細いし怖いからマルコーおじさんやベニーさんも一緒に居て欲しいと言ってる」
「ごふぅ!、げほっ!、げほっ!」
食ってるものが気管に入っちまったぜ畜生!。
「な・・・なんだってぇ!」
「なんで俺まで?」
ベニーのやつも食ってる手を止めて呆然としてる。
「下水路に戻ってもする事が無いんだろ、衣食住の心配はしなくて良いし、悪い話じゃ無いと思うぞ」
一緒に居た初老の男が言った・・・確かに下水路に戻っても寝て起きて食ってクソするだけだ・・・。
「だが・・・得体の知れない俺達が貴族様の家に厄介になるのはまずいだろ」
俺は思わずそう言ったが・・・よく考えると悪い話じゃない、あの場所に未練は無いし、俺だって綺麗な場所で寝て良いものを食いたい・・・だがこいつらの狙いは何だ、そんな美味い話には裏があるんじゃないのか?」
「ふふっ・・・警戒してるね・・・話が美味し過ぎると思ってる?」
エロ少女の癖に察しがいいな・・・。
「貴方達の立ち位置はセシルちゃんの護衛と行動を監視して我々に報告する事、年寄りのおじさんは魔法の腕はかなりのものだった、若いおじさんの方は下水路で生き抜いて来たから危険に対する嗅覚は鋭いだろうし喧嘩慣れしてそう・・・」
「まぁ・・・魔法は一応使える、お前に全く敵わなかったが・・・」
「俺も喧嘩慣れはしてる、弱くはないと思うぜ」
「セシルちゃんはずっと家に閉じ込められて虐待されていたから頼れる人やお友達が一人も居なくてね、王家やシェルダン家の騎士を護衛に付けるより懐いてる貴方達の方が良いだろうって事になった、もちろんちゃんとお給料も出るよ、国家に雇われた非正規の職員って感じになるかなぁ・・・どう?」
「乗った!、俺はやる、あんなクソ溜めで生活するより百倍いいぜ!」
ベニーの奴が叫んだ。
「俺は・・・分かった、提案を受け入れる、だが一つだけ条件がある」
「何かな?」
「人を探して欲しい・・・」
「人探しかぁ・・・詳しく聞かせてもらえるかな?」
エロ少女が俺に言った・・・あまり素性は知られたく無いが、この機会を逃すと一生会えねぇと思って頼る事にした。
「俺は元々デボネア帝国の貴族だった、母親は誘拐同然で貴族の父親に囲われた愛人だ、幼い頃母親に連れられて国から逃げた・・・5歳の時に受けた帝国人の義務である刻印は髭で隠してるが左の頬にある」
「ほぅ・・・」
「俺が10歳・・・左腕の刻印を受ける前、母親と一緒に国を離れてラングレー王国にある寂れた港町に上陸した、俺たち親子は言葉が分からず苦労したが・・・母親がいろんなものを犠牲にして俺を育ててくれた」
「探すのはその母親かな?」
「そうだ、最後に会って俺を育ててくれた礼を言いたい」
「何で別れたんだ?」
初老の男が俺に尋ねた・・・ここから先は苦い思い出だ。
「ラングレー王国でようやく生活が安定し始めた頃、母親の作るアクセサリーを買いに来た客の男と母親は恋に落ちた、おそらくあのまま行けば結婚していただろう」
「ある日、男は俺にこう言った、母親と結婚したいがお前が居るから彼女は躊躇しているようだ、お前も15歳になるのだから一人でも生きていけるだろう、遠くで2人の幸せを見守っていてくれないか・・・とな、つまり俺は2人の恋路の邪魔だったって事だ」
「酷い男だな・・・」
「俺は男の言う通り母親の前から消える事にした、母には幸せになってもらいたかったからな、他国を拠点にして稼ぐ為にハンターギルドに登録して・・・国を出る前に男に母親宛の手紙を託した、直接言えば反対されるのは分かっていたから国を離れる理由と感謝してるって事を書いた、ハンターの稼ぎも定期的に新居と教えられた場所に送った」
「嫌な予感がするぞ・・・」
初老の男が呟いた・・・こいつも察しがいいな。
「お察しの通り、男にはすでに妻子が居た、俺が託した手紙は渡されていなかったし・・・男の作った偽の手紙が母親に渡されたようだ、どんな内容だったかは分からないが・・・それから・・・俺が送った金は全て男の物になっていた」
「・・・」
「最初は俺が送る手紙に対して返事が無いのは気にしていなかった、ハンターの仕事が忙しかったし、勝手に出て行った俺を怒っているのだろうと思ってた」
「何年か経ってラングレーに・・・沢山の土産を抱えて街に戻ったら居なかった、俺が国を出てすぐ、絶望して街を出たと近所の人間に聞いた、男の本性に気付いていたかどうかは分からない」
「・・・」
「俺と母親は騙された、逆上した俺は男の居場所を探し出して殺してやった、これで俺は立派な犯罪者だ、男は下級貴族だったから国から手配されしつこく追われた、他国に逃げ延びてからも母親の行方を探し続けたが・・・色々な国を転々としていたようで、住んでいた場所を見つけた事はあるが結局一度も会えなかった」
「殺した男の家族に雇われた裏組織の人間に何度も命を狙われた、そうしているうちにハンターを続けられなくなり、食い物にも困る生活が続いた、逃亡に疲れ生きる気力を失い・・・各国を転々としてようやくローゼリアの王都に辿り付いた、そこで餓死しそうになっていた所を下水路に住み着いていた老人に助けられて・・・今に至る」
「なかなか波乱に満ちた人生だな」
「そうだな、だが世の中にはもっと不幸な奴もいるだろ、騙された俺が馬鹿だった、あの時母親に一言相談していれば・・・そう思った事もあるがもう過ぎた事だ」
「ぐずっ、ずずっ・・・、うわぁぁぁ!、マルコォォ!、なんて可哀想な奴なんだぁ!」
隣で俺の話を聞いていたベニーの奴が号泣しているぞ!。
「おいちょっと待て!、何でベニーが泣いてんだよ!、気持ち悪いから抱きつくな!」
「だってよぉ!、俺この手の話に弱いんだよぉ!」
「・・・そんな訳で、手配されている犯罪者の俺を雇うのは考え直したほうが良いかもしれないぞ」
「それは何年前の話だ?、少なくとも20年は経ってるだろ」
「あぁ、そうだな、もうそんなになるか・・・」
「それなら殺人で手配されていても時効が成立してる、エテルナ大陸法では余程の凶悪犯罪でない限りは20年だ」
「そうなのか?」
「そうだぞ、知らなかったのか?」
「・・・そうか・・・時効か・・・」
「母親の名前は何ていうのかな?」
「ペトラ・ヨウジョスキーだ、生きていれば60歳を少し過ぎた頃だと思う、手先が器用でラングレーの街ではアクセサリーや人形を作って売っていた」